カレン・フェランのレビュー一覧
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元コンサルタントの観点からコンサルティングの危険性を説くという矛盾を孕んだ1冊です。
大きく戦略、業務プロセス、管理会計、人材マネジメント、リーダーシップの分野に分かれており、自身が関心を置く分野から読んでみるのも良いかと思います。
よくある批判的観点の暴露本かとも思いましたが、特に後半の人材マネジメント、リーダーシップの領域に関しては多分に共感できるものがありました。
よくある一見適正な能力評価・開発制度により「有能な社員は昇進・異動の結果無能な中間管理職に落ち着き、無能な社員は無能なまま。結果、組織は無能な社員で埋め尽くされる」という「ピーターの法則」は忘れられないものになりそうです。
また、第三者的な批判だけで終わらせるのではなく、従業員との対話による状況分析の重要性を提案する場面が多く、総じてコンサルティングを盲信する経営者に対して「周りの話をよく聞いて、自分の頭で考えてから行動しなさい」というメッセージにも感じられます。 -
Posted by ブクログ
・アイゼンハワー「戦闘準備において、作戦そのものは役に立たないことをつねに思い知らされたが、作戦を立てる行為こそが重要だ」―計画を立てる過程にこそ価値がある。業界の動向や経済シナリオ、競合企業の強みと弱み、規制の変更、消費者の声などをしっかりと把握することにより、洞察と知恵をもって一企業としての意思決定を行うことができる
・戦略開発は企業にとっての自己発見の場となるべき。自分たちで学び発見するプロセスにこそ価値がある。自己発見に多くの従業員を巻き込む必要がある
・資料や報告書や計画表じたいは、改革プロジェクトの本当の成果物とは言えない。価値があるのは、考え、学び、創造することであって、結果をまとめた文書ではない
・業績考課のプロセスは、社員の熱意を挫く。日々のふれ合いのなかで指導やフィードバックを行ってこそ、社員の業績は向上する
・例えば、会社の利益が基準値に達した場合は、全員に同じ割合の報酬を支給する―一体感の醸成
・経営陣とスタッフが協力し、会社の目標達成に向けてどのように取り組むべきかを一緒になって考えることが、業績考課などより、余程まともな時間の使い方である
・細かいことにこだわる部下に対して「本筋から離れず、要点を簡潔に」
・「このあいだ渡した指示書だけど、ちょっとわかりにくかったかな、と思って。まず何からやろうと思ってる?」これなら、相手が何を考えているのかちゃんとわかる
・何をいつまでにやるべきかを決め、その情報をチーム全員で共有する。チームの抱えている業務を全員が把握して、誰が何をやっているのかわかるようにすること。そうすれば、自分から新しい業務を引き受けたり、仲間の業務を分担したりできる
・経営陣の半分が航空機事故で死亡した場合の人事の危機管理計画まで策定するヒマはあっても、大部分の社員の能力を最大限に引き出すための対策を練る時間はない(バカなことをやってる)
・研修などの、「やる気」を試すには、誰でも参加可能にしつつも、申し込み手続きをうんと厳しく大変にする
・メソッドやベストプラクティスやビジネスソリューションを実行するまえに、それを実行したらどのような影響が出るかについて、あらかじめよく考えること。他社がやっているからといって、それを実行することが正しいとは限らない
・「どうやって」解決するかを考えるまえに、少しでも時間を取って「なぜ」問題が起こったのかを考えるほうが、結局は時間の節約になる -
Posted by ブクログ
「ジョブ型人事システム」に関連して、大学院の修士論文を作成するために、「ジョブ型」という言葉がタイトルに含まれる書籍を検索したら、33冊がヒットした。私の論文のアイデアは、ジョブ型人事システムというものに対して、大企業の人事部がどのように対応しているのかを検討するものの予定なので、それに関係のない内容のもの17冊(実際は高齢者雇用の本とか、不動産鑑定士の本とか、"ジョブ型"と関係があまりないのに、"ジョブ型"と言っておけば関心をひくことが出来るのでそうしている本も多い)を除く、残り16冊の内訳は、学者・研究者が書いた学術的な内容を含むものが3冊、残りの13冊は、ほぼコンサルタントが書いたものであった。そのタイトルは、例えば「ジョブ型人事システムの作り方と事例」「ジョブ型雇用入門:自社にとって最適な人材マネジメントの実現に向けて」「ジョブ型人事で人を育てる:人的資本経営の実践書」「日本版ジョブ型人事ハンドブック」「日本的ジョブ型雇用」「生産性向上に効くジョブ型人事制度」といったところが並び、すなわち、コンサルタントが、企業人事部を主たる読者と想定し、ジョブ型人事システムの導入を提案し、指南することを目的とした内容とタイトルのものが多いことが分かる。
