古処誠二のレビュー一覧

  • 生き残り

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    ネタバレ

     前作『いくさの底』は、ミステリーとしても高く評価された。古処誠二さんの新刊は、今回もミステリー的要素を含むが、軍隊・戦場における価値観や、それらに基づく現場の苦悩を、より深く抉っている点に注目したい。

     北ビルマの戦いで、独歩患者は分進隊として切り離される。要するに、怪我人は厄介払いされる。丸江と戸湊伍長の2人も、そんな分進隊の生き残りであった。彼らは、イラワジ河の渡河点で、1人の奇妙な兵隊に出会った。

     その兵隊と行動をともにしながら、1人になった経緯を尋ねる戸湊伍長。何やら疑いを持っているらしい。その兵隊の転進中の経験が、並行して語られる趣向である。経験の乏しい見習士官に、侮蔑を隠さ

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    2018年08月09日
  • 線

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    太平洋戦争南方ジャングル地獄物
    短編集で読みやすい
    調べたとこと作風がこんな感じのため直木賞ノミネートのみの受賞はできていない人らしい。ベストセラーはしないけど面白かったので他の作品も読みたい

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    2024年10月07日
  • ビルマに見た夢

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    【P179】
    「辛抱を美徳と考え、休むことを罪悪のように考え、そうして体を壊すまで働いてしまう。これほど愚かしいことはありません」

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    2023年08月02日
  • 中尉

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    割と終盤までは掴みどころのない淡々とした戦争小説という感じだったが、最後のオチで中尉やビルマ人の心に触れ、これまでの灰色の物語がほんのりと色づいたように感じた。
    戦争のリアルな表現もすごい。インパール作戦について少ししか触れられていないが、ちゃんと知りたいと思った。

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    2023年04月20日
  • いくさの底

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    太平洋戦争でのビルマを舞台にした戦争小説のようなサスペンスもので、まさかのオチがあり普通に面白かった。主人公が通訳という立場なのも、中立的視点となって良かった。
    また、ビルマ人・日本人の人々の人間性がそれぞれのキャラに表れていて、日本人としては共感とともに反省しないといけない一面があるなと、、

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    2023年04月11日
  • ビルマに見た夢

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    文化人類学小説?という聞いたことない紹介文だったが、かなり面白かった。
    インパール作戦直前期のビルマにおける戦争小説だが、兵站任務の細かいところが書かれており目新しかった。また、日本軍と住民がかなり密にコミュニケーションをとっていて、もちろんフィクションではあろうけど一定の心の繋がりがあったかと思うと戦争の見方も変わってくる。ビルマ人の信仰の厚さ、国民性が伝わってきたのもいいなと思った。

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    2023年03月12日
  • いくさの底

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    初めて知った作家だったが面白かった。単なる推理小説ではなく、単なる戦争小説でもなく、そして余分な修飾語もなく全体的にシンプルで読み易い。けど先が読めてしまうような安直なストーリー展開ではない。というわけで総じて面白かった。

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    2021年11月06日
  • いくさの底

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    このミス2018年版5位。第2次世界大戦初期、日本がビルマに進行した際の駐屯先の村での殺人事件。同行した通訳の視点での状況描写で進行していく。一般的にはなじみのない時代背景や登場人物の置かれた状況についての俯瞰的な説明が一切なく、いきなり登場人物視点での描写が始まるため、とても分かりにくい。途中までは人間関係の理解も困難で少ない分量だけどなかなか進まなかった。後半は徐々に事実が明らかになっていくのがとても心地よく引き込まれる。事件の構想や解明していく展開などすごくよくできてるし、真相を明らかにしていく際の心理的な駆け引きがサイコパスもののような臨場感があって一気に進んだ。前半にもうちょっと人間

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    2020年05月01日
  • いくさの底

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    これぞまさに古処さんにしか書き得ない戦争小説×ミステリ。改めて古処さんの戦争小説の凄みを感じた作品です。

    舞台は太平洋戦争下のビルマの小さな村。戦争小説といっても、この小説では大きな戦闘もなく、殺人事件こそは起こるものの特攻や玉砕といった、戦火の悲劇が描かれるわけでもなく、非情に地味な展開が続きます。
    古処さんの文体も、感情や修飾的な著述を排した静かなものなので、前半は退屈に感じるところも多いかもしれません。

    事件が起こってからが俄然面白くなってきたかなあ。戦時下、ビルマ、この状況ならではの犯人の見当と推理の仕方がかなりロジカル。
    そこに、被害者の中将の過去の行動の不審な点も相まって、どん

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    2020年02月10日
  • 死んでも負けない

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    戦争小説を描き続けている古処誠二の異色の家族小説。家族小説といっても、一家の首長の祖父の戦争体験が描かれるのだが。

    ビルマ戦の帰還兵である負けず嫌いの祖父から度々、戦争体験を聞かされ、鉄拳制裁を振るわれる主人公の高校生。ある日、そんな頑強な祖父が入院することになり、ベッドの上で眠りにつく祖父が、普段の祖父から信じられないうわごとを言う…

    祖父の語る『死んでも負けない』の意味とは…

    頑固一徹で、何処か憎めない祖父に翻弄される主人公の高校生と父親の姿が暖かみを持って、ユーモラスに描かれる。古処誠二と言えば、重苦しい寓話的な戦争小説を多く描いているが、本作はそれらとは全く異なる、著者の新境地と

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    2015年09月14日
  • 線

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     太平洋戦争下の兵士たちの姿を描いた作品を9編収録した短編集。

