服部文祥のレビュー一覧
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著者初のフィクションは意外にもポップで嬉しい誤算!
服部文祥さんを有名にしたといえる、サバイバル登山関連のノンフィクションは以前に読んでいましたが、この『息子と狩猟に』は服部さん初の小説とのこと。死生観が伝わるようなノンフィクションさながらの作風なのかなと思ったのですが、意外や意外しっかりエンタメしていて(エンタメを軽視している訳ではないです)素直に面白いと思える読後感でした。もちろんそういった死生観や、命を奪う行為について考えさせられるものではありましたが、けして重厚な手触りではありません。
特殊詐欺グループのリーダーと、週末狩猟をする男とその小学生の息子。全く別々の人生が、ある一点に向けてじわじわと近づいていき、二つの視点の入れ替わりがだんだん早くなり、ついに交差した瞬間に物語はクライマックスを迎えます。読み始めから、並走する二筋のストーリーがいつどこで交差するかワクワクさせてくれました。
むしろ併載の短編「K2」のほうが、読む前に私がイメージした作風に近いけれど、それでも予想以上にしっかり盛り上がりのある展開や構造で、小説として楽しめるものでした。
登山家というイメージもあり、俗っぽさを遠ざけ、やや難しく重たい作風なのかなと思ったけど、まさかここまでポップだったなんて嬉しい誤算でした。 -
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北アサバイバルの記録に臨場感があって面白かった。
最後はコネで泊めてもらおう、なんて人間臭さもまた面白い。
沢の脇で大便をしていいのか?と疑問が残った。
生きるとは死に向かう流れの中逆らうこと、現代では普段は緩い流れの中にいる。山に入ることは一時的に、激流に身を置くこと。の例えはイメージとして掴みやすい。
全てが予定通りに整備された道を辿ってピークを踏んで下りて、という登山はお客様。
街でも山でも欲しいものはお金を払って手に入れる、資本主義の枠の中でしか生きられない。
そうではないもの、を求めたい気持ちもあるが、お客様だから土日でサクッと行ける。
自分の中で答えは出ていない。 -
アーバンサバイバル入門
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ネタバレこの小説には2編の短編が描かれている。一つは「狩猟」、もうひとつは「登山」がテーマである。
どちらも服部さんのこれまで培ってきた経験が活かされたテーマではあるが、もちろん「サバイバル登山家」なんて名乗る人の書く小説が、そんな単純な作品なはずがない。
私たちが暮らす人間界と、動物たちが暮らす山々などの自然界。
狩猟や高所登山には厳しいルールやマナーが存在するのだが、人間界にあるタブーやモラルは、自然界ではタブーやモラルとして存在するのだろうか?
夜中に鹿を撃つこと(捉えること)はいけないことなのか?
サバンナでライオンがインパラを捉えて食べることはいけないことなのか?
仲間を見捨てて自分だけが生きようとすることはいけないことなのか?
チーターに狙いを定められたシマウマを見捨てて自分だけが逃げることはいけないことなのか?
