RYOJIのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
特別な人たちではない「生活者」の人々の手紙。
たくさんの葛藤、困惑、痛み…の先にあるのは、誠実で真摯な思いだった。
セクシャルマイノリティが「特別」と括られている訳じゃなく、当たり前にそこに存在している人であった。同じ目線の高さで当事者と家族や先生が話していて、これこそ「社会の多様性」だ、と感動した。
一方、最後の対談で、どこか理解したくない部分を持つ一人のお母さんがでてきたが、全てを理解をすることは単純じゃないな、と感じた。でもそれを否定することは違う。
理解しようとしてくれる、そうまでいかなくても否定しない。それだけでも多分良いんだと思う。
現代は「多様性」がキーワードとなっている。
この問題に興味がある人以外の人にもぜひ読んでもらいたい。「多様性」とそれへの向き合い方がわかるはず。
若いうちに読めてよかった一冊だ。 -
Posted by ブクログ
セクシュアル・マイノリティは、国や宗教や階級階層に関わらず、どこでもぽつんと生まれてくる。多くの場合家族はセクマイじゃない。自分がマジョリティじゃないことについて、言っちゃいけないことと思って育ってきたこどもたちが、ついに親や教師にそれを言うと、セクマイじゃないにも関わらず?そのことを真摯に考えなくちゃならなくなった大人はびっくりしたりするのだが、本人も家族も、社会の中で頭の中身を作ってくるから、まぁ大変なわけよ。この本には、テレビに出てくるようなんじゃないふつー?の人たちの往復書簡が収められてるだけ!なんだが、考えるべきことの多さったらないぞ。
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Posted by ブクログ
LGBTの当事者(ここではLGの方々)が親や恩師にカミングアウトし、相手が当事者にその返信をする往復書簡。
手紙の前に口頭でカミングアウトを受けているが、ここに出てくるどの親も(皆、母親)その瞬間、かなりショックを受けた様子がわかる。
長年、子育てしてきても、我が子がLGBTであることに気づけないということなのか、と受け取った。
ということは、当事者は、そんなに身近にいる人にさえ、分からないように、気づかれないように、隠して生きてきたということでもあるのか。
昔は、ゲイやレズビアンは、笑いのネタ、蔑みの対象として見られていて、テレビでもバラエティーなどで面白おかしく取り上げられていて、実は自分もそれを見ても何も感じなかったということに、読んでいて気付いた。
自分で直の言動がなかったとしても、これも『無関心』という間接的な差別だったのではないか、と。
当事者から母親や恩師に充てて書いた手紙には、自分の苦悩やアイデンティティーについて書かれていて、その苦悩の深さが垣間見えた。
親からの返信は、当事者からのカミングアウトを受けた時の心境、混乱、悲しみなどが素直につづられているが、子どもを理解したい、という気持ちも見られる。
恩師からは、気づけなかったことの詫びとともに、教師が生徒を温かく見守るスタンスがみられる。
ここには、何人かの親子、教師と生徒の書簡があるが、一番印象に残ったのは、授業のレポートのテーマで性的マイノリティーについて選択した生徒とその指導に当たった教師との書簡。
その教師はキリスト教を信仰しており、キリスト教の精神をもとに生徒を本当に温かく見守り、そのままの存在を受け入れてくれていて、これを受け取った生徒は、どれほど勇気づけられただろうか、と思う。
まだまだ偏見が残る(あからさまではなくても、知らずに傷つけているかも)世の中であるから、自分のアイデンティティーに悩み苦しみ、知られないように隠して暮らしている人はたくさんいると思う。
どの姓を愛すか、ではなく、どんな「人」を愛すか、いち人間として、人間を愛すというスタンスが広く定着していけば良いと思う。 -
Posted by ブクログ
前半の親子の間でのカミングアウトの往復書簡を読んで、同性愛のことよりもお互いを思い合う親子の絆が印象的だった。同性愛者だということは、それ以外にもたくさん存在するマイノリティなことの一つに過ぎず、誰しもが何らかの特性においてマイノリティでありえるから、当事者も周囲も同性愛について特段気にしなければいいんじゃないか、と思った。
