宮津大蔵のレビュー一覧
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ネタバレ宝塚に興味を持ち始めたばかりなので、最初の「お父ちゃん」の話はとても面白かった。2話目のマリコのお父さんは魅力がなくて、読んでてうんざりしてしまった。よくいるわ、こういう視野狭窄親父…。ある意味リアルだった。マリコとアイコの友情が素敵だっただけに残念。
出てくるタカラジェンヌたちは皆魅力的なのだけど、完全オムニバスでもよかったんじゃないかなと思った。同じ人たちばかり出てくるから、全部月組の話に思えてしまう。時代も人もバラバラにしてしまった方がバラエティに富んだ感じがしたかなぁ。
文章は読みやすく、華やかな舞台を影で支える人々の裏話的な感じで面白かった。 -
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宝塚ファンなので手に取ってみました。
宝塚歌劇を支える男性たち(生徒監、組プロデューサー、大道具、生徒さんの父、兄)にスポットを当てた、連作短編小説。
ファンとして色々ツッコミたいところはあったけど、生徒監が阪急電鉄の駅長退職者が多いとか、組プロデューサーの仕事内容とか、「へぇー、そうなんだ」と感心しながら読んだ。
日頃ファンの方のブログを読んでると、役付きの決定をしているのはプロデューサーであるかのように書いてることがあるけど、そうではないようだ。
役を決めるのは演出家。宝塚のプロデューサーは、世間一般が思う「プロデューサー」業とは違うみたい。
生徒監、大道具、プロデューサーは、最初はみんな宝塚に興味がないのに、そこで働き、生徒たちを見てるうちに、特定の生徒を気に掛けたり、心の中で応援したりするようになるくらい肩入れしていく。
遠くから眺めてるファンであってもこれだけ肩入れして応援できるんだから、近くで一緒に舞台作ってる人たちなら、なおさらそうでしょう、と納得。
全編通して登場する、「サンバ」という背の低い男役さん。
いぶし銀の演技が光るダンサーで、研17まで男役をつとめあげた彼女が「結婚したいから、早く性転換しなきゃ」と退団して、その後舞台とは縁のない生活を送っている…というラストは、晴々しい彼女の描写に反して、私は悲しさを感じた。
退団後もお姿を見せて欲しいというのはファンのワガママだと自覚していますが、なんていうのかな、この本では、男役であることがサンバさんの人生にとっての「足枷」であるかの描写になっていて、それが悲しく感じたのだ。もともと、男役やめることを「性転換」と呼ぶ表現も苦手なので、なおのことそう感じました。
サンバさんは、とても気遣いのできる人で優しい。生徒監のお父ちゃんのために新幹線に同乗してあげたり。だから家庭への憧れが特に強かったのかな?と思って納得することにしますね…。
マリコというジェンヌさんが音校に合格するまでの家族の物語は、私にも子どもがいるからジーンときた。
友達と称え合い、互いに高め合って、誰かの幸せを喜んだり、誰かの悲しみに涙できる、そんな子に成長したこと、そんな友人を得たことが、合格より嬉しい。…泣ける。
宝塚歌劇というのは、ジェンヌさんの物語も込みで楽しむものだと、私は思っています。
多くのジェンヌさんが、生まれた時から満ち足りた暮らしを保証されているような裕福なお家の子なのに、その多くが中卒で(中卒学年という意味ではなく、高校中退は学歴としては中卒ということです)、わざわざ、大変な芸事の道に進む。
努力し続けることができる人じゃないと宝塚には入れない、というサンバさんの言葉にも納得。
もちろん、途中で無理だと悟って辞めていく子もいる。
その中で続けていくことの尊さを、改めて実感しました。
この作者さんにとって、この本が初の一般書らしいです。
普段は子供向けの本を書いているとのこと。
この本も一般書というより、文章や内容としてはヤングエイジ向け、小学校高学年〜中学生くらいの子向けかな〜と思いました。
宝塚に興味のある小中学生がいたら、マリコの話「咲くや此の花」は読んで欲しいなって思った。 -
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やっぱりヅカはええよなぁ。
地元で生まれ育ち、たぶん、都会の人が映画を観る感覚でふつうに観てきた。
ベルばらブームは肌で感じたし、「たのきんトリオ」絶世期に、「下敷きに挟む」アイドルはトシちゃんじゃなくて大地真央、って同級生も多かった。
