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『モモ』『はてしない物語』などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデのラストメッセージに導かれながら、実体経済や生活現場から乖離し暴走しはじめている「お金」を根源から問い直す旅に出かけた。忘れられた思想家シルビオ・ゲゼルなどの「老化するお金」の考え方や、欧米に広がる地域通貨の試みの数々をレポートする。
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Posted by ブクログ
人生で初めて「お金とは何か」について学んだ本。お金については、電化製品と同じように、なんとなく使い方を知っているから「知っている」気になっていた。ところが、お金のメカニズムについては、電化製品と同じく、まるでわかっていなかった。 冒頭でエンデは、以下のように語る。 「重要なポイントは例えばパン屋...続きを読むでパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、2つの全く異なった種類のお金であるという認識です」 お金には、交換媒体、価値尺度、価値保蔵の3つの機能がある。パン屋でパンを買うお金は、最初の2機能だが、資本としてのお金とは、価値を保蔵できるがゆえに成り立つ。そして、価値を保蔵できること自体の希少性から、お金そのものが商品として売り買いされるようになる。 新品の時点からモノは劣化し、サービスは提供された時点で価値が尽きるのに、お金だけは時間を経ても価値を保ち続ける。お金の価値保蔵機能をフル活用する者にお金が偏り、お金を交換・価値尺度に使う多くの庶民には、お金が回らない。 そこで、お金から価値保蔵機能を除くことができないか考えた。つまり、お金を持ち続ける(使わない)ほど価値が下がる「エージングマネー」だ。そのアイデアの創始者がルドルフ・シュタイナーであり、それを地域通貨という形で実践したのがシルビオ・ゲゼルだ。 使わないと価値が下がるお金なんて、誰が使いたがるかと思った。ところが、使わないと価値が下がるなら、下がる前に使おうということで、地域通貨の流通量は高いままとなり、コミュニティは活性化したらしい。 これは、僕の感覚から言うと、「メルカリ経済」に近い。メルカリで不要品を売って、ポイントが貯まると、換金せず、そのままメルカリで何か買おうとする。換金すると目減りするし、メルカリのコミュニティでも、いろいろとほしいものがあるからだ。メルカリのポイントを貯める意味は、そこそこまとまった物を買うこと以外にない。 コロナ禍の今、岸田政権は子育て世代への10万円給付をクーポンでやろうとしていた。自治体の反対で現金給付になりそうだが、給付を必要としない家庭にも現金を配れば、それは貯金や投資(価値の保蔵)に回されるだろう。 ICカードかQRコードを使って、2ヶ月以内に使わないと目減りするようなエージングマネーとして実店舗で使える仕組みを作ったら、コロナ禍の経済対策になっただろうに。子育て世代なら、ICカードでもQRコードでも問題なく使いこなせるだろう。
Mon, 24 May 2010 大作です. 地域通貨や現代の金融の問題を問うならば必ず読まねばならない本であろう. NHKが作成した番組「エンデの遺言」をベースにして著作としてまとめた本. 分担執筆のために,全体での微妙な冗長さは後半にあらわれるが, 良くできた本だとおもう. エンデとは「モ...続きを読むモ」の作者ミヒャエル・エンデのこと. モモの隠れたテーマは,貨幣,利子,現在の金融システムの問題点だそうだ. 貨幣とは何か?貨幣の歴史を知る上でもよく説明された読み甲斐のある本である. 日本における地域通貨のブームも,この番組を発端としてあらわれたという. あなたの世界観を変えるかも知れない,重要な一冊といえるだろう. グローバリゼーション,国際化を盲目的に愛している人にこそ読んでみて貰いたい一冊.
