一徳のレビュー一覧
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アラビアンナイトより「空飛ぶ木馬」と「アブ・キルとアブ・シル」の二篇が収録されている。
『空飛ぶ木馬』
ペルシャのサブル王は大変大金持ちで、気前のいい王様でした。その王子のカマル・アル・アクマル(「月の中の月」という意味)は、大変美しく知恵と勇気がありました。
ある日サブル王のもとに、ペルシャ人の老学者が空飛ぶ木馬を売り込みに来ます。カマル・アル・アクマル王子がその木馬に乗ると馬は空へ浮かびます。聡明な王子はすぐに木馬の操縦を覚えて他の国々への冒険に出かけます。王子は夜になるとある王宮に降りました。そこはサナアの都で(現イエメンの首都)、絶世の美女のシャムス・アル・ナハル姫の前に辿り着くのでした…。
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アラビアンナイトに出てくる望みや財宝は無尽蔵だ。冒頭のサブル王は気持ちよく遊蕩して国民や客人へも気前が良い。出てくる人たちも広範囲の国々に渡っている。最初はペルシャ、王を尋ねる客人はインドやギリシャ人、そして王子が行き着いたのはサナア(現イエメンの首都)。そして言語もペルシャ語、ヒンディー語、アラビア語、ラテン語、ギリシャ語で、これらを使いこなすことが人より抜きん出る条件となっている。
空を飛ぶということは人間の夢だが、このお話では、すべての人間が良い使い方ができるとは限らない、というなかなか冷静な判断がくだされていた。
『アブ・キルとアブ・シル』
染屋のアブ・キルはほとんど詐欺師。エジプトにいられなくなったアブ・キルは、人の良い床屋のアブ・シルとともに旅に出た。旅の途中も、ある都に留まってからも、アブ・キルはアブ・シルに働かせて自分は寝てばかり。やがてその都で二人はそれぞれ商売で大成功する。
だがアブ・キルは、事あるごとにアブ・シルを陥れようとするのだった。
==軽い語り口に気ままな登場人物なんだが、中身ななかなか人の心の複雑さが出ているお話だった。アラビアンナイトの世界では人が財産を築くのも命を落とすのも一瞬だ。 -
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ネタバレ斉藤洋のアラビアンナイトシリーズ4冊目。
ある国王に献上された黒檀でつくられた木馬。美しく、たくさんの宝石がちりばめられているというだけでなく、空を飛ぶのです。しかし、それを献上したペルシャの老人は、かわりになんでも希望をかなえると言われ、王の娘を妻に欲しいと言う。年がちがいすぎる!ところで、その国の王子は、木馬にのって異国へ行き、美しい姫と出会い、恋に落ちる。恋と冒険の物語。
もう一作「アブ・キルとアブ・シル」の話。腕がいい染め物職人だが、怠け者で人を騙してばかりのアブ・キル。腕がいい床屋で、やさしく、気前のいいアブ・シル。いつもアブ・キルのために食事をやったり、面倒をみてやっているアブ・シル。しかしアブ・キルはアブ・シルをおとしめていく。最後はアブ・キルの悪事はばれて処刑されるが、最後までアブ・キルはアブ・シルを嫌っていて、それなのに、アブ・シルは友情を感じている不思議。 -
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ネタバレ斉藤洋のアラビアンナイトシリーズ2冊目。
ディズニーの映画で「知ってる」気になっている子が多いと思われるが、(私もその一人)斉藤洋の再話はやはり良い。あとがきで、アラジンは運命に予定されていたランプの使い手だという不思議と、アラジンが途中からランプを使わなくなるということに注目して、「偶然手に入れたパワーに、いつまでもたよるような人間は、ランプの所持者としてふさわしくないということでしょう」というのがいい。
それにしてもアラジンははじめ、遊びほうだいで母親を悩ませ、母親もアラジンの言われるままに、過保護にも王様への謁見に行ったりと、ちょっとなあ、と思うが、アラジンも10歳とかから話がはじまるから、そんなもんか。まず顔立ちが綺麗な男の子という設定からはじまるもの、特に必要条件、アラブの世界でも綺麗な者でないと主人公にはなれないのだなーと思った。
あと、たくさんの知識を得ること、外国語もしゃべれるようになることは、とても大切だと4作共通で思ったし、人に親切にすることもアラブの世界では当然なのだ。
思っていたアラブのイメージと違うのがいい。困難なこと、人との出会い、奇妙な体験・・・すべてが「神の思し召し」なのだ。懐が深い! -
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ネタバレ斉藤洋によるアラビアンナイトシリーズ1冊目。
正式には千夜一夜物語。ペルシャの王が、ある女性に裏ぎられてから、夜は女をめとりながらも朝には殺していた。とうとう女性がいなくなり、大臣の娘が王のもとに。その女・シェヘラザートは、王に楽しい話しを語り、王は話しの続きが知りたいがために、シェヘラザートを生かし、ついに仲の良い夫婦になった。千夜一夜物語はシェヘラザートの語った物語としていくつもの話をまとめたもの、という枠物語とされています。
千夜一夜物語は、フランスのアントワーヌ・ガランが18世紀に、イギリスのRバートンが19世紀はじめに紹介しています。もともとはインドからギリシャにいたる広い地域の物語だったものがペルシャやアラビアに伝わり、16世紀に書き留められたものらしい・・・結局は、はっきり誰が書いたかくわしいことはわかりません。
シンドバットの冒険では、商人のシンドバットが、奇想天外な航海をして、幾度もピンチになるけれど、乗り越えて商売を成功させていく話し。もともとお金はあって、おもしろ楽しくくらしているけど、しばらくすると、航海に出たくなる。しかも、商人としてもうけたい。航海では、怪鳥やら大蛇やら人食い人種やら出てきて、本当に命からがら。でも、人々はそんな冒険談が好きなんだな。 -
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ネタバレ子供の頃、アニメで観ていた気がする。覚えていたのは、バクダッドという地名と、「アラーの神のおぼしめし」。「おぼしめし」という言葉は本作でも何度か出てきたので、やはりキーワードのようだ。
神のおぼしめし、なのか、シンドバッドはめちゃくちゃ強運。旅の仲間がどんどん亡くなっても、最後は一人だけ生き残るし、お宝も手に入る。でもケチくさくなくて、人にもどんどんあげちゃう。
毎回船が難破するなどして大変な目に遭うので、もう出かけるのはやめろ!とか、また蛇か⋯(鳥か⋯)と思ってしまったが、お約束と思えば面白いかも。
動物の脅威より、人を太らせて食べる民族とか、伴侶が亡くなったらもう一人も死ななくてはいけないルールとか(食べ物を持たせるのはなぜ?)、人間が出てくる場面が面白い。それにしても、一夫多妻とは言え、シンドバッドは旅先であっさり結婚するんだなぁ〜。
おんぶして離れない妖怪も面白かった!