石井正のレビュー一覧
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石巻赤十字病院の外科部長・医療社会事業部長である著者が、宮城県より災害医療コーディネーターを委嘱された直後に東日本大震災を経験し、石巻医療圏の医療崩壊を救うべく奮闘した7ヶ月間の記録である。東日本大震災の史上類を見ない被害状況を客観的に描きながら、約1万5000人にも上る医療救護チームを率いた様子を著している。著者は、自身を「調整官」と評しているが、「人の命を救う」、「医療崩壊を防ぐ」という目標に向かっての強いリーダーシップと熱意には脱帽した。「これは官(あるいは民)の仕事だ」と線引きをしようとする人がいる中、著者は線引きなどせず、「誰であればその役割を全うできるか」を常に意識しながら行動して
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Posted by ブクログ
ネタバレ東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻。そこで7ヶ月という長期に渡り災害医療コーディネーターとしてリーダーシップを執った、石巻赤十字病院の石井医師の記録。
本著は被災者支援について医療の側面から記したものだが、そこに書かれている事はすべて、どんな場面にでも必要かつ大切な要素だと思う。
以下、その要素を抜粋。
• 第一線に立つ実務担当者どうしが、お互いに顔がわかり、密接に連携できる関係でなければ、災害発生時に何の意味もなさない。
• 訓練とは、そのきわめてリアルなマニュアルをもとに、担当部署や職員が本当に機能するのかを実際に検証、確認するのが目的である。でなければ、いくら訓練を重ねても「訓 -
Posted by ブクログ
ネタバレ活動コンセプトがしっかりしていないと寄せ集めの集団が同じ方向へ向かっていくことはできない、だから「軸」をぶれさせないことに注意したという言葉が印象的だった。息つく間もなく押し寄せる難題とそれに対する思考と決断にただ圧倒された。自分だったらこの極限状態でどこまでのことができるか改めて振り返った。それから自分の専門分野外のコネクションを平時から構築しておくことなど、まだ災害が起きていないときに出来ることの多彩さにもはっとした。実際にひとたび災害が起きてしまったらマニュアルをめくっている暇なんか無いことの方が多いはず。だからこそ、備えるときに備えられるだけ備えておきたい。