これらに対して、もともと「ジョブ型」という言葉を広めた濱口桂一郎氏は、そもそもジョブ型という概念に対しての誤った理解がはなはだしいことを嘆く著作「ジョブ型雇用社会とは何か」を書かれている。
でも、そういうことなのである。「そういうこと」というのは、コンサルタントにとっては、日本の大企業にジョブ型人事システムが広がるかどうかは関心の外の話であり、こういう本を書く目的は、自分たちの会社の「ジョブ型人事制度パッケージ」とでも呼ぶべきものを、企業向けに売り込むことである。
そうではないかと疑ってしまうような内容のことが、本書には書かれている。 -
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1.最近のコンサル信仰に対して疑問を持っていたので、「コンサルとは何か」を定義するために読みました。
2.コンサルも所詮はビジネスの一環であり、流行りのフレームワークやMBAで学んだ理論を押し付けているに過ぎません。それによって会社を潰していることを感じた著者の失敗談を述べているのが本書です。コンサルが浸透し、世の中のブームとなっていますが、コンサルも仕事であるため、サービスを売ることになります。その手段としてフレームワークや生産管理といったアイデアを提案してきます。しかし、これらは机上の空論にすぎず、人に焦点を当てずに机上の空論をそのまま指標としただけになっています。そのため、利益を上げることだけが優先され、企業の根幹である人を潰してしまいます。その結果、会社をつぶしてしまう仕組みが成り立つわけです。そのようにならないためにも、どんなコンサルを見極めるべきなのかを本書では教えてくれます。
3.コンサルを雇うことが悪ということではなく、雇うコンサルを見極めるべきだと述べています。また、雇う側もめんどくさいからコンサルを雇うという発想から抜け出さなくてはなりません。専門外であっても、これから新規事業に向き合うときでも、まずは自分で考える必要があります。
私にとってコンサルとは「依頼主に気付きを与える存在」だと考えます。そのためには「信頼される人」となる必要があります。どんなに優秀な人間であっても、どんなに正確なデータを出しても、信頼されていなければ依頼主の心に響きません。また、「相手を変えようとする視点」で物事を話してもいけません。人が変わる瞬間、成長しようと思うきっかけは、誰かの言葉であっても、継続するためには「自分で決めた」と認識させることが大切です。人間は、自分で決めたことは継続する習慣を持っています。コンサルはそれを理解したうえで、人に焦点を当てたコンサルビジネスを行っていく必要があります。
自分の場合だと、メーカーさんが相手になりますので、職人気質が高い顧客が多いです。もっと人フォーカスで考え、変化を与えるきっかけとなる人材になれるよう努力します。 -
Posted by ブクログ
これは凄い本でした!敢えて「素晴らしい」でなく「凄い」という表現を使っていますが、流石アメリカでは、このような本がもう出版されているのですね。
右肩上がりの時代が終わり、企業間の競争、それも国内や自由主義諸国内同士の競争が、地球全体にまで広がるにつれて、企業経営方法の見直しを迫られてきたのが、1980年代ころを始めとして今に至っています。
この本の著者のカレン氏は、コンサルタントになるのに必要な学歴を身につけたうえで、複数のコンサルティングファームで勤務し、さらには企業で、自分が提案してきた方法がどの程度効果があるのか、無い場合には、どうすれば効果があるかの実績を踏まえた上で、この本を書き上げています。
米国企業を中心に、コンサルタントが提案してきたシステムや教育訓練プログラムなどを導入してきた壮大な実験は、もう20年以上経過していますが、そろそろ結果が出てきたようですね。
