柳家花緑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者である柳家花緑(やなぎやかろく)は落語家で人間国宝お五台目柳家小さんの弟子である。小さんの弟子でありながら孫である()。
「落語家はなぜ噺を忘れないのか」
全てをつつみ隠さず手の内を明かす・・・とあるが、これは、「落語家」ではなくて、「柳家花緑という落語家はなぜ噺を忘れないのか」としてもいいと思う。
柳家花緑の落語に対するアプローチは、「赤めだか」の立川談春や、「雨ン中のらくだ」の立川志らくとは違うように感じる。ノートに書き上げるという非常にまじめな地道な作業なども紹介されている(ちなみに、立川談春は聴いただけで覚えるらしい・・・)。
この本では、柳家花緑の感じた落語論が個別の体験の中から展開されていて、落語論でありながら、半自叙伝でもある。
特に、他の落語家(こと祖父である小さん)とのやり取りや、修業の過程の話は特に面白かった。
また、それぞれの噺について、柳家花緑がどう解釈するかという所にも触れることができて興味深かった。
落語って広い。
巻末には、柳家花緑の『笠碁』が全文収録されている。
『笠碁』は柳家花緑の祖父であり師匠の人間国宝柳家小さんの十八番である。
文字だけでも、非常に面白い。
なるほど、柳家花緑の世界に触れることができて面白い。
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【目次】
第1章 落語家はなぜ噺を忘れないのか
第2章 いかにして噺に命を吹き込むか
第3章 落語家にとっての噺の種類
第4章 自分のネタを作る―『笠碁』への挑戦
第5章 伝承芸としての落語
巻末 柳家花緑版『笠碁』―全文収録
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【内容(「BOOK」データベースより)】
落語家が高座に上がるまでにやっていること、高座の上で考えていることを、自らをモデルに明かす。タイトルの「落語家はなぜ噺を忘れないのか」に始まり、「どうやって噺を面白くするのか」「どんな噺が難しいのか」等々、落語にまつわる創意工夫を公開。あまり明かされることのない、落語家の頭の中、手の内を見せる。祖父であり、人間国宝ともなった五代目柳家小さんからの教えも随所に登場。柳家一門および一門を超えて受け継がれていく落語の伝承が感じられる一冊。
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【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
柳家/花緑
本名:小林九。1971年8月2日生まれ。東京都出身。87年3月、祖父であり、後に人間国宝となる五代目柳家小さんに入門。前座名「九太郎」。89年9月、二ツ目に昇進して「小緑」(ころく)。94年3月、戦後最年少となる22歳で真打に昇進し「花緑」。2003年に落語界の活性化を目的に結成された「六人の会」(春風亭小朝・笑福亭鶴瓶・林家正蔵・春風亭昇太・立川志の輔)のメンバー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Posted by ブクログ
ネタバレ「」の使い方がうまくて読みやすい。おそらく意識してか、短い文章が多く、「」がない部分でもなんとなく落語を聴いている感じでさらさらと読める。噺全体のわかりやすさにとにかくこだわって、かつやっぱりウケたい、と修業を続けた経緯が語られる。
「古典落語でも、江戸時代に聴いていた人にとっては現代噺」という解釈で、自分なりの脚色を入れていく。それがウケたウケないで入れ方を変えていく。迷ったときや間違ったとき、師匠や先輩の名前が出てきて、考え方の修正が入る。身近な祖父の五代目柳家小さん、叔父の六代目小さんから、立川志らく、柳家小三治などの名前がよく出てくる。独学の部分も多いのだろうけれど、やっぱり伝承芸なんだなと感じる部分。
タイトルへの答えは46ページにあって、どんな芸術であってもそうなんだろうなと思う。ちょっと溜飲を下げるまではいかなかった。その代わりといってはなんだけれど、
・ネタのレパートリーは一覧できるけれど、その中でも得意なものは実は限られている、という点や、
・95ページの「噺のジャンル分け表」は新鮮でおもしろかった。
・・主人公でくくるか(若旦那もの、粗忽もの、女性もの、動物ものなど)
・・舞台設定でくくるか(長屋もの、旅噺など)
・・見せ場があるものか(「時そば」のすする音、「寿限無」の長い向上)
