エレナー・アップデールのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
同時多発爆発事故(事件か事故かは不明)が起きることになる、クリスマスを目前に控えた、昔ながらの個人経営の商店が立ち並ぶ、近くに飛行場のある小さな街の、その爆発から1分前からの出来事を、1秒を1章単位でカウント・ダウンして描いていく、といった異色の作品。
事故の中間報告を掲載したホームページのアドレスまで載っているが、そのホームページの記載内容も含めて、全てはフィクションである。
街の人々の生活と同時に飛行機の中での不審者についても平行して語られる。
この不審者のエピソードものちに重要になってくるのだが、ネタバレになるので割愛。
ただ、ネタバレ、とはいっても、読者は既にここに描かれている人々が1分後に殆ど全員死んでしまうことが判っている。
そう考えれば、これほど無慈悲で残酷な本も珍しいのではないか。
ここでは休暇旅行を楽しみにしている女性、お腹の中から蹴ってくるこれから生まれてくるであろう赤ん坊をいつくしむ母親、バスの中で大騒ぎする子供たち、母親の井戸端会議を尻目に拙い歌を披露する幼い子供、娘に会うことを心待ちにしている老人、不倫をしている男とその妻、そしてその愛人、認知症の老婆、物乞いの男、久しぶりに再会することになる恋人たち、そういった人々のことが語られている。
なんの変哲もない日常がそこにある。
そこには、僕自身に重なるような人物もいるし、あなた自身に重なるような人物もいるかもしれない。
あるいは自分の母親、父親、兄弟、姉妹、友人、それらに重なるような人物がいるかもしれない。
読者はそんな登場人物たちが、1分後には悲惨な状況で死んでしまうと判っていても、助けることもできなければ、「逃げろ!」と警告を発することも出来ない。
ただただ死に向かってのカウント・ダウンを数えることしか出来ない。
どんな人生を歩んでいようが、どんなに幸せだろうが、どんなにうしろめたいことをしていようが、どんなに夢や希望を抱いていようが、死はそんな個人の都合にはかまうことなく「一括」で処理されてしまう。
そうか、爆弾テロや自爆テロって、こういうことなのだろうな、と思わずにはいられなくなる。
偶然が重なり助かった人や、娘を亡くしながら助かった母親(ただし瀕死の重傷を負う)等もいるが、10名の12~13歳の子供たち、5名の2~3歳の幼児たちを含め、全65名が死んでしまうことになる。
そんな子供たちや幼児たちも含め、登場人物が多数出てくるので、それぞれに深く人物を描くことは出来ていないが、それでもこれだけの登場人物をそれぞれにきちんと描き分けることは出来ていると思う。
また、それぞれの人物の描き方が、終焉を迎えるにつれてどんどんと短くなり、終わり近くの章では、次々に視点が移り変わっていくのだが、それにより、より緊迫感が増してくる。
自爆テロなどのニュースでは「被害者は○○人です」と簡単に纏められて報道されることが多いが(特に海外での事故など)、実際にはそんなに簡単に語れることではないんだよな、と改めて思い知らされる。
読み終った後に、実に色々と考えさせられた作品だった。
星五つは、読み物として、というよりも、この特異な読書体験に対して。 -
Posted by ブクログ
ネタバレある商店街での爆発事件の1分前から1秒ずつ周囲にいる人々のエピソードが語られる。
1秒でそんなに盛り込めないだろ!というつっこみはさておき、みんなが知りたいタイショーの漫談まとめ↓
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55(秒前):大将に、とっておきの漫談があるんだよ。
54:この話はきっと気に入る。
53:大将の仕事に関係があるんだ。
52:聞いたことがあるかな。
51:それってのがさ
50:ジャックとピートっていう
49:昔の友だちどうしが
48:そこで出くわした。
47:これがまったくの偶然だった。
46:で、ジャックは
45:昔の友に会えて
44:そりゃもうワクワク。
43:そこで彼(ジャック)は言った。『こいつぁ、うれしいね。
42:まさかこんなところで会えるなんて。けど
41:なんだって、そんなシケたツラしてる?』
40:(ピート)『じつはさ、オレ
39:医者に診てもらったんだ。
38:オレさあ
37:めったにねえ病気になっちまった。
36:望みはゼロだとさ。
35:あした、死ぬんだよ!』
34:するとジャックが言った。『ピート
33:そりゃ、大変だ。
32:だが、落ち込むな。
31:オレが、おまえを
30:人生最高の
29:夜を体験させてやる』
28:そこでふたりは
27:そりゃもう
26:豪勢なレストランに出かけ
25:片っ端から料理を注文して
24:食えるだけ食った。
23:夜を徹して
22:しこたま酔っぱらって
21:翌朝はひどい二日酔い。
20:死にかけている男は
19:友をぎゅっと抱きしめた。
18:喉を詰まらせて、彼は言ったよ。
17:(ピート)『どうやって礼を言えば
16:わからないよ。
15:最高の夜だった。
14:完璧だよ。
13:人生最後の日が
12:今日でよかった』
11:ところが今度はジャックがふさぎ込んでいる。
10:死にかけている男は
09:わけがわからなかった。
08:それで、彼はきいてみた。
07:(ピート)『おい、どうしたんだよ?』
06:それでジャックは
05:ピートに説明した。『だって
04:おまえはいいさ。
03:行かないと。
02:オレには仕事があるんだよ』
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うん。面白くないけど爆発前に話し終えられている!すごい!しかしバーニーの仕事(居酒屋経営)に関係はないような気がする。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家「エレナー・アップデール」の長篇ミステリ作品『怪盗紳士モンモランシー2 ロンドン連続爆破事件(原題:Montmorency on the Rocks: doctor, aristocrat, murderer?)』を読みました。
「ジェフリー・アーチャー」、「マージェリー・アリンガム」に続き、イギリスの作家の作品です。
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崖っぷちの怪盗紳士
痛快シリーズ第2弾!