力強い組織を作るには「人と人との対話を重視する」に尽きるというのが、私が受け取ったメッセージですが、カレン氏がその結論に至るまでに、多くの試行錯誤をしてきたことがこの本に明確に書かれていました。
今まで私の中でもやもやしていたことを、よくぞ本に纏めてくれという思いで、拍手を送りたく思いました。できれば、この本に反論する形の本もぜひ、世の中に多くいるコンサルタントの方にも出していただきたいと思っています。
最後に(p303)に、望ましいコンサルタントと、注意すべきコンサルタントが表になって纏まっていたのは面白かったです。
以下は気になったポイントです。
・私がやっている仕事をありのままに話せないのは「貴社の関係者の連携を強化するお手伝いをします」といっても、誰もコンサルの仕事を頼んでくれない、仕方ないので、方法論・モデル・指標・プロセス・システムといった商品を引っ提げる(p21)
・本書で訴えたいのは、人材のマネジメントさえ出来れば、あとはすべてうまくいったも同然ということ。ともかく大事なのは、モデルや理論は捨て置いて、みんなで腹を割って話し合おうといこうとに尽きる(p23,28)
・クラインアントが感心してくれるのは、1)細かい分析を行ってグラフに纏める、2)ひとつの指標をX軸、別の指標をY軸に置いた4象限のチャートをつくること(p43)
・問題は、人々が戦略計画イコール解決策と信じてきたこと、計画自体にはほとんど価値はない、計画を立てる過程にこそ価値がある(p59)
・JITの原則のいくつかは適用可能でも、アメリカでJITは無理。原材料の調達に2週間もかかるアメリカで、たった1日や2日で在庫を全部回転させるのは無茶な話(p75)
・シックスシグマとは、平均値と近接する規格限界値の間に標準偏差が6つ収まること(p76)
・バランススコアカードでは、ビジネス経営を成功させるには、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長、という4つの視点の評価指標が必要になる。一般社員に落とし込んだのが、さらに細かい指標であるKPI(主要業績評価指標)である(p104,106)
・企業がこれほどまでに数値評価基準を好むのは、数値評価は本物で信頼できるデータと勘違いしているから(p117)
・毎年の評価基準に入っていない、長期的な目標や業務は置き去りになる(p120)
・評価基準は洞察を得たり知識を高めたりするのには役立つが、目標になってはならない。さもないとそれ自体がマネジメントのシステムになってしまう(p136)
・マネジメントモデルよりも、1)気にかけていることを態度で示す、2)伝わるように伝える、3)うまくいかない場合は他の方法を試す、4)先手を打つ、が役に立つ(p193)
・エンロン事件はアーサーアンダーセンが幇助したことになっているが、深く関わっていたマッキンゼーは殆ど無傷で逃げ切った(p204)
・エンロンの導入した人材のランク分けシステムがエンロンの崩壊に繋がったのは、社員の間に熾烈な競争、なにをやっても構わないという風潮が生まれたから(p205)
・ピーターの法則とは、階層社会では、すべての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する(p227)
・ランク付けはやめる、タレントマネジメントも中止、異動を希望する者は誰でもできるようにする、何よりも上司と部下が話し合い、最適な仕事を見つける方法を一緒に考えること(p236)
・職務記述書も廃止すべき、職務内容を決めて細かい要件を決めてからそれに合う社員を探すのは、職務内容を社員に合わせる場合に比べてはるかに生産性が低い(p238)
・現在では、テイラー主義は大部分において否定されているが、企業は事業をモニタリングや計測、最適化によって成功できるという考え方は、現代の経営手法に残っている(p277)
・多く企業は、コンサルタントを雇って自分たちの代わりに企業戦略を考えてもらおうとする(p280)
・自分の使う言葉によって、自分の考え方は左右される。したがって、ビジネスについての考え方を変えるのに最も簡単な方法は、ビジネスについての話し方を変えること(p294)
2014年5月11日作成