大久保真紀のレビュー一覧
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戦争は戦時中だけでなく、戦後も元兵士も被害を受けた民間人も、また多大な民間人の被害を出した沖縄、原爆、大空襲など、また日本軍が諸外国で残した爪痕など、さまざまなPTSDを残し、それが次の世代やその次の世代にもつながっている。特に日本は精神論が強く、PTSDなど無かったことにされていたり、隠蔽されたり、国としての補償以前に調査すらされていない状況。日本の虐待などの問題にこのような履き系があることが最近になって知られるようになったが、改めて戦後80年として、この剣が世の人に知られ、研究が進むことを祈るばかりである。新聞記者が書いたものだけあり、読みやすく、そして説得力もあった。
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トラウマについて調べると、内外問わず様々な要因による肉体や精神に対する強い衝撃(外傷的出来事)を受けた事により、長期に渡りそれに囚われた状態であるとの説明がある。加えて、それらが否定的な影響を及ぼしている状態も指している。症状として我々がよく知るのは、それら心的外傷が突然に記憶から呼び覚まされて、フラッシュバックするといった状態である。時にヒステリーとも激昂などと捉えられるが、それを引き起こしている何らかの要因があり、多くの人が繰り返し起こされるその様な状態について、意識せず引き起こされているという事が挙げられる。またそれが1か月以上持続すれば、心的外傷後ストレス障害(PTSD:Post Tr
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ネタバレなんでこういう本を読んでしまうかな、気持ちが沈むやんか、と自分でも思いながら、ついつい手に取り一気読み。
タイトル通り、児童相談所に密着取材して実情を書いたルポルタージュです。
1章から5章までは、それぞれタイトルはついているが、ほぼ実例集。こんな家庭があり、こんな子どもがおり、児童相談所はこのように対処しており、こういうところで対処に困難がある、ということがありのままに書いてある。
私自身、教育現場に20年以上勤務し、”常識”では考えられない家庭や、育児のできない親がいることを知っているので、ひたすら児童相談所の大変さがわかる。5章までは、「無理だ…この体制で、本来子どもを育てるべき親がこん -
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2018年に刊行された児相のルポ。緊迫感あふれる現場や「社会的養護」と呼ばれる、子どもを社会が守り育てるシステムの一端について学ぶことができる。
日本は家庭が一番、生みの親が子を守らないわけがないとする性善説が強すぎる。それが故に家庭で起きる事件や虐待も数多く存在するのに。
家庭で虐待を受けて強制的に保護された子を、その原因となった家にまた帰さないといけない、しかも親は児相に家庭を壊されたと敵対モード… など難しい事案も山積。
刻々変わる状況の中で逡巡し立ちすくむ担当者たち。弁護士をつけて児相の判断力、機動力を上げる機運なども紹介。児童福祉士の負担を下げるため、それこそAIなどでリスク -
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ネタバレ朝日新聞編集委員の筆者が、児童相談所に超雨期密着取材してまとめたルポ。児童相談所職員の悩みと激務ぶりが臨場感をもって伝わってくる。児童相談所からの目線で書かれているので、「危険な親」からいかに子どもを救い一時保護にいたるか、が基本構造。昨日読んだ2冊は親の状況、一時保護所の処遇がそれぞれメーンだったので、立場による違いがはっきり出ていて興味深い。以下、備忘。
・5章までのルポ部分は、ほぼ既読感あり。要保護児童対策地域協議会、市町村とのかかわりについては興味深かった。
・6章。福岡市こども総合相談センターでは弁護士が常勤。職員の判断に法的裏付けを与えるとともに、一時保護所の処遇改善にも結び付く。 -
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いつも批判の矢面に立つ児童相談所。この立場から児童虐待にどう関わっているのかに触れることができた。そして、職員たちの苦労には頭が下がる思いがした。
しかし気になるところが一点。やはり、職員たちの「親」への思い込みや幻想と思われるところが各所に散見されているような気がした。職員自身の持つ「親」を雛形にして、虐待する親の苦悩を分析しているような印象を抱いたからだ。
どうしても子育てできない親もいる。しかし、手助けすれば子育てできるようになると思っている節がある。ここを著者には気づいて欲しかった。そして、切り込んで欲しかった。また、児相職員の親への態度も気になった。幼い子どもをあやすような態度を端々 -
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ネタバレ最近では虐待死の事件が起こるたびに児童相談所の対応がやり玉に挙がる。最も責められるべきは親なのだが、、、
自分ひとりで何年間にも渡って築き上げられた親子関係を分離し、場合によっては後々まで残るトラウマの原因になりかねない判断をする仕事というのはプレッシャーもたいへんなものだろう。一時保護についてはあまり迷うことはないそうだが、その後の長期的な対応には悩むという。
虐待に一番先に気づくのは保育園なのだが、両親との関係悪化をおそれて通報まではしないことが多いという。なので児相が関わるようになった段階というのは近隣などに対して虐待の事実が隠しようもなくなった時期になる。それでもやはり子供を保護す