モームのレビュー一覧

  • マウントドレイゴ卿/パーティの前に
    人間の心理的暗部を炙り出す短編集
    美徳と背徳、高貴と下劣
    相反する概念が同居する人間観が胸に迫る
    閉鎖した深層に読者を誘い込み
    放置する展開も作者の悪戯心が垣間見れた
    時に主体を隠した挑戦的な翻訳は
    作品を俯瞰的な解釈へと誘った
  • 月と六ペンス
    40代に入ってからすべてを捨てて絵を書き始め、後に伝説となった画家の生き様を若き作家を語り手として描く。

    天才と狂気を感じるストリックランドの絵描きとしての人生、傍若無人な彼が関わる3人の女性との関係、パリとタヒチという文化と自然の対比など、重層的な構造をもつ小説。単純に、若い作家視点で語られるス...続きを読む
  • 月と六ペンス
    今まで読んだ中で一番好きな本になった
    女性の描き方に時代を感じるが、人間の内面に存在するさまざまな矛盾を綺麗に描き出してたし、自分が最近感じることと同じことがいっぱい出てきて、こういう風に考えるのが自分だけじゃないんだと思えた。すごくよかった。
    あと、解説で語り手のストリックランドへの恋愛感情の解釈...続きを読む
  • 月と六ペンス
    四十歳にして全てをなげうち、画家になった男の物語。
    面白くってあっという間に読んでしまった。
    光文社古典新訳文庫は読みやすくていい。
  • 月と六ペンス
    めちゃくちゃ面白い。
    これは本当に小説という媒体で表現されるべきもの、という感じがした。

    個人的には終盤、ブリュノ船長のエピソードが好き。
  • 月と六ペンス
    男は自己充足のために、絵を描いていた。しかし、彼の死後に、作品は多くの人に評価され、消費される対象となった。富と名声は、彼が求めていたものだったのだろうか。
  • 月と六ペンス
    自分以外の何かに取り憑かれ、その衝動に従って生きることを余儀なくされる。その様子を目の当たりにするとき、憧れを抱きつつも、それが自身には不可能であることも悟っているからか、衝動は自分にも感じている、しかし、その衝動を乗り越えられるのが人間なのだという、結論ありきの理論を展開して自身を守ろうとしてしま...続きを読む
  • マウントドレイゴ卿/パーティの前に
    巻末の解説の冒頭に「数あるモームの短編から,『ミステリ』をキーワードに六編を選び一冊にまとめたのが本書である。」とあるが,いずれも不思議な味わいのある話である.
    とにかく訳が良くって読みやすい.いや,他社の文庫も別に訳が悪いわけではないが,本書は古典の格調は残しつつ,カビ臭が一切感じられない.実は6...続きを読む
  • 月と六ペンス
    これまた”百年の誤読”から。お世話になりまくってます。まず、タイトルから内容があまり見えてこず、作家に対するイメージも持ち合わせていないから、全くフレッシュな状態からの読書体験。ほぼ1世紀も前の作品にも関わらず、全く古臭さを感じさせられなかったのは、作品の持つ強さもさることながら、翻訳が素晴らしいか...続きを読む
  • マウントドレイゴ卿/パーティの前に
    ミステリィっぽい短編が6篇入ってるんですが、どれも面白かったです。退屈する間などなく、グイグイ引き込まれますね。

    特に表題になってる「パーティの前に」は極上ッ!

    赤道直下ボルネオの駐在員でアル中の男と、その妻の話。 

    僕もご多分にもれず酒は好きなのですが…適量守ろうっと。我が身を省みつつ、本気...続きを読む
  • 月と六ペンス
    『ブルターニュの光と影』展に行って、ゴーギャンの初期の鉛筆画を見た。
    あまりにも落書きで、これがあの有名な!みんなを苦笑させた絵か!と、納得した。
  • 月と六ペンス
    ゴーギャンの生涯をベースにしたフィクション。
    普通の人からは理解不能な芸術家の具体的なハチャメチャ具合を生々しく描写しており、人の情とはかけ離れたストリックランドは嫌悪対象を通り越して人外となる。描かねばならんと全てを捨てて突き進めるか?凡人には無理です。
    ゴーギャンの絵を観たくなりました。
  • 人間のしがらみ(上)
    2023年元旦からぼちぼち読みました。
    主人公フィリップはモームのことかな。自伝。
    ころころと学ぶべきことを変えてドイツに行ったりイギリスにいったり、画家になろうとしたり公認会計士になろうとしたり。医者の勉強を始めたところ。伯母さんやさしかったな。だれの目線で読んだらいいんだろう。フィリップにはらは...続きを読む
  • 月と六ペンス
    有名な『月と六ペンス』。思わせぶりなタイトルなので、どういう意味だろうと何十年か気になったままだったので読んでみた。

    答えは本篇にはなく、解説にあった。

    P406
    題名『月と六ペンス』は、前作『人間の絆』についての書評が「タイムズ文芸付録」に掲載されたときの文句をモームが使ったもの。その書評には...続きを読む
  • 月と六ペンス
    堅苦しい内容だとおもってたら、真反対で訳も自然でとても読みやすかった
    単純に第三者視点からキーパーソンのことを語るのはいい構成だと思って読んでいたけど、役者解説でわざわざこの構成にしたのもそれぞれのキャラに特性をはめ込んだのも納得だった
    私には自分のために生きて自分のために描き続けた画家・ストリック...続きを読む
  • 月と六ペンス
    ゴーギャンがモデルとばかり思っていたが、性格とかかなり異なるとの事。名作として読み継がれてきたが、発表当時は世俗作家との評価だったらしい。書名の解題も解説で触れられ、合点がいく。知人の裏切り方が人非人で、憑かれたような行動は体格もさながら怪人。求めるものが多数の人のそれと違っても幸せな人生を全うした...続きを読む
  • 月と六ペンス
    富や名声、安定した生活。
    そういったものを投げ売ってでもやらねばならないことに取り憑かれた男の物語。
  • 月と六ペンス
    明かすのも恥ずかしいが、途中まで実話だと思って読んでた。実在した画家と記者の話かと。もちろん、そうではないんだけど。
    まあ、それぐらいリアリティのある、描写豊かで人間臭さのある文章だということで、自分を慰めておこう。
    モームの本は初めて。
    主人公の記者は傍から見ればかなりのひねくれ者。実際、人はこれ...続きを読む
  • 月と六ペンス
    語り手に一番共感した。若い人の感性はわからないしきっと素晴らしい物があるんだろうけど、きっと自分はそれが評価されなくなっても古い物にこだわり続けてる。それに絵のセンスも自分と全く一緒……。その辺通して、勝手にモームとお話出来たら絶対楽しいんだろうなあって想像してた!!
    ストルーブとその妻の話が一番面...続きを読む
  • 月と六ペンス
    お~久しぶりに一冊の本を読みきった気がする…。
    「モームブーム」って何だか口に出したくなる言葉。解説読んで面白いな~とも思ったけど、もうちょっと深入りした論文的なの読んでみたくなった(っていっつもこういうこと言いながら調べていない)。言葉遣い、知らないことわざがいっぱいあって調べるの楽しかった。やっ...続きを読む