川又一英のレビュー一覧
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H26年9月29日から始まった朝の連続テレビ小説「マッサン」の原作の文庫版。国産ウイスキーの夢を追い求める竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)のウイスキーにかける情熱と夫婦の絆を描く作品。
ウイスキーととても呼べないような粗悪な国産ウイスキーが出回っていた時代を経て、今やジャパニーズ・ウイスキーは世界でも評価が高くなっている。しかし現在に至るまでには相当の苦労があった。ニッカウイスキー創業者竹鶴政孝とそれを支援した人たちがいなければ現在ウイスキーはこれほど日本に浸透していなかったかもしれない。何かを新たに始めようとするものは批判される。それを乗り越え何かを成し遂げることの難しさは言うまでもない。 -
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出身校の創立者だから江原素六の名前と胸像は入学した時から知っているし、沼津にも縁のある人だということは知っていたが、そこから先のことはほとんど知らなかった。沼津の学校と麻布の時間関係も含め。
麻布が東洋英和から独立するに至る経緯も、よくわかった。文部省の訓令の影響を受けたのは他のミッションスクールも同じであったが、同じ道を歩んだところはないようだった。
筆者は他の私立一貫校の出身のようで、それ故に麻布を買いかぶっているところもあるように思うが、江原素六が稀な資質を持つ人であったことは間違いなく、その色が今につながっているというのは言われる通りなのだろうと思う。
この本は、麻布と縁のない方から -
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麻布中学校と言えば、男子御三家の一つとして有名な学校である。その中でも、他の二校-開成中・武蔵中-と異なる特色として、いい意味でも悪い意味でも自由闊達な校風(「ズバ抜けて自由な中学」)を持つ学校であることが知られている。本書は、麻布中学校の創立者である江原素六に焦点を当て、こうした校風がいかに形成されていったのかを論じたものである。
やはり面白いのは江原素六という人物である。元は幕臣であった江原は、明治という時代を「敗者」の一員として歩み出す。この経験は、彼が「官」に対する「私」を強く意識するキッカケとなり、後に「江原の反骨精神=リベラリズム」(p.125)へと発展し、麻布中学校の校風を形成