長い間観てなかったけど、故郷を離れると里心からかむしょうに観たくなり、ベルばら再演というのもあいまりまた通うように。
大人になって再認識する。
我の美意識の原点ここにあり
でも実は何も知らなかったりするので本屋で見かけて手に取ってみた。
舞台裏を支える「阪急電鉄社員」(たぶん)らの話。
どの話もへ〜、ほ〜、そうなんや〜、という感じで楽に読み進められる。
マリコの音楽学校に入学するまでの話は時々ほろっとくるところがあった。
原口の単純さもいいな。
身に覚えのある大震災も出てきて、なんか、近所のおっちゃんらの話を聞いてるような親しみを覚えた。
が、まぁ、ヅカに興味のない人は絶対に読むことないやろなぁ。
ただ、逆瀬川の串揚げの店やらちょいちょいリアルなお店も出てくるので、地元の人は面白がって読むかも。
とりあえず、また、観たくなったな。そしてたぶん、次はまた違う目で観ることが出来そうで、宝塚の楽しみ方が増えたことには違いない。 -
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掴みはイマイチ。阪急梅田駅の元駅長がどこにお住まいか知らんけど、この辺りに暮らす関西人は「何々やさかい」という関西弁は使いません。著者は関西人とちゃうやろと思ったらやっぱりそう。
で、読む気が失せつつ先へ進んだら、第2話以降がとてもいい感じ。宝塚音楽学校に入学したい娘だったりその家族だったり、関西人ではない人が多く登場するから、第1話で抱いたような関西弁への違和感がなく、話に没入できる。第2話は「ちょっぴり焦り気味の重松清」みたいに思いましたが(笑)、それもまた良し。各話の登場人物が絡み合っていて、入学からスターになるまでを見守っている気持ちにもなれます。
タクシーに乗って買い物に行くのはおそらくイカリスーパー。サンドイッチ屋“ルマン”も串カツ屋“くいじーぬ”も実在店。知っていればより楽しめることでしょう。高速道路のサービスエリアで男子トイレに平気で入るおばちゃんの描写には、「そんなオバハンおらんて」と怒りを覚えましたけれど(笑)。
本作に登場する男性陣のように、宝塚を観たこともないのにどうせたいしたことないと思っている方々、死ぬまでに一度はご覧ください。世界の盗塁王・福本豊氏もいまやすっかりヅカファンです。 -
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宝塚といえば「女性だけ」のイメージだけど、スタッフさんや家族には当然、男性もたくさんいる。
普段は光の当たらないその男性たちの視点から見た宝塚。
6話からなる短編集は軽く連作になっていて、前の話で出てきた受験生が予科生になっていたり舞台に立っていたりするので、「お父ちゃん」たちと一緒に少女たちの成長を見守っているような気持ちになれる。
「月の番人」
阪急の駅長を定年退職後、歌劇団の寮の生徒監になる多々良さんのお話。
生徒監が生徒たちに「お父ちゃん」と呼ばれているのが、なんだかあったかくていいなぁ。
「咲くや此の花」
宝塚受験を目指す万里子のパパ、荒木さんのお話。
OGさんのスタジオにちょっとしたご縁があったので、受験のために一生懸命レッスンに通う少女と親御さんの話は身近に感じる。
「ハッピーホワイトウエディング」
宝塚に合格した美雪のお兄ちゃん、裕一のお話。
予科生の決まり事がいろいろ書かれていておもしろかった。知っている話も知らない話もあったけれど、制服にポケットがないのは不便そう。
「星に願いを」
工業高校卒業後、遊園地で電気関係の仕事を希望したのに歌劇場の大道具に配属されてしまった原口くんのお話。
「コスモポリタン」
本社人事部から歌劇団の制作に異動となった鍋島さんのお話。
制作といっても、実は歌劇団の人事のような立場。タカラジェンヌにリストラ=卒業を促す役目に悩む。
「海外専科」
5話の鍋島さんを中心に、ニューヨーク公演を企画。成功を目指すお話。
4話の原口君も再登場。
各話それぞれ、宝塚の組名を思わせるタイトルになっているのに気付き、また楽しくなる。
ディープな宝塚ファンが満足できる内容かどうかはわからないけれど、ファンでなくてもさらりと楽しめる一冊。
作者さんは教育書や児童向けミステリなどを書かれている方で、本書が初の一般書だそう。
易しい文章で読みやすく、たまにヘンな関西弁もご愛嬌。
ただ、校正したの?と疑問に思うくらい多数の誤植があり、それが残念。