佐藤全敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は「日本歴史全集」の一冊として、8世紀末から10世紀末のおよそ200年間、いわゆる"平安時代"前半を対象範囲としている。
50年以上前に書かれた一般読者向けの概説書であるので、研究の進展により今では異なる論が通説になっているような叙述も散見されるが(例えば"薬子の変"の主役は誰かなど)、著者の筆にかかると、この時代の有り様が鮮明に浮かび上がってくる。
それは、政治を動かす天皇や貴族層、また文化人や宗教人、時代後半に登場してくる武士など、この時代を代表する人物たちについての著者の思いや評価が、簡潔な叙述の中にも窺われ、歴史を生きた人間の営みとし