吉田一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1993年に刊行された書籍が再版された本である。自分が読んだ九龍城に関する書籍や写真集の中で、唯一実際に人が住んでいた時期に撮られた写真が掲載されている。住んでいた人々のインタビューも併せて、城内でどのような生活がされていたのかを知りたければこの本が最適だと思う。
読んでいて感じたのは、同じ城砦内に住む人でも、住んでいる場所や職業によって、危険度も住みやすさも全く意見が異なるということ。また、取り壊しの際の補償内容に関しても、工場や商店など小企業を営んでいる人たちと無免許の医者は全く納得していないというのも興味深かった。
城外に出ても,住める場所があればいいという話じゃない。仕事を再開するた -
Posted by ブクログ
日本に住んでいるせいか、国とは一つの領域で囲われているものだといつのまにか思い込んでいた。
だから、Googleマップでリトアニアとポーランドに挟まれた国名不明の領域を発見しなかったら、飛び地という存在自体に死ぬまで気づかなかったかもしれない。
よくよく思い返せばアラスカという世界最大の飛び地を知っていたはずなのに、大きさのせいか距離のせいか海のせいか、"飛び地"という感覚は薄く。その他に取り上げられる九龍城やガザも知っていたはずだが、領域の小ささのせいかその特殊性のせいか"飛び地"と意識することは今までなかった。
本書は大全というほど大それたもので -
Posted by ブクログ
様々な理由で存在する世界の飛び地をひたすら紹介する本。
海に囲まれた日本ではイメージしにくい「国境」が様々な経緯・理由で形作られていることが分かり面白い。米国で話題になってる国境の壁も、世界規模で考えると必ずしも異例ではないのかな。
面白いとは言っても飛び地ができた理由も、その結果起きた事象も、面白いでは片付けられない大変なものも沢山ある。
小さな飛び地には投資する者も現れず住人は不便を強いられる、戦争や紛争の火種となる、人種差別も起こる、宗教でいざこざが起こる、などなど。
余程のマニアでもない限り、ここに記されている飛び地の大半は知らない人がほとんどだと思う。そりゃカーリニング