ビル・モイヤーズのレビュー一覧
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スターウォーズや鬼滅の刃など、現代でもヒットする作品は世界のあらゆる文化の中で生まれた宗教や神話を参照しながら作られていると言われている。「神話」と聞くと普段の生活に馴染みがないように思うけれども、意外と普段意識しないところまで浸透しているのかもしれない。
世界各地の神話を比較して研究してきた著者が、「男女」「結婚」「生死」「英雄・冒険」など、重要なキーワードをもとに様々なエピソードを紹介。キリスト教やイスラム教、仏教などはもちろん、南米の山奥で根付いている宗教からアフリカの村に伝わっている神話など、世界の端から端まで網羅されていて、その情報量に圧倒された。国だけでなく、神話がユングなどの心理学や哲学といった普遍的な学問とも密接な関係もあり、神話はただの作り話ではなく、ある程度の根拠をもとに作られ、社会の規範になるものなのだということは気づきだった。特に、神は自分の中にいるということ、神話は個人の夢に対して言わば「社会の夢」であることなど、神話に対する見方が変わった。(ただ、色々なエピソードから別のエピソードに飛ぶので、たまにわかりづらくなることもあったが…。)
東洋の思想と西洋の思想が根本のストーリー、時代が似ていることもとても興味深かった。発見が多い一冊だった。 -
Posted by ブクログ
神話の冒険の構造と精神的な意味は、原始的な部族社会の思春期儀礼やイニシエーション儀礼に先取りされている。[5章265頁]
おとぎ話は子供のためのもので、大人の女性になりたくない女の子の話が多い。グリム童話は、あらゆる障害を乗り越えてやってきた王子様が、向こう側の世界もなかなかよさそうだと思わせてくれるまで待つ行き詰った女の子を描いている。龍退治や入口をまたぐ話は、行き詰まりの打開と関係している。[5章291頁]
大河の流域に文明が生まれたが、そこは女神の世界だった。BC4000年頃、羊飼いのセム族や牛飼いのインド=ヨーロッパ民族が侵略した。どちらも元はハンターで、殺すものがいるため、他の人々と抗争し、攻め入った地域を征服する。この侵略者たちがゼウスやヤハウェのような戦いの神、稲妻を投げる神などをもたらした。[6章360頁]
エーゲ海からインダス川まで、母なる女神が支配的な存在だった。その後、インド=ヨーロッパ民族が入ってきて、男性中心の神話が広がった。BC7世紀頃に女神が復活する。ウパニシャドでは、ヴェーダの神々に力と存在の究極的な基盤と源泉がどこにあるかを教える教師として、生命付与者たる女神にして形象の母という意味のマーヤ=シャクティ=デヴィが現れる。[6章381頁] -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代社会を神話という切り口から分析する。ジョーゼフ・キャンベルの膨大な知識を聞き手のビル・モイヤーズがうまく引き出す。観念的な話が多いので、さくさくは読めなかったが、難解でもなかった。ただキャンベルの主張はよく理解できない、納得できないところも多々あった。宗教の話題も多いので、価値観が合わないことは当然あるのだが、根拠が神話に依っているのが原因ではないか。
神話は確かに過去の人類から受け継がれた宝で、現代でも通じるものがたくさんあるだろう。しかし、相互に矛盾しているし同じテキストがまったく異なる意味に解釈されることもある。牽強付会とまでは言わないが、主張に合致するテキストのみを持ち出して反例は黙殺している嫌いがある。さらにキャンベルの主張も一つの解釈なので、それが全て正しいというものではない。神話というマテリアルから何を学べるのかはそれぞれ異なるため、自分の解釈を見つけて人生を考えるツールの一つにしたい。