吉田満のレビュー一覧
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筆者の吉田満は、学徒動員の一環として応召され、副電測士(電測士というのは、レーダー要員と理解した)として、沖縄特攻作戦に参加する戦艦大和に乗り込む。1945年春、終戦まであと4ヶ月の時である。
既に米軍は、沖縄を勢力圏に置いており、そこを本拠地とした本土攻撃を遅らせるために、日本軍は本土防衛作戦の一環として「天号作戦」を立案する。「天号作戦」には、一号から四号まであり、戦艦大和が参加したのは、「天一号作戦」である。700機の特攻機が沖縄の米軍を攻撃するのを支援するために大和は、計10隻の艦隊の中心艦として参加するが、帰還は想定されておらず、行きの燃料のみを積んで、広島県の呉港を出港した。
本文 -
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「大和轟沈 一四二三」
昭和20年4月7日12:20
「目標捕捉 イズレモ大編隊 接近シテクル」
戦闘開始から2時間後のことである。
カタカナの文語調の文体には緊張感が漂う。
時系列、日記的な記載により臨場感が増す。
基点(大和)から、話題がぶれないために、時局の把握は容易にできる。(時代背景や軍備)説明はは少ない。
天号作戦は、死出の作戦。出航後の帰還はしない。
緊&緩の繰り返す波、艦上と下船の会話。これは軍隊と家族、戦争(死)と生活(生きる)との対峙なのだろう。会話中に登場する、許婚、父母や、妹があり。
戦闘(攻撃)の描写は息を飲む、目前での死別あり。無言の最期があり。死に直面しての -
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戦艦大和の最期
全編、漢字とカタカナの文章をこんなに読むのは初めてかも知れない。最初読み難いかも知れん…と思ったが、読み出したら特に問題ないのは不思議な気がした。流石にカタカナも日本語だと言うこと笑笑。でも何故戦中は平仮名ではなく片仮名表記だったのかな?平仮名よりも文字の見間違いとかが起こらない…とかそんな理由が有るのかな?なぞと考えてしまうw。主人公が活字ジャンキーなのは好感が持てる笑。出航後、遠い岸の桜のエピソードは微笑ましく。やはり桜は日本人の心に深く染みる花なんだなぁ〜と感心した。
戦闘が始まった後の激しい攻撃と戦艦内部の苛烈な状況描写が生々しくて「連合艦隊」「男たちの大和」とかいろ -
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副電測士の少尉であった著者による、戦艦大和の最後の出撃をえがいた記録文学です。
太平洋戦争の敗色が濃厚になっていくなかで、大和は片道の燃料だけを積んで、生還を期することのない「天一号作戦」の実行をおこないます。「日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」と語る臼淵大尉と、それでもなお戦いのなかで死んでいかなければならないことの理由を求めようとする者との認識のちがいが浮き彫りになりつつも、大和は進路を進めていきます。たびかさなる集中砲火を浴び、著者も死の淵をさまようことになりますが、生きたいという「希求」ではなく、生きなければならないという「責務」によって、著者はロープをつかみ、救出さ -
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吉田満 「戦艦大和ノ最期」 戦艦大和の電測員であった著者が、天一号作戦における戦艦大和の出撃から自爆までを記録した本。
戦争の不条理、悲哀、残酷さ、昂揚感など戦争の全てを再現している感じ。カタカタ文語体の文章が 軍隊を象徴しているように感じる〜規律的というか、ガラパゴス的というか。
天一号作戦は、往路のみの燃料を搭載し、敵国の標的となれというもの。もはや作戦ではない。この時点で降伏せず、原爆投下まで国家の損失を広げた理由を知りたい
敵国の的確な攻撃力に対して「敵ながら天晴との感慨湧く。達人の稽古を受けて恍惚たる如き爽快味あり」と感じるあたり、後に日本銀行で日本経済を復興させた人物だ -
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吉田満は1923年に生まれた。1945年に22歳。九死に一生を得て戦後を迎えるが、1979年、高度経済成長の最中、56歳という若さで亡くなっている。
20代に、初めて読んでい以来、沈没寸前の大和艦上の凄惨な描写が忘れられない。臼淵大尉はじめ、少壮の将校たちの特攻に対する議論が、戦後日本の浮かれた経済成長を批判する言説として読み継がれてきた一面が強い作品だ。しかし、ここに描かれている、艦上の凄惨にこそ、「死」と「国家」を天秤にかけた議論以上に、吉田の国家や戦争の持つ、本質的な「人間蔑視」批判のメッセージを読むべきではないのかと、最近気づいた。
先日、呉の「大和博物館」(?)の前を通った。金 -
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映画「男たちのYAMATO」を見て、この有名な本のことを思いだし、読んでみました。
著者は21歳の海軍少尉として戦艦大和に乗りこみ、その撃沈を生き延び、終戦直後、わずか1日でこの小説の初稿を書き上げたということです。
大和の最後を描いたこの作品、映画の幾つかの印象的なシーンは、この小説からそのままとられています。たとえば、長島一茂演じる臼淵大尉が、激しく言い争う士官の間に割って入って語るときの言葉とか、特攻作戦を伝える特使にくってかかる若手艦長のシーンとか。
映画では、戦闘シーンは15分程度だったと思いますが、実際には約2時間、壮絶な(というか制空権、制海権が失なわれた海を行く大和へのほ -
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よくもまあ,当時のことをこれだけ詳しく書けるものだ…と感心した。こういう本があることは知っていたが,「今さら読んでもなあ」と思い,敬遠してきた。が,最近,政治の動向がきな臭くなってきたので,なんとなく,こういうものにも触手が動くようになったのだ。
最後の解説は鶴見俊輔氏が書いている。
大和の特攻は,ムダなのか…オレらの死の意味はなんなのか…艦船上で悶々とする兵士たち。「負けて目ざめることが最上の道だ」とは,自分達の死を意味づける究極の言葉だ。「日本の新生に先駆けて散る。まさに本望じじゃないか」
もっと前に,降伏していれば,大和の死もなかったのに…。
全編文語体で書かれている本書から伝わっ -
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先年,呉の大和ミュージアムに行ったとき以来,読もうと思っていた本を読む.
大和の最後の出撃となった沖縄特攻に学徒出身士官として乗り組んだ著者の経験を基にした小説.短い文を重ねた明晰な文語での記述に,必ず負ける,生きては帰れないと知りながら出撃し,まさしく懸命に戦う人たちの姿がうかびあがる.戦後70年を振り返り,今の日本がどうなろうとしているかを考える上でも,読んでよかった.
文語文としては難しくはないが,私には読めない漢字や意味のわからない漢語は少々あるので辞書はひかないといけなかった.若い人が読めるようにルビ付き,注つきの手軽に手に入るエディションがあってもいいと思う.