山本有三のレビュー一覧

  • 路傍の石

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    ネタバレ

    もし自分が、このお話の主人公だったとしたら、
    果たして今のように自分自身を保っていられるだろうか?

    この本は何十年も前に読書感想文の為に選び、いちど読んでいますが、
    改めて読み終わった今、真っ先にそう感じてます。

    主人公、愛川吾一は道ばたの蹴られる石。タイトルの通り
    彼は話のいたるところで理不尽な扱いを受け、ほんのささいな希望すら
    踏みにじられては、それでもそのたび起き上がって生きていく
    雑草魂を幼少期の頃から否応なしに求められます。

    彼の生まれるすこし前の日本では、明治維新が起こり、
    歴史的大転換期をうまく変化できた者と、そうでなかった者で真っ二つに割れ、
    この吾一の父親、愛川庄吾の育

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    2024年04月08日
  • 路傍の石

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    逆境におかれながらも経済的、精神的に自立した人間になろうと、ひたむきに努力する吾一少年の姿に心が震えた。
    自分はいかにして生きるかという本質的な問いに対する答え、戦略を持つことの大切さを改めて感じた。
    すごく面白かったけど、検閲の網に引っかかって未完なのが残念。

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    2021年08月15日
  • 路傍の石

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    一気に読んだ。ここで終わんの!!!て感じ。
    今でも十分やのに速記を覚えたり、手を繋ぎ合わないとという話を自分なりに解釈して味方にしたり、素直さと貪欲さに痺れた。
    少年が頑張る話、いつまでも好きやわ…

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    2021年06月13日
  • 路傍の石

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    働かないで家にも滅多に帰ってこず、吾一の貯めたわずかばかりの貯金さえ使い込んでしまうような父。生活のために内職をして体をこわし早くに亡くなってしまう母。吾一は奉公先を飛び出し東京で一人なんとか生きていく。子供ながらにその強さには感心する。次野先生の「吾一」とは「われひとり」この世にたった一人の大切な存在なのだと言うことばを胸にひたすらに努力して自力で学校にも通い、勉強を重ねる。だが再び父親に独立しようと貯めておいたお金を使い込まれる。彼は何度も何度も蹴られる路傍の石であった。

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    2021年02月13日
  • 路傍の石

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    本の内容はあえて省く。この本の書かれた時代が偶然にせよ、完結にまでいたらせなかったことが非常に残念ではある。主人公が厳しい境遇にありながらたくましく生きていくことは素晴らしいことであるが、自分の乏しい経験からするともはや時代遅れと感じている。
    20年以上も前になるが、自分がいた会社で統括部長がその年にが新入社員に訓示したことは「石の上にも三年という言葉があるが、今はそんなことはない」というものであった。去る者はとっととされ、自分のやり方についてくるものだけついてこい、と自分は理解したが当時会社の中でもプロジェクトがあまり思わしくない状況であり、目の前は誰が見ても泥船でありそれを立て直すことに運

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    2019年05月02日
  • 路傍の石

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    いわゆる成長小説です。どんぞこの状況下で生きてきた少年の成長を描いた作品。すごくおもしろかったのですが、悲しいことに未完。理由は戦時中の校閲、戦後の校閲など言論の自由への制約から、書くことが出来なかったため。戦後再開をするのですが、もう筆者には「書けなかった」ということです。すごく残念です。
    人一人の人生とは、それぞれにドラマがあることを改めて感じます。

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    2013年06月26日
  • 路傍の石

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    たった一人の自分を

    たった一度の人生を

    人間、本当に活かさなかったら

    生きてる意味なんてないじゃないか。

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    2009年12月02日
  • 路傍の石

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    子供の頃、恐らく読んだことのある名作ですが、
    大人になった今、改めて読みました。
    一気に読み切りました。
    この作品って未完だったのですね。
    勉学に励みたくても貧乏のため、奉公にでなくてはならなくてはならなかった主人公の吾一。
    彼のひたむきで正直な姿に時代は昔のものですが、作品としては今でも素晴らしいと思いました。
    今の時代の子供にも、大人にも読んでもらいたい一冊です。

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    2009年10月04日
  • 路傍の石

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    小説の中身もさることながら、軍国主義の中で、作品自体も、途中からねじ曲げられ未完のまま終わっていたりと、その時代背景すら作品の一部となっている。

    プライドとコンプレックス。
    才能のある少年吾一は、不条理な時代をどう生き抜くのか?
    はたして、路傍の石の運命は?

