赤染晶子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
解釈の余地の多いお話という印象。高校などでこの本を題材に議論をしたら、きっと色々な意見が出て、面白いのではないかと思った。
自己が確立されてきているけれど、まだ揺らいでいる、20歳前後の少女 …作中では「乙女」という呼称になっている…達が主人公。作者の出身校でもあるらしい京都外語大学のドイツ語学科に通う彼女達は「アンネの日記」を題材に、スピーチコンテストの練習に余念が無い。スピーチコンテストを主導する個性的なドイツ人教授や、スピーチコンテストに人生を掛けているかの如き女学生を巡る噂。
色々なテーマが読み取れるが、やはり一番強く考えさせられたのは、自己…アイデンティティ…ということについて。アン -
Posted by ブクログ
外国語大学に通う「乙女」たちは『アンネの日記』の一部をスピーチコンテストで暗唱することとなっていた。
『アンネの日記』の決まった一節を必ず忘れてしまうみか子、スピーチを生きがいとしているような麗子、帰国子女の貴代、そして風変りなバッハマン教授。「乙女」たちが見つけるアンネ・フランクとは、そして「自己」とは。
うーむ…なんというか…とても勿体ない!!という感じの作品だった。
試みていることもわかる、伝えんとしていることもわかる、でも何もハッキリとは見えてこない。
思うに、『アンネの日記』の中でもとりわけ彼女のエスニック・アイデンティティが揺らいでいる部分を取り上げて、それを自分は日本人である