岩瀬達哉のレビュー一覧
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これだけの関係者に話を聞いて細かく取材して…というのは並大抵ではないと思って読んでいたら巻末に本の出版まで約10年と書かれていて納得。
被害を受けた会社の中心人物、襲撃事件の被害者、当時捜査に携わった警察関係者、マスコミ関係者、犯人として嫌疑をかけられた人たちまでと、とにかくすごいとしか言えない。
私はかなり幼い頃の事件なのでほとんどこの騒ぎを覚えていないけれど、今知れば知るほどに被害会社や被害者はもちろん食の安全を脅かされた一般家庭もパニックだったろうと思う。結局ギリギリのところで犯人は捕まらず完全な時効を迎えてしまった。今も生きていれば普通に生活しているのかと思うと恐ろしくもあり、生きて -
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マスコミ・警察関係だけではなく、企業関係者やアベック襲撃事件の当事者にも取材しているところが新しい。ただ、全真相と銘打つ割には、特に真犯人に迫っているわけではない。
これまでもグリコ森永事件については色んな本を読んできた。中には思わせぶりに逮捕あと一歩まで捜査が肉薄したかのように書かれているものもあったが、本書は逆にそうした見込み・当込み捜査が的はずれであったことを指摘していて、物足りない反面、誠実な「真相」ではあるのだろう。
この事件がなぜグリコ「森永」事件と呼ばれるのか?発端となったグリコはともかく、他の被害企業とは一線を画すほど森永が狙い撃ちにされたのは、本書によれば事件に対する経営者の -
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松下幸之助の伝記。不遇の幼少時代を過ごし、貧困からの脱出を目指した人生だった。苦労しながらも若い頃からの努力とアイデアでチャンスを掴み、ナショナルブランドで成功する。本田宗一郎と並ぶベンチャー企業だったが、会社の雰囲気は家族的であり、彼は「家長」として君臨していたようだ。読んでみて、正直なところ自分はこの会社では勤まらないと思った。幸之助は自分に厳しい人だったが、他人にはもっと厳しかったようだ。当時は権力を誇示しても問題無かったと思うが、もし現代だったらパワハラと言われることも多かったかも。昔の会社がどういうものだったかを知るには、良い本だと思う。
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ネタバレP社の内情を多少知っている側なので、まるでサスペンスを読むかのごとく非常に楽しく読ませてもらった。「出る杭は打たれる」とはよく言ったものでまさにそれだ。それが世界に名だたる企業で普遍的に行われていたのだ。よくまあ倒産しなかったものだな・・・とつくづく思う。いや、P社が危ないと言う噂は実際耳に届いていた。それはないやろ、と笑い飛ばしていたが、この本を読んでまるきりガセではないことを知った。今は8代目の社長に期待がかかる。ここで舵取りを間違うとシャープの二の舞になるぞ。なんとか持ちこたえて「世界のパナソニック」に返り咲いてほしい。国民が渇望する日本人の底力を見せてほしい。
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安倍晋三と昭恵婦人のなれそめ 毒入り菓子で販売中止に追い込まれた森永製菓を自民党食品産業振興議員連盟の会長 安倍晋太郎が支援措置を決めた。この時の秘書官が安倍晋三。そして交際していたのは当時の森永社長の長女昭恵166
キツネ目を取り逃した滋賀県警の本部長は9ヵ月後焼身自殺した。その2ヶ月前からノイローゼの兆候は現れていて、本部長を訪れた旧知の同僚は本部長から乃木希典の話を延々聞かされた。「同郷の乃木を尊敬している」のだと231
グリ森犯人グループにはイラスト・商業美術関係者がいる。デザインで仕様するリムーバーを使い菓子の梱包開封を行っている241 -
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【感想】
本書でグリコ森永事件を初めて知ったが、心から驚いた。これほどまで大掛かりな脅迫事件を演出した犯人の知能の高さと、実際に複数の企業から数千万円を奪った実行力の高さ。そして時効まで行方をくらますことに成功した運の良さ。
脅迫企業の裏で警察が動いていることを犯人に悟られてはならないため、警察は表立って活動できない。その状況を逆手に取り、何度も要求を繰り返しては現金受け取りをキャンセルすることで、警察側を焦らして慎重にさせ、捜査を後手に回らせる。その後「約束を破って警察に通報した罰として、毒入りの菓子を置く」と脅し、株価を暴落させる。そして企業や警察の反応を世間に喧伝することで、「かい人21