シュトルムのレビュー一覧

  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    19世紀ドイツの作家シュトルムが、青春や家族の心理を詩情豊かに描いた3篇を収録。切なさと愛しさと心強さと。

    みずうみ、この作品は新海誠の『秒速5センチメートル』を彷彿とさせる。なぜ、連絡をとらなくなったのか、なぜ、こうなってしまったのか。長い時間における心理の描写がすっぽり抜けていて、こちらが想像するしかない部分が多く、唐突な結果にあぜんとする。それだけに切なさが強烈で、読後に独特の余韻を残す。この感じも、まだ尖っていた頃の新海誠作品に似ていて、自分はこちらの方が好みなんだよねぇ。

    三色すみれ、この作品は継母を迎えた父娘の葛藤を描いた、現代でもドラマとかでよくみるパターン。衝突を繰り返しな

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    2023年05月14日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    スミレには、継母とその子供と継子の椅子を表す、と言うのを「野生の思考」で読んだような(冒頭だけ読んで終わってしまったけど、たぶんいつかまた)。

    有名らしい「みずうみ」知らなかった。シュルトムすら聞いたことがなく「人形使いのポーレ」も初めて読んだ。が、「三色すみれ」って知ってるなあ。何処でいつ読んだのだろう。

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    2022年05月22日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    今年、様々な書評で見かけた一冊。

    クリスマスキャロルに匹敵するような、心が暖かくなる物語。
    まず、表題の「みずうみ」。これは、自分の初恋回顧のお話。言ってしまえばそれだけなのだけれど何故かみずみずしさと切なさと、それからちょっぴりの後悔とが心を惹き付けます。色鮮やかな情景が目の前に広がるような繊細で素敵な文章です。

    「人形使いのポーレ」
    人形使い。なかなか身近な職人ではないが何故かまるで身近でお話を見ているような臨場感がある。時代の流れは残酷ではあるが身近な人を大切に思う心は美しく、そんな心を持ち続けたいと思わされる。

    過去に読んだ古典文学の中でも、かなり心捕まれた一冊。

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    2020年12月22日
  • みずうみ

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    小5で初めて読んだ文庫本です。以来の再読。感激しました。
    押し花を二人目にして「誰がくれたか覚えてる?」「はい」・・・もう涙なしでは
    読めないですねえ。本当にドイツらしい穏やかでまじめで静かな、でも深い愛をたたえた作品でした。

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    2011年08月15日
  • みずうみ

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    「みずうみ」「ヴェローニカ」「大学時代」。お馴染み、高橋義孝訳です。「みずうみ」もまた、老人の回想という形を用いた枠物語と言えますね。訳者あとがきには、「……愛と死の関係をシュトルムほどにこまかに描きだした作家は少ないだろう。リヒァルト・ワーグナーを除いては。」とあります。ワーグナーでも聴きながら読むといいのでしょうか。私の元にあるのは、昭和48年のもので¥100です。

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    2011年07月19日
  • みずうみ

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    みずうみ
    2025.4.23

    大学の講義でマルテと彼女の時計を読んだので同じ作者のみずうみを読んだ。青春を描写する文調は美しくもあり、繊細で儚い雰囲気を示していた。
    湖に浮かぶ蓮に辿り着くことのできないラインハルトは何を表すのか。エリーザベトとの永遠の別れだろうか。老人が青春を研究しているという終わり方に歳を取っても探求する心が表れていた。はやり昔愛した人と結ばれなかったことを悔やんでいるのだろうか。読み終え方が非常に切ない。女は待っててくれると思ってはいけないのだ!

