M・ヨートのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
下巻、読みおわった!
人物描写やカラクリが
なんと映像化しやすい小説なのだ!と思ったら
二人の作者はスウェーデンを代表する脚本家
なのであった。やっぱり。
同僚同士。
上司と部下。
夫と妻。
男と女。
友人同士。
教師と生徒。
そして、親と子。。。
あっ!と驚く結末も用意されており
上質の人間ドラマにできあがっている。
上巻で人物が人間臭く描かれていて良いと書いたが
下巻ではその魅力が一層際立っている。
主人公のセバスチャンの心の変遷と
事件解決へのラストスパートが
うまい具合に並走している。
実はセバスチャンはこの事件の捜査に
別の目的で参加していた。
それはある女性を探し当てることであったが
果たして、彼女に会うべきなのかどうか
彼は事件が解決してもまだ逡巡し続ける。
そして。。。
彼の人格破綻は
自分に手を差し伸べてくれなかった母親と
ふいに亡くなった妻と娘。
すべてそこから始まっていると言える。
喪失が彼の心に開けた穴はあまりに深く大きく
どんなに女性たちと肌を重ねても満たされず
一夜の情事をただ続けるしかない。
マザコン度が高い男ほど女を求める
というのはあまりにも定説だが
彼の場合、求めても得られなかったから憎む
というタイプで実に痛々しい。
だからこそ、彼がどんなに嫌な奴でも
母性ある女性は、その理由がわかるだけに
ひきつけられてしまうのである。
ドラマの主人公として、実に魅力的である。
犯罪そのものについては
特に真新しさはないが
全体のバランスがよく人物たちにも好感が持てて
十分に楽しめる小説であった。
おすすめします。 -
Posted by ブクログ
快調のシリーズ2作目、後半。
連続殺人犯ヒンデの模倣と思われる事件が起きる。
セバスチャンがかって心理捜査官として犯人を割り出したのがヒンデだった。
被害者の共通点を探していたセバスチャンは、とんでもないことに気づく‥
この事件はセバスチャンの関係者を狙っていたのだ!
もともと女性関係が多いというか、独り寝が苦手で次々女性を口説いては別れてきたセバスチャンだが、行きずりのつもりだった相手エリノールが何も求めない性格で、ふと安らぎを覚えます。
仕事と人生を立て直そうと、彼なりに真剣に考え始めていました。
ところが、自分のしでかした旧悪がしっぺ返しをするように、彼の前途に立ちふさがることに。
警察サイドの人間関係も濃厚。
ウルスラの夫婦関係や、ビリーの仕事意識の変化が起きたり。
セバスチャンは生真面目な若い女性刑事のヴァニヤに嫌われながら、何とか組んで仕事を続けていきます。
そして、囚人から事件解決のヒントを得ようとする刑務所所長は?
脚本家らしく、スリルと見ごたえのあるシーンで盛り上がります。
ひねくれ者セバスチャンがけなげな決心をすることに‥
満足な読後感でした。
問題解決と思いきや、さらなる火種が点火されるところで以下は次の作品!となります☆ -
Posted by ブクログ
「犯罪心理捜査官セバスチャン」のシリーズ2作目。
人間味溢れる警察小説です☆
1作目の終わりで、セバスチャンは人生が変わる事実に直面。
その後どうなったかというと‥珍妙なことに。
変人まっしぐらだけど、かえって1作目よりもセバスチャンの人間性がまとまって感じられます。
女性が殺される事件が起き、その手口はかってセバスチャンが犯人を挙げた連続殺人犯ヒンデのやり口にあまりにもそっくりだった。
ただし、ヒンデは獄中にある‥模倣犯か?