それぞれの世界でのタブーとモラルの境界線を考えさせられる、一癖も二癖もある作品。 -
アーバンサバイバル入門
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試し読み
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サバイバル登山家服部文祥が大都会横浜で実践し会得した食料の半自給自足+道具・住居のDIYのやり方を惜しみなく紹介してくれている。自給自足やDIYの参考書は山ほどあるが「服部文祥はこうやっている」という部分が何より本書の魅力的な部分であると思う。
以前情熱大陸でちらっと服部家の外観を見たときは町はずれの傾斜地に建てられた昭和的新興住宅なイメージだったが、傾斜地が広い服部家の庭であることを初めて知って、土地の使い方は何より工夫次第なんだなあと思った。
服部家最大のご馳走「ミドリガメ鍋」、実際に採って食べてみたいけど捌く敷居がめっちゃ高そうで中々行動に移せない...一生のうちに食べる機会あるかなあ。
読んでて気持ちをわくわくさせてくれる面白い一冊でした。 -
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著者の"サバイバル登山"の定義について、様々な批判的見方があることは見聞しているが、本書でも本編に入る前段で、"各人それぞれが技量や経験に応じてフェアだと思うルールを決めればよい"という旨、説明しているので、私はそこに関しては反発は感じなかった。
"避難小屋に立ち寄ってデポのカップラーメンを食べてしまった"と正直に告白されているくだりなど(笑)、ツッコミどころは多々あったが、それもまた織り込み済みの"芸風"というか。
今のところ狩猟免許を取る予定はないし、ライトもスマホも持たずに何日も山を彷徨う予定もないので、この本に書かれている具体的なノウハウがそのまま役に立つところは私にとっては少ないが、それらのテクニックの真髄は我々、凡人が行うアウトドア活動にも充分応用できるし、何より山や動植物の命などといった自然界の万物に対する、自分の中での基準線を確りと引くために、本書は大きな助けとなる。 -
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サバイバル登山家「服部文祥」のエッセイ。
前半は紙上サバイバル登山、後半は著者の道具解説等。
前半のほうが圧倒的に面白い!
この本は、山ヤならではの活動記録なので、ロープを使う登攀、沢登り、山スキー等の登山をやっているとより楽しめ、また、北アの山地名や沢の難所等を随所にイメージできるとなお楽しめるかなって思った。
本サバイバル登山では、厳しい縛りを自ら堂々宣言しながら、意外と煩悩に屈してもいるので、山をやらない人のほとんどは、著者の活動に共感できないかもしれない。でも自分はそういった人間味のあるちゃっかりしたところがなんか好きだったりする。ガチでストイックなだけなら全然面白くない。
また山に対する姿勢と登山客ではなく”登山者”の定義が書かれていたけど、そこは確かに、って思うところがあった。山は誰にとっても自由で平等!格差も忖度もない。自分で考え自分で決めて自分で登る。自立力が絶対必要不可欠、そして当然自己責任でもある。
あと(小っさいとこですが)山に結構いる、建前ばかりで信念のないうすっぺらな保安官づらしたしたがる「忠告オヤジ」、自分が一番大嫌いな人種なので、著者に同館でした。加えてこちらも細かいですが、「雨を見て、家族のことを思い出した。妻は雨が好きなのだ。」という一文、ぐっと来ました。
(好きな山ネタ本なので感想長くなってしまいました、すみません。。。) -
アーバンサバイバル入門
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試し読み
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Posted by ブクログ
この本に書いてあること、作者が編み出したサバイバル登山は、「山に登ること」の目的がよく表現されている。それは、生死の境目で自分の能力・判断をぎりぎりに試すこと、そこから生きている感覚を得る。ということ。
ただし、タイトルにもある「ズルなし」や「フェア」という表現には言葉の意味することとはずれた作者の独自用語だと思う。 文明の利器を使用することをズルなし、フェアじゃないと表現している。
この作者の魅力は、自分自身のポリシー(ある意味頑固で、排他的な嗜好)をストイックに信じていながら、客観的に自分のこと観察し、一般的な人から見ると滑稽に映ることを、理解して、自分を笑えるという知的な余裕があることだと思う。 -
Posted by ブクログ
「人生はマナーでできている」の中で「ベジタリアンとひと口に言っても、様々でややこしいんです」(88頁)、肉は食べないが、魚は食べる(ペスコ・ベジタリン)。肉、魚は食べないが、卵や乳製品はとる(ラクト・オボ・ベジタリアン)…などなどと書かれており、登山とひと口に言っても…という印象を持ちました。装備をそぎ落として、日本海側から上高地までの最短距離を谷筋を歩くことで進む。食料も岩魚や山菜などの現地調達。山小屋は利用せず、宿泊は食料の調達が出来る河原が好ましい。本の中に書いてあった何をするにもそれを容易にする道具を探すことからはじめてしまう日常…そういう考え方から離れてみる。ミニマリストという言葉を耳にする昨今ですが、それより以前に、山で実践している著者がいました。