あらすじ
東洋思想に縛られず、西洋薬と同じように処方するのが「サイエンス漢方」のキモ! 西洋薬と同じように症状によって合理的に処方する独自の方式が、従来の漢方の概念を覆す。西洋医学が難渋する疾患を抱える人にも、すみやかに解決できる道筋を提起する!
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Posted by ブクログ
井齋 偉矢
(いさい ひでや)
日高徳洲会病院 院長
1950年、北海道生まれ。北海道大学卒業後、同大学第一外科に入局。 専門は消化器外科、肝臓移植外科で日本外科学会認定専門医。1989年から3年間オーストラリアで肝臓移植の臨床に携わる。帰国後独学で漢方治療を本格的に始め、現在、日本東洋医学会認定専門医・指導医。2012年にサイエンス漢方処方研究会を設立し理事長を務める。医療法人静仁会静仁会静内病院(漢方内科・総合診療科)院長を経て、現職。
「日本では、そうした歴史的背景がまったく考慮されずに、とにかく漢方は東洋思想から入ることが原則とされています。医学部の教育はもちろん、一般向けの健康書にまでご丁寧に「陰陽論とは何ぞや」「五行説とはこういうことですよ」といった説明が細かく書かれています。 極端にいえば、医学という範疇を超えて、哲学、ひいては「道」として極めた者しか漢方を実践してはならない、あるいは漢方の恩恵を受ける資格はないという圧力さえ感じます。 そのような考え方が好きな人はそれでやっていただくとして、そうでない人は漢方に対して尻込みしてしまいます。 医療機関で漢方薬が処方される比率が頭打ちとなっている背景には、こうした漢方医療を取り巻く閉鎖的な状況が大きく影響していると考えられます。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「そこで私は 2012年に、同じ志をもつ木元博史先生(永津さいとう医院院長)、安井廣迪先生(安井医院院長)とともに、『サイエンス漢方処方研究会』を立ち上げました。そして、同じ視点で漢方薬の研究に取り組んでいる全国の研究者の方々に声をかけ、定期的にシンポジウムを開いて個々の漢方薬の効果のしくみ(作用機序)について討議する取り組みを続けています。 そうした中で、少しずつではありますが、これまで謎に包まれていた漢方薬の片鱗が見えてきました。具体的な作用機序は 2章であらためて紹介しますが、その前に漢方薬というものの基本的な性質についてお話ししておきましょう。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「西洋のハーブ療法と漢方薬はここが違う 漢方薬と聞くと、古典的なクスリという印象を抱く方が多いと思います。 しかし実際はまったく逆で、現代の薬理学からみると、漢方薬はきわめて先進的な薬です。その最大の特徴は、複数の成分の集合体であるという点です。 漢方薬の原料はほとんどが植物です。薬用植物を用いたハーブ療法は世界各地で広く実践されてきましたが、それらは押しなべて 1種類の植物を使います。日本で民間薬として重宝されてきたゲンノショウコやドクダミなども単独で用います。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「 しかも、漢方薬は複数の成分がチームで作用するため、1つの成分が暴走しそうになっても、別の成分がそれを抑えます。ですから、副作用のようなダメージが起こりにくいのも超多成分系薬剤の利点です。 いずれにしても、薬がすごいのではなく、人間の体がすごいのだということを患者さんにも医療関係者の方々にも知っておいていただきたいのです。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「病気を治す力は、すべての人に備わっています。それが何らかの影響でうまく機能しなくなると、病気という形で現れてきます。そうしたとき、適切な薬を飲むと体が反応し、元通りに回復していきます。 基本的に自分の力で治すのだということを意識し、その上で薬というものを賢く使うことが大切です。自分の治す力をどうやったら上げられるのか、下がっている力をどうやったら補うことができるのか、そうしたことを常に考えながら漢方薬を選べるようになれば、どのような病気にもある程度対応できるようになります。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「なぜかというと、日本では昔から、漢方薬の原料をもっぱら中国からの輸入に頼ってきました。今でも 8割は中国に依存しています。現在は必要な量が飛行機や船で定期的に運ばれてきますが、江戸時代までは漢方薬の原料を乗せた船がいつ到着するのか、まったく予想がつかない状況でした。ときには船が難破して、何年も原料が届かないこともあったでしょう。 