この事件には自分が不可欠と、殺人捜査特別班のリーダー、トルケルに掛け合い、チームに入るセバスチャン。
ヒンデが収容されている刑務所の所長は、なんと1作目に出てきた元刑事のハラルドソン。
人間が甘いダメ男だけど、なぜか憎めないキャラなんですよ。
1作目理解しきれないものがあった刑事ら登場人物がそれぞれ、さらに輪郭を濃くしていき、人間模様がなるほどこうなるのか‥と。
興味が尽きない内容です☆ -
Posted by ブクログ
面白く読み終われました☆
地方の町で少年の遺体が発見され、たまたま故郷に帰っていたセバスチャン・ベリマンが10年ぶりに捜査に加わる。
心理学者のセバスチャンは、かって国家刑事警察のプロファイラーだったのだ。
女と見れば口説きにかかるセックス依存症で、事件関係者にも手を出してしまうという困った奴。
見た目は意外に普通らしいけど、それが案外抵抗感をなくすのか‥? 上巻の表紙イラスト、内面をイラストにすればこっちだと思うよ。
心理学の知識と経験を生かして、口説きながら反応を見てやり方を変えていくという。とんでもない男だけど、どうやるのか知りたい人もいるかも?(笑)
少年ローゲルの発見に遅れをとった警察内部の事情もあり、特別班のチームの中にも人間臭い秘密がある。
上巻ではセバスチャンが捜査に加わるのが遅いのと、表紙イラストや題名、軽妙な裏表紙の説明と、内容に少しズレを感じていました。
後半にきて人間模様の展開がなかなか面白い濃さで、セバスチャンだけに頼らない展開、でも最後はさすがセバスチャンね、という満足感もあり。
犯人になりかねない性格だから犯罪が理解できるというとんでもない男が抱えている心の傷も、仕事が出来る程度には癒えてきたのか‥?
総合的な納得感と、傲岸なセバスチャンが最後に腰を抜かす一幕が笑えて、続きも知りたくなりますね☆ -
Posted by ブクログ
1作目よりも面白い。はるかに面白いと言っても良い。1作目の最後の一撃で明らかにした事実をこの2作目では発展させ、メインの事件(主人公セバスチャン・ベリマンが過去に逮捕したサイコキラーが登場する)に密接に関わらせて物語が進む。さらにセバスチャンと殺人捜査特別班の面々の人間関係とそのドラマが加わって、上巻はクスクス笑いながら読み、下巻は一気読みせざるを得ないサスペンスが盛り上がる。
作者のミカエル・ヨートとハンス・ローセンフェルトは脚本家出身。今回も最後をさらに続きが気になるエピソードで締めくくっているのはテレビの連続ドラマを思わせる。テレビドラマ的というと、悪口にしかならないのが普通だけれど、この2人の作者はそのメリットを上手に取り入れて長い物語として構築していくつもりのようだ。だからこのシリーズ、必ず1作目から読まなくてはいけないし、2作目以降は物語の細部を紹介できない。3作目と4作目を早く読みたい。 -
Posted by ブクログ
最後の一撃にやられた。これは予想していなかった。
心臓をえぐり取られた被害者という設定はサイコスリラーの様相だが、実際には警察小説。スウェーデンの殺人捜査特別班の面々が地方で起きた殺人事件を捜査する。主人公のセバスチャン・ベリマンは自信過剰でセックス依存症の迷惑男。捜査に関わったのも個人的な目的がある。ユーモラスな半面、スマトラ島沖地震による津波で妻子をなくした過去にとらわれている。他のメンバーも個性豊かに描き分けられ、入り組んだ人間関係も読みどころだ。
事件が終わった後に描かれる最後の一撃が効果的なのは終盤に立ち上がってくる家族のテーマと密接に絡んでいるから。これはうまい。訳者あとがきによれば、シリーズは現在、第4作まで続いているとのこと。続きが読みたくなる。 -
Posted by ブクログ
下巻、です。
何と形容していいのか…。主人公セバスチャンを筆頭に性格、素行のいい人が誰も出てこない。強いて言えばビリーが普通なくらいで、あとはみんな我が強いしトリッキーだし唯我独尊だし不倫してるし。殺人捜査特別班以外の面々も大概ですし。ひと場面にしか出てこない登場人物ですら自分のことしか考えてない。個人的にキャラに惹かれない作品って嫌になることが多いんだけど、明後日の方向すぎてむしろ読み進めてしまう。なんで、そうなるの!?