落語を生で聴いたことはなく、テレビで流れていても全部を聴き通すことはあんまりない、という程度だけれど、それでも「枕から噺の本筋に入る瞬間」はけっこう好きで見入ってしまう。次に落語を見かけたときの視点がけっこう増えたかもしれない。 -
Posted by ブクログ
落語家が噺を忘れないことなど全く不思議に思わない。と、そう考える人の方が多いんじゃないかと思う。そしてそういう人は本書のタイトルに全く魅力を感じないと思う。当方もそう感じて手に取るのを躊躇っていたけれど、読んでみると面白かった。
本書には「落語家が噺を忘れない不思議」など、ほんの数文字しか書いていない。おそらくは著者も不思議でもなんでもないと感じているんだろう。むしろ本書は著者自身の落語論であり、そうした観点からこそ面白く読める本だった。
おそらくは編集側によって付けられたタイトルなんだと思うが、タイトルでずいぶんと損をしている本だと思う。落語に興味のある人は、ぜひともタイトルに「騙されず」に、読んでみることをおすすめする。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
落語家が高座に上がるまでにやっていること、高座の上で考えていることを、自らをモデルに明かす。
タイトルの「落語家はなぜ噺を忘れないのか」に始まり、「どうやって噺を面白くするのか」「どんな噺が難しいのか」等々、落語にまつわる創意工夫を公開。
あまり明かされることのない、落語家の頭の中、手の内を見せる。
祖父であり、人間国宝ともなった五代目柳家小さんからの教えも随所に登場。
柳家一門および一門を超えて受け継がれていく落語の伝承が感じられる一冊。
[ 目次 ]
第1章 落語家はなぜ噺を忘れないのか
第2章 いかにして噺に命を吹き込むか
第3章 落語家にとっての噺の種類
第4章 自分のネタを作る―『笠碁』への挑戦
第5章 伝承芸としての落語
巻末 柳家花緑版『笠碁』―全文収録
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
上手くいかなくて落ち込んだ時でも、発達障害の疑いで悩んでいる時でも、気持ちを軽くしてくれる本です。
ディスレクシアをもつ柳家花緑さんが自身の経験や取り巻く人たちの話を元に、苦しかった時の乗り越え方や、発達障害があるということについての付き合い方のティップスが詰まっている。
実際、落語の世界では、いつもドジをするキャラや威張り屋のキャラなど、多様な人で構成されている。でも、現代では、なんでもできて、感情コントロールもできて、うまくやれることが求められている。確かに、色々必要なスキルが増えて、
そんな理想の人を探しているのかもしれない。
でも、200年前と今で人の根本の気質ってそう変化しないはず。価値観が変わっても、どんな人がいるかはそれぞれ。
多様であることを知って対策するのは、差別的・逆差別的面を孕んで複雑なことである。
だけど、知ったら少しだけ楽になる道もあるーそんな優しい示唆がある気がします。 -
Posted by ブクログ
噺が身についているから、落語家は噺を忘れない。
その「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」的なタイトルから、《落語家が明かすマル秘暗記術》のような内容を期待するときっと肩すかしを食うだろう。落語家が噺を忘れないのは、ただ台詞を暗記しているだけではなく「立体的に」覚えているからだと著者は言う。それが「噺が身につく」ということであり、それはただただ稽古の賜物でしかない。ではいったい、落語家は噺を身につけるためにどんな具合に稽古を重ねているのか?この本の「肝」は、そこにある。
個人的には、花緑師が演じる『笠碁』がいままで聴いた誰の『笠碁』とも違うため、いったいその「型」がどこからやってきたのか知りたくて手にしたため、最後まで興味深く読むことができた(第4章「自分のネタを作る〜『笠碁』への挑戦」が、そのまま花緑版『笠碁』の誕生秘話(?)となっている)。これを読んで、花緑版の『笠碁』が、いわば伸び縮みする「時間」感覚という視点から再構築されたものであることがなるほど、よくわかった。ただ、「時間」という視点なら、従来どおりのサゲでもけっして矛盾はしないようにも思うのだけど。水滴が落ちてくるのも忘れて笠をかぶったまま碁盤にかじりつくおじいちゃんの大人げない様子から、碁を打とうにも相手がいない、そんな「待った」の日々の長さが手に取るように伝わってくるから。
落語家はどのようにして噺を自分のものにするか。落語好きなら読んで損はない、落語家の「了見」がよく伝わる一冊。