グループ現代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人生で初めて「お金とは何か」について学んだ本。お金については、電化製品と同じように、なんとなく使い方を知っているから「知っている」気になっていた。ところが、お金のメカニズムについては、電化製品と同じく、まるでわかっていなかった。
冒頭でエンデは、以下のように語る。
「重要なポイントは例えばパン屋でパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、2つの全く異なった種類のお金であるという認識です」
お金には、交換媒体、価値尺度、価値保蔵の3つの機能がある。パン屋でパンを買うお金は、最初の2機能だが、資本としてのお金とは、価値を保蔵できるがゆえに成り立つ。そして、価値 -
Posted by ブクログ
Mon, 24 May 2010
大作です.
地域通貨や現代の金融の問題を問うならば必ず読まねばならない本であろう.
NHKが作成した番組「エンデの遺言」をベースにして著作としてまとめた本.
分担執筆のために,全体での微妙な冗長さは後半にあらわれるが,
良くできた本だとおもう.
エンデとは「モモ」の作者ミヒャエル・エンデのこと.
モモの隠れたテーマは,貨幣,利子,現在の金融システムの問題点だそうだ.
貨幣とは何か?貨幣の歴史を知る上でもよく説明された読み甲斐のある本である.
日本における地域通貨のブームも,この番組を発端としてあらわれたという.
あなたの世界観を変えるかも知れない, -
Posted by ブクログ
エンデがシュタイナーの学校にいたのはほんの短い間だったようだが、
父親の生き方と共に
共生社会を目指して実践したシュタイナーの思想を強く受け継いだ
文学畑だけに留まらず文化政治経済の社会に入り込み
あきらめずに直接働きかけ続けた人でもあった
彼は「もも」というファンタジーで「時間」の暴力性を世に問いかけた
金貨は薄められた偽物となり、ついに裏付けのない紙幣になったとき
貨幣が時間に取り込まれてしまう
凧の糸が切られ船の錨が外される
乗っ取るのはアブク銭を目論む利息経済システムである
この多国籍とかグローバライーゼーションという名の幽霊船は
けして国境を開放するわけではない -
Posted by ブクログ
金の本質を根本から問う。商品の価値は時間とともに劣化するのに対し、金は価値が永遠に保持される。利子により指数的に増加するといったことが、自然界に存在すものとは異質であり限られた資本化が搾取する仕組み(資本主義?)の元凶であるという。
この金の持つ性質から戦争を引き起こし、今なお格差が広がっているという。この問題を解決するには、ゲゼル理論などを元にした自然と価値が減っていき循環される地域の自由経済が必要である。具体には地域通貨(ゲゼルは批判的であるらしい)など地域内の労働が正しく評価され、コミュニティが維持されるものがよい。国や官僚の干渉を極力排除するべきであるが、地域通貨にも税金の課題があ -
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★★★2019年3月★★★
鳥取県の「汽水空港」という古本屋で購入した。
ドイツ人絵本作家のミヒャエル・エンデの「お金」に関する思想を取り上げたもの。
「お金」とは何だろう。私たちにとって身近なものは”交換の尺度”としてのお金だろう。しかしお金のもつ力はそれだけではない。「お金」そのものが商品として売買され、ため込む事で自己増殖する。だからこそお金を持つものは自らためこみ、利子や配当でお金を増殖させる。
持つものはどんどん富んでいき、持たざるものは貧しくなってゆくという格差が生まれる。
だからこそ「老化する」お金が必要だと、エンデは説く。これはゲゼルの思想から着想を得たものである -
Posted by ブクログ
家族構成で給料が決まるって面白い。
利子のために銀行に預けるのではなく、投資の一環として預ける。運用先は社会貢献になるような企業になる。
イサカアワー
今の世の中、何か自分でやってみようとしても、そのハードルが確かに高い。みんなメディアを通じた情報に慣れすぎていて、媒介が少ない生の情報を判断することに自信が持てなくなっている。
お金はどんな人でも、どんな場所でも使えるよさがあるけれど、逆に人の顔が見えない、距離がある怖さもある。すべてのお金をイサカアワーにするのは難しいと思うけど、身近な街での買い物なんかにはよいツールだと思う。
お金の幸せを考える時代になってきたのかな。買い物するとき、 -
Posted by ブクログ
非常に刺激の強い本でした。
この本を理解するには、かなり大変です。
「自立」をとくキーワードになりそうだ。
日本は、金利がゼロでしたから、
預ける方は、ゲゼルの理論を実行していますが、
銀行は、利子を付けていたり、
高利貸しに貸していましたから、
問題が多いです。
ホントに、カネがカネをむしり取る
と言うことが平気でおこなわれています。
モモで話されていた「時間」の問題の根幹に
かかわってくるのが、「お金」の問題であるというのは、
まさに根元的な話です。
「暴走するお金」という命題は、
重要な提起となっています。
エコマネーというのが、
実際に地域の自立にいかに効果があるのか
を真剣 -
Posted by ブクログ
世界中で貧富の差が助長され、裕福な者たちはますます豊かになり、貧しい者達はさらに追い詰められ、日本では政治家や高級官僚たちの汚職(天下り含む)は絶えることなく続き、一流と言われた経済はもう見る影も無い。拝金主義に走った原子力村なる輩が起こした原発事故、ペンを太鼓に持ち替えたマスコミ、何も決められない政治家。自分の会社の利益にしか興味を持たない経団連。全てがおカネを中心にしか物事を考えてられなくなってしまったリーダと言われるエリート達の末期症状を見ると、このミヒャエル・エンデが警告する、おカネの問題について深く考えてみる必要があるのではないのか…