感情描写があまり生々しくないのが読めちゃう理由の一つかも。感情移入も共感もできない人々だらけだけれど、嫌な気持ちにはならないんだよね。
お互いもっと協力し合えば事件はもっと早くに解決したのでは?と思うけど、まあ、こういう風にギスギスわちゃわちゃしてなきゃ他の作品と変わり映えしないもんね。
ヘルマンソンのやらかしもすごいけど、今回のダントツトップはやはりエリノールかな。いや、やっぱりセバスチャンかもな。
北欧ミステリーって他にはヨハン・テオリンしか読んだことないんだけど(あれもかなり好きだった)、みんなこういう風に事件そのものよりも登場人物にフォーカスした作品ばかりなのかしら。すごく気になる。他の作品も読みたい。まずはこのシリーズから!
-
Posted by ブクログ
犯罪心理捜査官セバスチャンシリーズ第二作。スウェーデンミステリーです。
主人公をはじめとして登場人物が癖ありな人ばかり。性格悪いというか、人格に難ありでそれぞれやることが「おいおい」と言いたくなるような人ばかり。なのにストレスを感じずに読み進んでしまう不思議。文体がサラッとしているからなのかな?
ちなみに文章中の「視点」もコロコロ変わるので読みづらくて然るべきなんだけど、なぜかすんなり読めちゃう。ほんと、なぜなの…
スウェーデンミステリーは読むのがこれで2シリーズ目なんだけど、作品の背後を流れる雰囲気とのいうべきものが肌に馴染む感じ。イギリスやフランスほど都会ではなく、でも適度に発達しているのがいいのか…
上巻は事件そのものより、それぞれの登場人物の背景を掘り下げるエピソードが多いです。だからかな。とにかく不思議と読みやすいです! -
Posted by ブクログ
ようやくセバスチャンの読み方がわかった(遅い)
通常の警察小説として読むのは誤りです。
様々な秘密を抱えている国家刑事警察殺人捜査特別班の面々、かなりこじれてきてます。
山中で身元不明の四人の死体が発見される。
上巻の冒頭、四人を殺害したと思われる暗殺者の視点で語られる。
この女性とセバスチャンの対決となるのか?と思いきや、事件は捜査班の人間関係の動きを生むきっかけの要素が強い(事件関係者間の心情もしっかり過ぎるくらいしっかり描いてる)
海外ドラマっぽい強烈な引きや謎で魅せる事もできる方々なのに、それぞれの視点で会話の中で生まれる読み合う登場人物の内面の動きを丁寧に描いていきます。人間ドラマ重視。
なので主人公が能力を発揮して事件を解決!
的な話を期待してよむと駄目かもしれません。
途中で切り替えて読んだので、下巻はかなり読書ペースが加速する面白さでした。 -
Posted by ブクログ
シリーズ二作目
前作で主人公の「秘密」が明かされた為、他のメンバーにバレないように行動が制限される。過去の事件の凶悪犯との知能戦にも苦戦、ほぼ活躍が無いまま時間が過ぎて行く。
事件の進展よりも人間関係のドラマを重視してる。監獄の中にいる凶悪犯とそれを支持する模倣犯のように、人と人が出会うこと変化していく様子が捜査班側の当時人物それぞれで描かれていて面白い。
「この人、この話だけで登場しなくなるのかな」と思うようなひとがキーマンになってきたり、あっさり消えたり展開が読めない部分は良い。でも、セバスチャンの活躍どころが上下巻なら一回ずつくらいは欲しいかな…女と寝てるか焦ってるだけやん…とか言いつつ下巻の展開が面白くて夜更かししてしまった。