けど、おわりに のところを読んでその認識を改めた。世の中の仕組みから他愛無い日常会話に至るまで多くのことが異性愛を前提に回ってしまっているので、当事者は同性愛者であることによる生きづらさを感じるし、自分がそうであることに嫌でも意識がいってしまう。確かに誰しも名前を間違って呼ばれていたら気持ち悪くて訂正するように、同性愛者なのに異性愛者の前提で他者から認識されたら居心地が悪くて気になるな、と思い直した。カミングアウトというのは確かにとても勇気がいることになってしまうなということがわかった。
そういうことが、最初の感想に戻って、他のあらゆるマイノリティ特性にもあることなんだな、気にしなければいいのに なんてことじゃあないんだな、と、ちょっと想像力を働かせれば当たり前のことだけど、気づきになりました。
自分の視野がいかに狭かったか、自分はけっきょくだいたいの局面でマジョリティにいてマイノリティの抱く感情を想像できてなかったんだな、と思い知りました。 -
Posted by ブクログ
NHKの書籍紹介で3度も見て、じわじわと「あ、これ読んだほうが良さそうだなぁ」と思い、拝読。
やっぱり読んでよかった。
ジェンダー問題については身近に当事者もいるが、往復書簡を読むのは初めてだが、手紙をやり取りする、親と子、生徒と教師はお互いを尊重し、想い合っていることがわかる。
知人(知人とも呼びたくないが)が面白おかしく学生のアウティングをする場面に立ち会ってまったことがあってから、モヤモヤしてその人と会うたびに嫌な気分になっていたが、「自分のことではないけど、あのとき私は傷ついたんだな」とこの本を読みながら振り返られた。
この本が発行されたころと比べて、セクシャル・マイノリティーへの理解は少しずつ深まってきているが、ステレオタイプの世代から抜け出せていない人種も少なからずいる。
それでも前進している。
否定する・拒絶するひともいるけど、少なくとも後退はしていないと信じたい。
『キュービィロップ』 -
Posted by ブクログ
当事者で、親にカミングアウトしていない。友人にもほとんどしていない。
これを読んで、する気になるかと言うと、そうではない。
あとがきにもあったが、
カミングアウトした後に読んでもらいたい本。
という言葉に感動を覚えた。感動なのか、語彙がないので違うかもしれないけど。
がんばれ!大丈夫だよ!わかってくれるよ!
だけでは不安のままなんです。
この本のように正しい知識や情報、当事者の言葉、親の言葉、全てが一冊になっていて、自分の負担もカミングアウトされる相手への負担も軽くしてくれるような一冊。
色々な場所においてほしい。
これは素晴らしい本です。 -
Posted by ブクログ
p183「ゲイが人口の数パーセントいるとすると、親はその二倍やん。人口の一割以上がゲイの家族やねんな(後略)」
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同性愛者とその周囲の人の手紙のやりとり。
同性愛者であることをカミングアウトする人、された人達の心の葛藤。
手紙だからこその言葉であり、手紙だからそば見えるものもある。
文体も文章も書き方もみんな違うし内容だって違う。けど、みんな普通に読めるのだから、違いなんてないのです。
この本の内容はそういうことと似ていると思いました。
p61「約四十年前に買った『家庭の医学』には、同性愛は頭・脳の病に分類されている(中略)四十年もの歳月が経過したいま、一般の先入観も、知識も理解も、さほど進歩したとは私には思えないのだ。」(letter3)
このletter3のお母さんの文章が好きでした。次第に文体がお母さんになっていく感じがなんとも。
p139『そしてぼくはそんなクローゼットのなかで、表通りを、五月のような陽光に祝福を受けて外を歩く人びとを、ひっそりと見つめ、ため息をつき、あるいは妬んで、憎みさえして、そこで生きていたいわけじゃないんだ、ということです』(letter7)
葛藤しなからも彼らが受け入れていった現実。強い文章ばかりでした。
読んだ私は、同性愛者でもなければカミングアウトされた人間でもない、全くの第三者です。
でもそういった第三者・もしくは、自分とは全くの無関係だと思っている方にも、読みやすい本ではないかと思います。