「モンモランシー」は崖っぷちにいた。
泥棒稼業から足を洗い、「ジョージ・フォックス・セルヴィン卿」と共に諜報員の仕事をしていたのだが、トルコで麻薬に溺れてしまったのだ。
「モンモランシー」の困った言動に手を焼いた「ジョージ」は友人の医師「ファーセット」に治療を依頼しようとした。
ところが当の医師は自分のミスで患者を死なせてしまったことで、引退を決意していた。
「ジョージ」は二人を立ち直らせるべく、ロンドンを離れスコットランドにある兄の城に連れていく。
一方ロンドンでは爆破事件が起こり、諜報員の手腕が必要とされていた。
好評シリーズ第2弾。
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2004年(平成16年)に発表された「怪盗紳士モンモランシー」シリーズの第2作目にあたる作品です、、、
ビクトリア朝時代のロンドンを舞台にしたシリーズで、(読んでないですけど…)前作から10年後の1885年(明治18年)の夏から物語は始まります。
秘密諜報員「ジョージ・フォックス・セルヴィン卿」はトルコで麻薬に溺れてしまった「モンモランシー」と同じく自らのミスにより患者を死なせてしまって落ち込む友人の「ロバート・ファーセット医師」の二人を立ち直らせるべく、ロンドンを離れスコットランドにある兄の住むグレンダーヴィー城へ連れて行く… その頃ロンドンでは爆破事件が起こり、諜報員である「ジョージ」と「モンモランシー」の手腕が必要とされていた、、、
まだ完全に立ち直っていない二人を残し「ジョージ」は捜査のためにロンドンへ戻る… 一方、「モンモランシー」と「ロバート」は、グレンダーヴィー城の使用人「モラグ」のまだ赤ん坊の弟が亡くなったことから、「モラグ」に付き添って離島のタリモンド島へ向かうが、そこでは数年前から産まれる赤ん坊がすべて1歳になるまえに次々と病死していることを知り、原因を調べようとする。
「ジョージ」と「モンモランシー」、「ロバート」の三人は、ロンドンでの連続爆破事件とタリモンド島の呪われた赤ん坊の連続死の謎を追うことになる……。
「モンモランシー」と「ロバート」が、スコットランドのグレンダーヴィー城やタリモンド島で過ごすうちに、自分らしさを取り戻す前半、
下宿屋の娘「ヴァイ」を加えて「ジョージ」と「モンモランシー」が連続爆破事件の犯人を追い詰める中盤、
「ロバート」が小児科病院の医師「ドナルド・ドゥーガル」の力を借りながら、タリモンド島の呪われた赤ん坊の連続死の驚くべき真相を突き止める後半、
の大きく3つの展開に分かれていましたね… 連続爆破事件もタリモンド島の赤ん坊の死も、凶悪な殺人鬼の犯行ではなく、ちょっと哀しい展開でしたね、、、
特にタリモンド島の件は、本人は意図せず善意のつもりだっただけにね… とはいえ、赤ん坊が何人も死んでいったのは事実なので、あそこまで島民が寛容になれるかどうかは疑問でしたね。
あまりミステリ色が強くない作品でしたが、ユーモアが巧く織り交ぜてあることと、独特なキャラに魅せられたことから、飽きずに最後まで読めました。
以下、主な登場人物です。
「モンモランシー」
元泥棒の秘密情報員
「スカーパー」
モンモランシーが泥棒するときの別名
「ジョージ・フォックス・セルヴィン」
侯爵の子息。秘密情報員
「エドワード・オーガスタス(ガス)・フォックス・セルヴィン」
ロッセリー侯爵。ジョージの兄
「ロバート・ファーセット」
外科医
「チバーズ」
ジョージの従者
「モラグ」
グレンダーヴィー城の使用人
「ハーヴィー」
グレンダーヴィー城の使用人。モラグの叔父
「マギー・ゴウディ」
タリモンド島の助産婦
「マイケル」
タイモンド島の神父
「ヴァイ」
スカーパーが下宿していた家の娘
「ロングマン」
マリミオン・ホテルの支配人
「シシー」
ロングマンの娘
「ライオンズ」
仕立屋の店主
「ドリー(マダム・リヨネーズ)」
ライオンズの妹。婦人服専門の仕立屋
「モリー・ミード」
爆発事件の犠牲者
「ジョー・ミード」
モリーの兄
「ドナルド・ドゥーガル」
小児科病院の医師
「メアリー・オコンネル」
ドゥーガルの患者の少女
「オコンネル」
メアリーの保護者