鬼海弘雄のレビュー一覧

  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    もらいものだが、「エッセイ+写真かー、あんまり合わないな―、気が向いたら読むか」と思っていたのだがちょっと読み始めると止まらなくなってしまった。
    それほど、写真家がついでに文章書いてみた、というレベルではないほどの読み応えがある文章。
    写真自体も文章中では「写真なんて誰でも撮れる」的なことを書いてい...続きを読む
  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    魚を突くモリのことを「ヤス」と呼び、家の陰辺りから突然出現してちょろちょろっとすぐ隠れてしまうトカゲやヤモリのことを「カナチョロ」と言う。
    著者の、数十年前の日本や現代のインド、昭和から今に至る下町や自宅の茶の間までという極めて広範囲な時間と空間に跨る回想と写真作品は、見過ごされがちな者たちや、愛...続きを読む
  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    一番印象に残ったのは、たくさん衣装を持ったお姐さんこと「浅草のジェルソミーナ」、そして番外編として再び登場する「一番多く写真を撮らせてもらったひと」のさくらさんだ。
    浅草寺の境内にある歌碑の近くに一人佇む年老いた娼婦を、なんと20年以上も同じ構図、同じ場所、同じ光で撮りつづけ、短いセンテンスを繋げて...続きを読む
  • ことばを写す 鬼海弘雄対話集
    きかい ひろおと読むのね。
    好きだわ、この人の写真。
    モノクロームで外国が多いけど子ども、風景、
    他の写真も観たくなった。
    対談相手の山田太一目当てで読んだけど、思わぬ拾いもの。
  • ことばを写す 鬼海弘雄対話集
     タイトルを見て即買い。
     内容も実に示唆に富んで面白い一冊だった。 対談相手もトップバッターが山田太一、締めが池澤夏樹。それだけでも読みたいと思えた本だった。

     鬼海氏の作品は「PERSONA」が雑誌などで取り上げられ、その一部を目にしている程度。写真集を通してじっくり眺めたことはなかった。近々...続きを読む
  • ことばを写す 鬼海弘雄対話集
    各界人との対談を通じて鬼海の仕事に迫る本。単なる精神論ではなく「写真のことば性」を確かに写す技術が語られていたように思う。堀江敏幸の漢字とひらがなの喩えが非常に明晰だった。表現とは確かにそこにあるような気がする。
  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    鬼海さんの写真に写っている人たちは、少しもおしゃれじゃない。 見た目にすぐだまされるわたしには不思議でならない。きれいでない人たちが、美化されたり面白がられたりせず、そのままフィルムにおさめられている。
  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    数ページのエッセイと著者の本業である写真がセットになって章を構成している。
    海外の撮影生活と、日本での生活と、スイッチしながら描かれる様が面白く、飽きさせない。
    文章が写真家の眼となり、自身の原風景的なものまで映しているか、表現にも個性と感性が息づいているようで味わい深い。
  • 誰をも少し好きになる日 眼めくり忘備録
    日本にいても
    日本ではないところにいても

    春の桜の樹の下でも
    雨に振り込まれた日でも

    旅の空の下でも
    日常の暮らしの中でも

    しみじみとした情感が
    心おだやかな静謐さが
    じんわりと
    伝わってきます

    私たちの
    暮らしのすぐそばにある
    何気なく存在するものたちへの
    愛おしさが
    伝わってきます