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    2025年05月03日
  • みずうみ

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    古い文学なのですが、一周回って 今時にはまりそうなシチュエーションな気もします。
    情景描写が頭に浮かぶような文章の作品でした。

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    2024年10月20日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    ネタバレ

    3つの短編ドイツの自然ってこんなにも美しいんだって。鳥がそれぞれの物語に出てくるところもすてき。

    みずうみ
    自然の描写が美しい。
    結ばれなかったふたりだから美しい物語になるのかなぁ。それにしても、彼女の夫は鈍感なの。優しいの。人生についてパンになぞらえる部分など鋭い教訓だなぁ。なんで?なんで?って思ってしまいました。
    エリザーベトのもとにラインハルトがいなくなってから、ラインハルトの幼馴染のエーリヒさんが通ってきてたけど、ラインハルトはその人のこと、自分の着ている茶色のオーバーにそっくりだって言ってて。悪口にきこえるけど、エリサーベトは、それをそんなふうに思ってないみたいで、手紙に描いたりし

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    2020年11月29日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    短編集.
    3編共過去を思い出すというより,過去と寄り添っているような味わい深い物語.訳もいいのだろうが簡潔な文章で物語の風景世界が目の前に広がっている.森の中のいちご摘み,枯れたバラ園,人形劇など目に見えるようだった.

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    2020年07月28日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    ネタバレ

    みずうみ
    エリーザベトとラインハルトの物語。
    ラインハルトの鳥が、カナリアに変わったことが悲しかった。在学中、彼は思いを持ちながら、自分の世界に入ってしまった。時は巻き戻せなかった。

    3色スミレ
    希望がたくさんで、読み終えてホッとした。若い新妻は前妻と一緒で肖像画になるのかとやきもきした。新妻の成長に感謝。同じ名前はつけないとした夫に尊敬を。

    人形使いのポーレ
    婦人のお父様は残念だった。だが夫人は幸せで、これからも幸せを紡いでいくのだと考えると、お父様の無念も晴れると思った。ドイツ中部の工房を離れるときの決心は見事だった。工房のおかみさんにも賛辞を。

    繊細な描写が多く、勢いで読む本ではな

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    2020年06月05日
  • みずうみ

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    故郷を離れている間に友人と結婚した幼馴染。帰郷し、久々に再会して・・・。

    再会した後、何かを期待してしまうのはしょうがないよね。
    …再会したって、何もなけれど、何もないのがとても美しい。

    何もないのがとても美しい。
    のです。
    大事な事なので二回言いました。

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    2013年06月20日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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     全編を通して、人間讃歌的だった。苦しいことやどうにもならないことはあるけれども、乗り越えた後の幸福や晴々とした再出発が印象的だった。

     特に気に入ったのは、『三色すみれ』。「三色すみれ」とはドイツ語で「継母」だそう。そうしたくないのに意地悪くなってしまう新しい妻に共感を覚えた。

     『みずうみ』はとかく、情景描写が巧くて、印象的な色がありありと目の前に立ち現れるかのようだった。湖のシーンと冒頭の壁に掛けてある少女の肖像画に白い月光が射すシーンがお気に入り。

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    2024年12月31日
  • みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ

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    「三色すみれ」後妻、継子、アホ旦那。継子は多分5歳位。母親がいなくなって、寄りかかっていたものがなくなり、後妻は懸命に支えようとする。しかし喪失感はそのまま、新しい人間が増えただけであり、アホ旦那は二人の焦燥感を理解できないという。水、油、金粉をビーカーで懸命に回しても、全然混ざりません。奇跡の乳化剤的な物カモーン。
    しかし、現実をきっちり見据える二人と理想だけを押し付けて終わりな男。女がロマンチックって、誰よりも現実的だから、逃げどころが欲しいんじゃ!世の中の男性、わかっておろうな?

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    2021年08月07日
  • みずうみ

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    ネタバレ

    「みずうみ」も良いけれど、「大学時代」がわりと好きです。3作ともわりと、どろどろとした恋愛のお話。ひと昔前まではこういう経験がわりと多くて、題材にもよくなっているし、だからこそ なるほどなあ と共感するのだと思います。今となっては古臭い苦さ、けれども羨ましい感覚。恐ろしいほどあっさりと人は他人を好きになって、何度だって玉砕してしまうのに、それでも繰り返して誰かを愛していく。人間らしさ。

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    2018年01月12日