     古処さんの戦争小説は単なる戦争下での悲劇を描いた反戦、厭戦の小説ではないことが大きな特徴であるように思います。

     もちろん作中では飢えやマラリア、死体や傷病兵など戦争の悲惨さを描いた表現も出てくるのですが、決してそれらを感傷的に描かずあくまで冷徹に、戦争の中の日常として古処さんは描くのです。

     そして古処さんが問いかけるのは、そうした極限状況の中での兵士たちの姿から浮かび上がる人間性です。不信や絶望が混沌と渦巻く中でそれぞれの状況に置かれた兵士たちは何を思うのか。

     特に印象的だった短編は「銃後からの手紙」「蜘蛛の糸」「

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    2015年08月23日
  • 線

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    戦後生まれの著者がどうしてここまでリアリティのある描写ができるのかと驚きます。
    ページ数はさほど多くありませんが、一話一話に読み応えがあります。
    「たてがみ」「お守り」は涙せずにはいられません。

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    2012年10月19日
  • いくさの底

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    なぜこの人物は殺されたのか、なぜ犯人は殺さなくてはならなかったのか。戦時で侵攻中の緩衝地帯における駐留軍という特殊な環境下でしか成り立たない殺害に至るロジックがお見事。

    必要最小限の描写で複雑な人物関係を語れているのも驚異的。ただ、このボリュームは読み易い一方で、ちょっとあっさりし過ぎるようにも思えた。真相の悲劇性が今ひとつ際立ってくれていないというか。

    とはいえドラマティックさが排除されていることで、戦争というものの無情さと滑稽さが伝わってくるという側面もあり、一読の価値ある作品なのは確かかと。

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    2025年07月28日
  • ビルマに見た夢

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    古処視点というか、古処節というか。間違いなくこの人にしか書けない作品です。

    第二次世界大戦下の日本軍の話なのに、一般に想像されがちな戦争のショッキングな部分や悲劇の部分はそぎ取り、徹底して冷徹に、日本軍兵士と海外の現地民との日常の交流とトラブルを描く。
    感情の機微や登場人物の心情から一定の距離を取る筆勢は、もはや職人感すら漂っているように思います。何も語らず、ただ一心に自分の作品に向かう職人のような。

    作品の舞台となるのは第二次世界大戦下のビルマ。
    現地の労務者をまとめる西隈を語り手に、ビルマの日々が描かれる連作短編集となっています。

    戦時下、日本軍兵士、軍役、さらにはビルマの自然、原住

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    2023年03月16日
  • ビルマに見た夢

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    古処誠二『ビルマに見た夢』双葉文庫。

    第二次世界大戦下のビルマを舞台にした5編から成る連作戦争小説。

    全体にふわっとした感じで、何時もの古処誠二作品のような戦争に対する皮肉や教訓を感じなかった。

    『精霊は告げる』『敵を敬えば』『仏道に反して』『ロンジーの教え』『ビルマに見た夢』を収録。

    本体価格700円
    ★★★

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    2023年02月19日
  • いくさの底

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    第二次大戦時、ビルマで農村に駐留する小隊で発生した殺人事件を扱うサスペンス。戦争がからむサスペンスというのが初めてだったので、こんなのあるんだと思ったが、解説を読むとジャンルとしてあるみたい。民間人で通訳として徴用された主人公の目を通して事件が進むが、実は華僑だの重慶軍だの真相がわかるシーンとかのロジックがやや難しかった。

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    2021年08月07日
  • いくさの底

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    古処誠二『いくさの底』角川文庫。

    毎日出版文化賞、日本推理作家協会賞受賞の戦争ミステリー。受賞作というのは時として面白くない場合が多い。本作もまた、あの古処誠二の作品かと思うくらい面白くなかった。

    第二次世界大戦のビルマ北部の日本軍警備隊が駐屯することになったある山村で、1人の将校が殺害される。さらには村長までもが同様の手口で殺害される。主人公の商社社員で通訳の依井は少しずつ犯人と動機に近付いていくが……

    本体価格880円
    ★★★

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    2020年01月27日
  • 中尉

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    戦地という場、敗戦という状況、そのような寄る辺ない状況下にあって他人と縁を結び他人を想うことのままならなさ。人を見る目を養うというのは、いかに自らをフラットな状態に置けるかの努力であって、それは極限下とても容易くはないことと知らされる。
    “中尉”の安否を示す真実はつまびらかにならず、淡々と時間は進み、少しばかり増える推測を補強し得る事実も。しかし尾能軍曹にとっては自らの“希望”を揺するものでしかなかった。人間関係は立場と視点に制約される、それが個人間であれ国家間であれ。そんな諦観を思った。

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    2018年11月04日
  • 線

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    「軍隊は」という繰り返しにうんざりした。

    軍隊という組織の特性じゃない。
    日本人の生み出したものだ。

    解説にあるほどのものじゃない、と感じるのは私の好みに合わないというだけなのだろう。

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    2013年12月27日
  • 線

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    友人の好きな作家さんだというので、気になって読んでみました。
    過酷なニューギニア戦線での兵士たちの物語。飢えと暑さと疫病に苦しめられ、ひたすら死に向かうだけの兵士たちの姿は壮絶でした。
    特に心に残ったのが「豚の顔を見た日」
    敵の濠州兵は白豚だと、奴らは人間ではない、人間であってはならないと、そう信じて戦ってきた日本兵が見た敵兵の涙。国と国の戦いであっても実際に殺しあっているのは人間と人間だと気づかされた時の悲しみや恐怖が、読み終わった後もずっと頭から離れませんでした。
    あと「たてがみ」にも泣きました。動物ものには弱い。
    歴史に疎く、また軍隊の構成とか階級などもいまいちわかってなかったので難解な

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    2013年07月14日