徳永洋のレビュー一覧
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[維新の光る脇役]西郷隆盛と並び,勝海舟に「恐ろしい」と評された男・横井小楠。維新の物語において欠かすことのできない青写真を描いた人物として,横井小楠の足跡をたどる一冊です。著者は,熊本県出身の日本史研究家である徳永洋。
「種を蒔いた人」というのが本書を読んで受けた横井小楠に対する第一の印象。維新の思想面で非常に大きな役割を担っていたことがよくわかりました。それにしても,久しぶりに幕末物を読みましたがやっぱりこの時代はどう切り取っても魅力的ですね。
〜実に小楠は新生日本の青写真を描いた「夜明けの先覚者」であった。〜
小楠の写真に渋みと凄みを感じる☆5つ -
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本来なら革命側に立脚する横井小楠の思想が龍馬や西郷に影響を与えたのは言うまでもない。それが、松平春嶽や勝海舟といった佐幕側の大物まで薫陶を多いに受けている。いかに小楠の存在が大きかったかが窺える。左翼・右翼を鯨飲してしまう大きな思想。外敵に対抗するためには、幕府とか藩という尺度の対策では到底日本に勝ち目はない。列強の植民地になってしまうのは必至。で、小楠は「徳川幕府の維持目的のためだけの便利私営の政治を止めさせ、賢明な藩主らによる諸藩会議をもって、天下公共の国是を立てて政治を行なう」という共和政治の方針「国是十二箇条」を発表。その後、それを下敷きにし龍馬は船中八策を起草し、由利公正は五箇条の御
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開国・攘夷で騒いでいたころに、共和制の導入という考えはともかくも、日本は、西洋技術と東洋思想をもって世界から戦争をなくす役目を国際社会で果たすべきと考えていた人がいたことに驚く。松平春嶽のブレーンであり、勝海舟や坂本龍馬、吉田松陰、西郷隆盛、大久保利通らが感化したのも当然か。武力倒幕には組せずとも、止む無しの立場をとったあたりの行動が、幕末のドラマなどに描きにくいということで、あまり有名ではないのだが、歴史というのが常に「現在からの振り返りによる価値観」で語られるものであり、その時代の同時代の価値観とは異なるということがこの人を通してよくわかる。
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幕末の幹になる人物、横井小楠の生涯を、その歴史的な役割も含めてコンパクトに整理がされている。著者自らが調べた史実に基づく考察もあり興味深い。
また、越前藩主松平春嶽なくしては横井小楠なし。春嶽の功績も大きいものだと改めて悟った。
以下引用~
・「おれは、今までに天下で恐ろしいものを二人見た。それは、横井小楠と西郷南洲とだ」「横井の思想を、西郷の手で行われたら、もはやそれまでだと心配していた」(以上勝海舟)
・「西洋文明はあくまで技術として優れているのであって、そこには徳はない。日本は東洋の徳ある文明をもとに、そこに西洋の科学文明を取り入れるべきだ」(横井小楠)
・政治の理念は「実学」でなくて -
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内容(「BOOK」データベースより)
勝海舟曰く「おれは今までに天下で恐ろしいものを二人見た。横井小楠と西郷南洲だ」。日本史の教科書でもろくに取り上げられず、幕末もののドラマで登場することもほとんどない。しかし小楠こそ、坂本龍馬や西郷隆盛をはじめ、幕末維新の英傑たちに絶大な影響を与えた「陰の指南役」であった。早くから現実的開国論を説き、東洋の哲学と西洋の科学文明の融合を唱え、近代日本の歩むべき道を構想した鬼才。その生涯を追う。
目次
第1章 いかにして開国論者になりしか
第2章 福井藩の賓師に招かれる
第3章 幕政改革の切り札として
第4章 秘策「挙藩上洛計画」
第5章 日本を道義国