なぜ世の中に美味しい話が存在するのか。そういったものに興味があったからこそ、根底から考え方を変えさせてくれた本。本や創造性についてと得られるものが多かった。非常におすすめ。
なかなか気になりつつ手が出なかったのですが、やっと読みました。 自分達が使うお金というものの本質を垣間見れた気がします。 また、お金、仕事、コミュニティについて改めて考えてみたいと思います。地域通貨やリングをもっと勉強してみたいと思いました。
エンデがシュタイナーの学校にいたのはほんの短い間だったようだが、 父親の生き方と共に 共生社会を目指して実践したシュタイナーの思想を強く受け継いだ 文学畑だけに留まらず文化政治経済の社会に入り込み あきらめずに直接働きかけ続けた人でもあった 彼は「もも」というファンタジーで「時間」の暴力性...続きを読むを世に問いかけた 金貨は薄められた偽物となり、ついに裏付けのない紙幣になったとき 貨幣が時間に取り込まれてしまう 凧の糸が切られ船の錨が外される 乗っ取るのはアブク銭を目論む利息経済システムである この多国籍とかグローバライーゼーションという名の幽霊船は けして国境を開放するわけではない むしろ曖昧にした上で益々地域を小さく囲み格差を大きくしている まだ金本位制の時代は金と物が糸でつながっていたから 民衆が怪しいかけ声に付いていかず歯止めが利いた ギリシャもエジプトもローマも平家も徳川も 大なり小なり経済格差の肥大が本質的な原因となって自滅している 見掛けは武力や知力が新しい時代を造っていても その根底には経済の歪みがあった しかし1971年ニクソンによって金本位制が正面切って打ち切られた それ以来絆というものがなくなった 根拠のないことが公になりすべてのルールも根を断ち切り公然とそれに従った アップ&ダウン 善悪・天地・美醜・建て前と本音のすべては逆さまに塗り替えられた 鏡の裏側の世界に入り込んでしまったけれど一瞬のことで誰も気付かない 一方的で保証のない契約が成り立ち 裏にいたギャングとマフィアとヤクザがネクタイを締めて表に出 政治と公務を取り仕切る時代になった 善とか美という真理を改ざんした力ずくの善と美が世界中でまかり通り 糸を切った凧にモーターを付けて操る それなりにでもあった秩序はずたずたにかき回され 混沌の中に暴れる経済だけが正義となり 人間の心を飲み込もうとしている つまり強いヤクザには経済的破綻などなくなった 紙とインクでヤクザが認めた公の偽札がいくらでも刷れる 破産している組織がアブク銭を稼いで支配し消費し続ける すべての人が力の失せない偽札を捨てる勇気と信念を持って 生産した実物を分け合う共生社会に戻るまでこのあぶく状態は続くのだろう それまで無知と不安を押し付けられた民衆が 鎖と鞭を持っている支配者や飼い主を支えている 妙な社会が続くのだろう 永遠の時が過ぎ去るまでコツコツと火種を絶やさず育て 小さな集いで茶を酌み交わしセッセト木を植え続けていこう 安らぐ豊かさを求めるならば無理は禁物だ 焦らずゆっくり一つずつを楽しんで 彼は社会が法と経済と精神という三つの別々の要素からなると説く 国家は法による平等を実現するための組織であり 経済や精神に手を出すべきでない 経済は友愛によって生産されて分配される必要があり 精神は無制限な自由よる文化活動によって個々独自の個性を 導き出すものである 特に経済は人間社会に大きな影響を与えるもので 大事に扱う必要があると言う エンデはシュタイナーの他にシルビオゲゼルやゲオルクオットー そしてジョンケインズ達と共通の考えを持っていた
ミヒャエル・エンデの名作「モモ」を単なるファンタジーとして読むだけでなく、金融資本主義に振り回される人間たちへ疑問を投げかける書と捉え直す視点を与えてくれた。サブテキストとして優秀です。
「利子のつく貨幣システムこそが現代社会が抱える問題の根源」と、常識を根底からを覆された。この本を読むまでそんなこと考えたことがなかった。
金の本質を根本から問う。商品の価値は時間とともに劣化するのに対し、金は価値が永遠に保持される。利子により指数的に増加するといったことが、自然界に存在すものとは異質であり限られた資本化が搾取する仕組み(資本主義?)の元凶であるという。 この金の持つ性質から戦争を引き起こし、今なお格差が広がっている...続きを読むという。この問題を解決するには、ゲゼル理論などを元にした自然と価値が減っていき循環される地域の自由経済が必要である。具体には地域通貨(ゲゼルは批判的であるらしい)など地域内の労働が正しく評価され、コミュニティが維持されるものがよい。国や官僚の干渉を極力排除するべきであるが、地域通貨にも税金の課題があるという。 「モモ」の時間泥棒のコンセプトの背景には金のありかたが隠れたテーマである。 ※カリフォルニア大学リエター氏による現在の通貨が持つ昨日 ①交換の媒体②価値の尺度③価値の保存④投機的利益の道具⑤支配の道具 ④以下の機能が課題。外国為替の98パーセントが投機の動機で動いている。
地域通貨、代替通貨についての記念碑的一冊。 経済の仕組みの問題点を、さまざまなエピソードで気づかせてくれる。 同名のNHK番組を元にかかれた一冊。 今の経済がなんでうまくいかないのか、考えてみたい人は是非一読を。
「パン屋のお金とカジノのお金はどう違う?」オーエス出版 を読んでから、もう一回読み直したら 前より わかって来た。 そして 見えて来た。 どうして地球温暖化があるのか? どうして格差はひろがるのか?
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エンデの遺言「根源からお金を問うこと」
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