    現代の日本人がなくしてしまった、武士の魂がここにある気がした。

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    2009年10月04日
  • 路傍の石

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    祖父に勧められて読んだ本。
    小学校、中学校の頃に読んだのであまり覚えていないが、主人公の吾一と言う名前には、「この世に吾一人」という意味が込められている。子供心に、自分という人間はこの世に唯一人であり、アイデンティティーを大事にしていこうと考えさせられた作品。
    もう一度読み返したいと思う数少ない作品の内の一つ。

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    2009年10月04日
  • 路傍の石

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    タイトルの「路傍の石」というのはこの小説にぴったり。
    曲がったことが嫌いで、融通が利かなくて、だけど 誰より努力家で信頼できる男性に成長した吾一。
    雇われずに自分で事業をし始めたところで小説 は終わってしまったが、その後の吾一の物語を読んでいきたいなと思った。

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    2025年11月18日
  • 路傍の石

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    八十年前以上に書かれた小説らしがらぬ感情がハラハラするストーリーだった。妙にこのえがかれた境遇と取り組み方が、私の仕事に対する向かい方を刺激した。時代は変われど心のモチベーション意識には普遍なんだろう。不合理であり弱者はずーっと弱者みたいな、そんな境遇を己の力と努力で脱したい。
    また、血の繋がりあるだけで全ての過去を許してしまう状況も共鳴してしまう。大変面白く読むことができた。

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    2025年01月28日
  • 路傍の石

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    小川洋子さんのラジオで紹介されていて、今更ながら読んでみたが、とてもよかった。
    昭和15年、制裁を受け、未完にせざるを得なかったことは「ペンを折る」に書かれている。
    吾一の志が素晴らしい。

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    2020年02月29日
  • 路傍の石

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    主人公の吾一と同年代である若いときに読むのもいいけれど、大人になって改めて読んだらまた、大人の登場人物の心情や日露戦争前後の社会の空気など、いろいろ違うものが見えて面白かった。

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    2018年05月31日
  • 路傍の石

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    山本有三記念館に行ったのをきっかけに、どんな文章を書く人だったのだろう?と思って読み始めてみた本。もっと古めかしい文章かと思ったら、意外と読みやすい。だけどタイトルの「路傍の石」の様に、この本も戦争によってあっちでけっとばされ、こっちでけっとばされ。結局完成しなかった。完成してないけど、それもまた良いかと思ってしまうのがこの本の不思議なところ。統制を受け、自由な表現が規制された時代。今でも何でもOKなわけではないけれど、作家にとってどんなにか息苦しい時代だったのだろう。今後二度と、そんな日本にはなって欲しくないな。作品も良かったけど、「ペンを折る」という文章がとても印象に残った。働くとは&qu

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    2017年10月16日
  • 路傍の石

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    中途半端なところで一時中断、そして再開するも微妙なところで終わっているのが勿体無い。

    明治時代に生まれた少年の成長記です。時代的には日露戦争後?父親に振り回され奉公に出され、都会に出て身を立てる家主の娘といい雰囲気になるかな?と思ったらまた父親、またお前か!
    困難だらけの人生ですが、それでも上を目指していこうと頑張る吾一を見てると応援したくなります。

    そしてあんな父親いたら嫌だ...

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    2011年06月29日
  • 路傍の石

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    人間としていかに生きるか、といかにして生きるのか。世界共通の課題であろう。本書は、様々な人間模様が見えて大変面白い。正直にまっすぐ生きることが、果たして良いことなのか。いや、そもそも生きることとは何かを考える良い刺激になった。

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    2011年05月13日
  • 路傍の石

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    昔、小学校の時分に読んだ覚えがある。呉服屋に奉公に行くこと、鉄橋で度胸試しをすることなど、部分部分覚えている箇所もあったが、今読み返してみると、主人公の苦労は、単なる苦労どころの話ではなく、まさに生きるか死ぬかという崖っぷちの苦労であることに驚いた。こんな過酷な話だったのかと驚いた。
    なんとなく、人間は優しいのが当たり前だと思い込んでしまっているようなことがあるかもしれないが、それは違うと教えてくれる。
    人が社会で生きることは、生やさしいことではないのだと、教えてくれる良書だ。

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    2011年05月05日
  • 路傍の石

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    明治時代中期を生きた少年の成長記(但し未完)です。
    遅刻するから、と待ち合わせに現れない友達を諦め学校へ急ぐ優等生吾一。学校のできた彼であったが貧乏という致命的な重荷を背負っていた。優位逆転に屈辱を味わい親父にも度々足を引っ張られながらも、か細いツテと運をテコに持ち前の闘争心で人生を切り拓いていく。
    誰よりも早く始め誰よりも遅くまでやる、辛抱、ド根性の時代。成長してなお多少の嫌味が抜けない主人公の姿にかえって著者の誠意を感じました。美しすぎる人物は信用できない。ただただ彼の生命力が眩しく、皆生きることに逞しい。続きが読みたかったです。切に。

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    2010年09月03日
  • 路傍の石

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    戦争の時代に書かれた本です。
    治安維持法などの法律により、山本有三は物語の続きを書けませんでした。
    政府に対する思想を持っていたためですが、
    途中で打ち切りとなってしまったので、続きがとても気になる終わり方になってしまっていました。
    主人公が関わる人たちが著者の思いを代弁しており、
    その中でもいちばん印象的だったのが学校の先生でした。
    学校で教えることは何なのか、
    このままでいいのか、など、今でも同じことが言えると
    思うようなことがたくさん書かれていました。
    日本政府はこのような大事なことを伝えていた作家を邪魔して、
    とても大きな失敗をしてしまったと思いました。

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    2009年10月07日