ですから、漢方医たちは手元にある原料を少しでも長持ちさせるため、最低どのくらいの量で効き目が出るかを検討し、最小限の処方をしていました。その伝統がいまだに残っていて、現在もなお日本では、処方量が少な目に設定されているのです。「漢方薬は切れ味が悪い」 そんなイメージが強いのも、処方量を少な目にしてきたことが関係していると私は考えています。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「漢方薬が「超多成分系薬剤」であることは第 1章でお話ししました。 超多成分であるがゆえに、漢方薬を服用すると複数の成分が同時にいろいろなところを刺激します。それにより、体のシステムが一定方向にむかって一斉に動きはじめます。このとき、体全体がシステムとして回復していく一環として、免疫のバランスも本来の状態に戻っていくということでしょう。 さらにその一方で、漢方薬の抗炎症作用は、標的とする部位だけに作用します。過剰に起こっている部位だけを抑えるので、必要があって炎症が生じているところはまったく影響を受けません。 つまり、漢方薬は、体全体を健康な方向へ戻っていくのを促すと同時に、特定部位の異常にも対応するという、二層構造で効果を発揮するわけです。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「たとえば、脳細胞にはアクアポリン「 4」が存在します。このアクアポリン「 4」が何らかの原因によって開きっぱなしになって脳細胞の中に水がどんどん流入すると、脳がむくんで脳浮腫と呼ばれる病態が発生します。進行しますと呼吸や循環の中枢を圧迫して死に至る危険な症状です。 漢方薬の中には、このアクアポリン「 4」にピンポイントで作用するものがあります。五苓散と呼ばれる漢方薬です、脳浮腫が生じている人が五苓散を服用すると、一週間以内には脳のむくみが改善されます。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「貧血──当帰芍薬散 当帰芍薬散を一包ずつ 1日 3回 貧血の人の中には、鉄剤を飲めない人がいます。鉄剤を服用すると、おなかをやられてしまう人がいるのですね。 そうしたときは、当帰芍薬散を使うと貧血が解消されます。鉄剤を服用したときと同じくらい改善されるので、鉄の代謝にも何らかの影響を与えると考えられています。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
井齋偉矢『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方』漢方は本来、伝染病などへの急性対応に使われていたもの。即効性のあるものも多い。また、東洋医学的な診察を行わなくても、体格や症状のプロフィールで使い分けするらしい。素人が読んでも直ぐ分かりますが、不利益が生じても自己責任です。要受診!
おすすめの本「西洋医が教える、本当は速効で治る漢方」(SB新書)
漢方薬は体にじっくり働きかけ、体質を改善していく薬という認識が強いが、実はその誕生時から急性期の病気を標的に開発されてきた。
漢方薬を西洋医学的に解説した本。紹介処方は医療用のものも多いのですが、おもしろい!
「怒り 抑肝散を一包ずつ 1日 3回 怒りという感情はなかなか表に出づらく、心の奥底にたまっていって、時間が経つにしたがってどんどん大きくなります。 しかし、大きくなったままにしておくと、精神的におかしくなってしまいます。そこで脳はふつう「痛み」という症状に肩代わりさせる傾向があります。 たとえば、慢性関節リウマチと診断された患者さんで、強い痛み止めを飲んでいるにも関わらず、体のあちこちに痛みが出ているようなときは、その背景に「怒り」が隠れている可能性があります。女性なら嫁姑関係で悩んでいたりするわけですね。 このようなとき、抑肝散という漢方薬が、無意識の世界に積み上げられた怒りを溶かしてくれるといわれています。 抑肝散の出典は中国・明の時代の『保嬰撮要』で、いわゆる腺病質の小児のひきつけや夜泣きなどに用いる処方でした。このような症状を呈する小児は、その原因が母親にあることも多いと考えられたのか「母児同服」といって、母親にも同時に服用させるという飲ませ方が一般的に行われていたようです。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「「女性」の血のめぐりをよくする漢方薬 漢方薬は、女性の強い味方です。 女性の場合、体のあちこちで微小循環障害が起こりやすく、これが諸症状の背景にたいてい存在します。とくに月経に関するトラブルは、骨盤内の微小循環障害を改善することが大きなカギを握ります。 微小循環障害の改善は、前項でもお話ししたように、漢方薬が非常に得意とするところす。漢方薬が女性にやさしいといわれるのはこのためです。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
