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日本海から上高地へ。200kmの山塊を、たった独りで縦断する。持参する食糧は米と調味料だけ。岩魚を釣り、山菜を採り、蛇やカエルを喰らう。焚き火で調理し、月の下で眠り、死を隣りに感じながら、山や溪谷を越えてゆく―。生きることを命がけで考えるクライマーは、極限で何を思うのか?その洞察に、読者は現代が失った直接性を発見するだろう。“私”の、“私”による、“私”のための悦びを取り戻す、回復の書。驚異の山岳ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
東京大丸の書店で見かけて。ズルをしないで生きる、山登りという特殊な行為から人生全般に敷衍するまとめの部分は、強引ながら共感してしまう。しかし山登りの話はなぜこんない面白いのだろう。風呂を借りるのを断られたり、情けない部分も◎。
サバイバルな登山とは何か。著者の私生活がサバイバルなのかははっきりしないが、今やブーム化された登山スタイルに対する徹底抗戦の精神が清々しい。 特に、第一章の日本海から上高地までの200キロの単独行は読み応え抜群だった。ほとんどの装備を持たず、食糧は現地調達で蛇や蛙、野草に岩魚を食す。危ない思考回路だ...続きを読むと思いながらも、リアルファイトで山に挑む服部文祥に圧倒された。
北アサバイバルの記録に臨場感があって面白かった。 最後はコネで泊めてもらおう、なんて人間臭さもまた面白い。 沢の脇で大便をしていいのか?と疑問が残った。 生きるとは死に向かう流れの中逆らうこと、現代では普段は緩い流れの中にいる。山に入ることは一時的に、激流に身を置くこと。の例えはイメージとして掴みや...続きを読むすい。 全てが予定通りに整備された道を辿ってピークを踏んで下りて、という登山はお客様。 街でも山でも欲しいものはお金を払って手に入れる、資本主義の枠の中でしか生きられない。 そうではないもの、を求めたい気持ちもあるが、お客様だから土日でサクッと行ける。 自分の中で答えは出ていない。
サバイバル登山家「服部文祥」のエッセイ。 前半は紙上サバイバル登山、後半は著者の道具解説等。 前半のほうが圧倒的に面白い! この本は、山ヤならではの活動記録なので、ロープを使う登攀、沢登り、山スキー等の登山をやっているとより楽しめ、また、北アの山地名や沢の難所等を随所にイメージできるとなお楽しめる...続きを読むかなって思った。 本サバイバル登山では、厳しい縛りを自ら堂々宣言しながら、意外と煩悩に屈してもいるので、山をやらない人のほとんどは、著者の活動に共感できないかもしれない。でも自分はそういった人間味のあるちゃっかりしたところがなんか好きだったりする。ガチでストイックなだけなら全然面白くない。 また山に対する姿勢と登山客ではなく”登山者”の定義が書かれていたけど、そこは確かに、って思うところがあった。山は誰にとっても自由で平等!格差も忖度もない。自分で考え自分で決めて自分で登る。自立力が絶対必要不可欠、そして当然自己責任でもある。 あと(小っさいとこですが)山に結構いる、建前ばかりで信念のないうすっぺらな保安官づらしたしたがる「忠告オヤジ」、自分が一番大嫌いな人種なので、著者に同館でした。加えてこちらも細かいですが、「雨を見て、家族のことを思い出した。妻は雨が好きなのだ。」という一文、ぐっと来ました。 (好きな山ネタ本なので感想長くなってしまいました、すみません。。。)
この本に書いてあること、作者が編み出したサバイバル登山は、「山に登ること」の目的がよく表現されている。それは、生死の境目で自分の能力・判断をぎりぎりに試すこと、そこから生きている感覚を得る。ということ。 ただし、タイトルにもある「ズルなし」や「フェア」という表現には言葉の意味することとはずれた作者...続きを読むの独自用語だと思う。 文明の利器を使用することをズルなし、フェアじゃないと表現している。 この作者の魅力は、自分自身のポリシー(ある意味頑固で、排他的な嗜好)をストイックに信じていながら、客観的に自分のこと観察し、一般的な人から見ると滑稽に映ることを、理解して、自分を笑えるという知的な余裕があることだと思う。
「人生はマナーでできている」の中で「ベジタリアンとひと口に言っても、様々でややこしいんです」(88頁)、肉は食べないが、魚は食べる(ペスコ・ベジタリン)。肉、魚は食べないが、卵や乳製品はとる(ラクト・オボ・ベジタリアン)…などなどと書かれており、登山とひと口に言っても…という印象を持ちました。装備を...続きを読むそぎ落として、日本海側から上高地までの最短距離を谷筋を歩くことで進む。食料も岩魚や山菜などの現地調達。山小屋は利用せず、宿泊は食料の調達が出来る河原が好ましい。本の中に書いてあった何をするにもそれを容易にする道具を探すことからはじめてしまう日常…そういう考え方から離れてみる。ミニマリストという言葉を耳にする昨今ですが、それより以前に、山で実践している著者がいました。
遭難するかもしれないという可能性がなければ登山ではない。装備を最小限にして自らの力で入山しルートを拓いていく。それが筆者のいう『ズルしないで』登山すること。 最後の章でフリークライミングと人工登攀について触れている。何の装備もなく壁を登れば墜落は死を意味する。そんな緊迫した中に身を置くことで見えてく...続きを読むる世界がある。 荒波に揉まれることでしか経験できないことをたしかに筆者は経験し生を掴み取ってきた。
物を極力持たず、自然界で生き抜く様を書いてはる。 へぇ。こんな生き方もあるんだねぇ。 読み物として面白い。
なんだかんだでこれで服部さんの本読むの8冊目でした。もっと読んでいると思いましたが、角幡さんの本とごっちゃになっているような気がします。自分の中でイメージが被っています。 そしてこれはサバイバル登山についてのエッセイというか、説明のような本ですね。ある意味既に色々読んでいるので新味は無いです。 しか...続きを読むし、この自分でルールを決めて、その制約の中で活動するのって、子供の頃の白線の上だけを歩いてどこまで行けるか、という遊びの延長という気がします。これは否定的な意味ではなくて、誰でもそうやって自分の想像力の中で、家の中や町の中でも冒険のフィールドを作り出していたなあと。いつの頃からか、人が決めたルールの中で遊ぶことしかしなくなりますよね。自分を振り返っても本当にそう。 とにかく自分では出来ないけれど憧れてしまいます、サバイバル登山。男なら誰しもそうなんじゃないかな?
「恒常的なゲストという人生に何の魅力があるのか、私にはまったくわからない。」 と、表紙にあるが、思ったよりワイルド過ぎもせず、人間味あふれる内容で読みやすかった。
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