井齋偉矢のレビュー一覧
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著者は医師の井齋 偉矢氏(1950ー)です。
本書は著者が実践する、漢方を現代医学的に使いこなす方法を紹介したものです。
井齋氏は北大卒業後、消化器外科でキャリアを積みます。
漢方は92年から独学で実践し、2012年には「サイエンス漢方処方研究会」を設立して理事長を務めています。
漢方は伝統的に、体質や主訴に対応する漢方薬を処方する「方証相対」で運用されてきました。
著者は現代医学を学んだ医師が使いやすいように、生理学の観点から処方する「サイエンス漢方」というものを提唱しています。
本書はこの考え方を説明していました。
井齋氏は漢方薬の基本機能を現代医学的に翻訳し、次の4つで分類していま -
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西洋医の先生が科学的に漢方を進めているという形式の本ですね。
西洋薬は症状をピンポイントで治すが、漢方薬は身体のシステムの変調を元に戻すために使う薬との事で、確かにそういう意味合いは強いと感じました。
また、漢方薬の中にも即効性が高い薬もたくさんあり、それらも紹介されているのでとても良い本だと感じました。
個人的には最近、健康維持の為に愛用している「八味地黄丸」は老化防止のために常用しても良いと書いてあり、安心した次第。
なお、日本で認可されている漢方薬は148種類もあるので、全てが有効活用できれば、日本人のQOLはかなり上がるのでは、とそんなことを感じたりしました。 -
Posted by ブクログ
『漢方というと,現代医学とはまったく異なる摩訶不思議な医術と思っている人も多いと思います。それはとりもなおさず,従来の漢方では,「陰陽五行説」に代表される東洋医学の難しい理論を,伝家の宝刀として振りかざしてきたからにほかなりません。』と言う切り口は、面白い。なんとなく、感じてる胡散臭さを、一気に攻めこむ。そして、対峙するのが「サイエンス漢方」と立場をはっきりさせる。
サイエンスになるためには、現代医学にのっとり、サイエンスになるためには、検証できなければならないし、再現性が必要であるとする。
「西洋薬と異なるのは、薬剤の形が少量の多成分の集合体であり、その多成分が一斉に、または時間差で体に作用 -
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十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)=全身の疲労困憊
葛根湯=頓服で=忙しい時の疲れ=頭が冴える。
八味地黄丸(はちみじおうがん)=足腰の弱り。スローエイジング。視力の衰え。
腰痛に午車腎気丸(ごしゃじんきがん)=2週間位。
精神面、性欲に桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)=2週間位。
五苓散(ごれいさん)=めまい、2包飲む。
咳=麦門冬湯(ばくもんどうとう)滋陰降火湯(じいんこうかとう)、どちらも最初は2時間起きに。
眠りが足りない=酸棗仁湯(さんそうにんとう)=眠りが足りない。
冷えに当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
小柴胡湯(しょうさいことう -
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抗菌薬は病原菌を殺すだけ。炎症を鎮める力はない。
西洋薬の炎症剤は副腎皮質ホルモンとNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)だけ。
サイエンス漢方処方
漢方は超多成分系薬剤=混ぜると違う効能が出る
急性期に大量投与(2~3倍)それでも中国の処方より少ない。量は厳密でなくてもよい。
風邪=参蘇飲じんそいん、発熱=桂麻各半湯かいまかくはんとう、極初期=香蘇散こうそさん
打撲=通導散つうどうさん
変形性膝関節症=防巳黄耆湯ぼういおうぎとう=膝のアクアポリンに作用し代謝を促す
花粉症=小青竜湯しょうせいりゅうとう=最初は1日5回。
思いときは越婢加朮湯えっぴかじゅつとう
膝から下のむくみ=猪苓湯 -
Posted by ブクログ
医療系の本は読みものとして読むか、藁にもすがるかで、全然評価が変わってしまうと思うが、今回はその中間ぐらいという中途半端な状況で読んでみた。
漢方はもともと科学的な薬効を持っていたが、東洋思想が後付けされたために、わかりにくく胡散臭くなった、という。どっきり。僕は東洋思想から漢方に興味を持った(料理→薬膳→中医学というアプローチだけど)ので、この否定には目からうろこである。
漢方は本当は効くのに、材料をケチって少なく出すから効きが悪いのだとか、本来、劇的に効くのだが、そうしないので慢性疾患向けみたいに見えてしまう、とか。
東洋思想を捨て、エビデンスに基づくサイエンス漢方を目指 -
Posted by ブクログ
難解で摩訶不思議な理論が障壁となっていて、本来は有用な漢方薬をサイエンスの観点で処方しよう、という考えを述べた本。一般向けよりは、やや専門的でしょうか。
医療に対して完全な素人だと、自分の症状も誤解しそうなので、巻末に載っている医師リストの先生に伺ってみるといいかもしれません。
前半は、漢方薬とはという基本的な話で、その歴史がもう医薬品開発でいう、phase 1~3までは完了している、という指摘はその通り。確か、一番新しい処方の漢方薬ができたのが、1000年前だというのをどこかで聞いたことがあります。なので、有効性・安全性は歴史が証明しているといっても寡言ではないでしょう。ただし、漢方薬にあ