「月経困難症──加味逍遥散 女性に効く漢方薬の代表が、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散の三つです。 このうち、加味逍遥散は女性ホルモンの分泌を調えたり、精神状態を安定させたりする作用があります。また、月経困難症の背景にある骨盤内の炎症や微小循環障害の改善にも役立つことから、月経に関係する諸症状の解消にとても効果的です。 下半身が冷える、肩がこる、頭痛、めまい、不安感、イライラ、上半身の灼熱感、急に汗が出るといった症状に悩んでいる方にはぜひおすすめです。 とくに「魔女のような女性」に適しているといわれています。魔女のような女性とは、物事に細かく、精神不安定で、その言動が周囲に迷惑をかける場合をいいます。 加味逍遥散を一包ずつ 1日 3回服用すると、 1 ~ 2週間で気分が軽くなって愁訴が減っていきます。 当帰芍薬散も、ホルモンを調整したり、炎症を抑えたり、血液をさらさらにする働きもあります。月経時に起こりやすい鉄欠乏性貧血対策にも、この漢方薬は有効です。 また、冷えのぼせがみられるような人は、桂枝茯苓丸を試してみるといいでしょう。これは子宮卵巣疾患や更年期障害にも対応します。」
—『西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)』井齋 偉矢著
Posted by ブクログ
ちょっと興味を持ったので手に取ってみた。
漢方に持ってたイメージがちょっと変わる一方で、
「ほんまかいな」という感覚も…まあ普通の反応ですよね(笑)。
要は「ツラい症状から早く脱却したい」が大事なことなので、
選択肢が安全に増えるならいいことだと思います。
鵜呑みにしたり頭でっかちになっちゃいけないけど、
自分で情報を得ようとするのも大事だなぁと思いました。
Posted by ブクログ
抗菌薬は病原菌を殺すだけ。炎症を鎮める力はない。
西洋薬の炎症剤は副腎皮質ホルモンとNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)だけ。
サイエンス漢方処方
漢方は超多成分系薬剤=混ぜると違う効能が出る
急性期に大量投与(2~3倍)それでも中国の処方より少ない。量は厳密でなくてもよい。
風邪=参蘇飲じんそいん、発熱=桂麻各半湯かいまかくはんとう、極初期=香蘇散こうそさん
打撲=通導散つうどうさん
変形性膝関節症=防巳黄耆湯ぼういおうぎとう=膝のアクアポリンに作用し代謝を促す
花粉症=小青竜湯しょうせいりゅうとう=最初は1日5回。
思いときは越婢加朮湯えっぴかじゅつとう
膝から下のむくみ=猪苓湯ちょれいとうまたは越婢加朮湯(男性はこちら)
咳止め 痰が多い=竹茹温胆湯ちくじょうんたんとう
乾いている咳=滋陰降火湯じいんこうかとう
筋肉痛=麻杏薏甘湯=筋肉の非ステロイド性抗炎症薬
五苓散は様々な救急で使える=悪酔い、二日酔い、飲みすぎたときは寝る前に2包飲む。
めまい=2包。乗り物酔い=乗る前に1包。飛行機の下降時=2包。脳浮腫。
葛根湯は鼻炎の初期、だけ。胸から上の過剰な炎症に使える。喉の炎症にはだめ(咽頭炎には効かない)。筋肉の炎症に効く。
冷え性=当帰芍薬散とうきしゃくやくさん
アンチエイジング=不妊症=八味地黄丸はちみじおうがん=40歳過ぎたら生涯一日3包。
「漢方のお医者さん探し」サイト
漢方は食前または食間。西洋薬の食後、は飲み忘れないため。
防風通聖散=ダイエット?
滋養強壮効果=補中益気湯ほちゅうえっきとう
紅参末
Posted by ブクログ
医療系の本は読みものとして読むか、藁にもすがるかで、全然評価が変わってしまうと思うが、今回はその中間ぐらいという中途半端な状況で読んでみた。
漢方はもともと科学的な薬効を持っていたが、東洋思想が後付けされたために、わかりにくく胡散臭くなった、という。どっきり。僕は東洋思想から漢方に興味を持った(料理→薬膳→中医学というアプローチだけど)ので、この否定には目からうろこである。
漢方は本当は効くのに、材料をケチって少なく出すから効きが悪いのだとか、本来、劇的に効くのだが、そうしないので慢性疾患向けみたいに見えてしまう、とか。
東洋思想を捨て、エビデンスに基づくサイエンス漢方を目指せば進化するのだ、と。
むう…。まあ、東洋思想はいいとして、対処療法的に劇的に症状改善を図る、というのでは西洋医学と変わらないのでは…と思うけど、材料が違うからいいのか。
医食同源、なんていう言葉が好きな僕には、その劇的さは読みものとしては楽しい半面、漢方に期待する楽しさが失われてしまうようで…なんていうことは、藁にもすがる人はいうまい。
まだ、身体の不調よりも読書欲求が勝っている。やっぱり思っていたことがひっくり返される(返されそうとする)のは楽しいね!