原田久仁信のレビュー一覧
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ネタバレ四大少年誌を週間少年ジャンプ、週間少年マガジン、週間少年チャンピオン、週間少年サンデーと定義したとしよう。少年の日々は各誌ひととおり目を通していたが、購入してまで読むものは限られていた。主にジャンプ。チャンピオンやマガジンは購入していた時期もあったが淘汰された。サンデーは買ってまで読むということにはついにならなかった。
掲載作品の傾向的にサンデーは、四大少年誌の中では際立ってナンパだったように思う。小学生や中学生の自分には響かず、それがのちのちまで尾を引いた。読むことが皆無ではないのだが、特に理由もなく縁遠いと感じ続けることになった。
そんな読み手であっても『プロレススーパースター列伝』は知っている。プロレスに興味がなくても知っている。床屋や塾の待合室で読んだ記憶がある。小学生の自分にも響く内容だった。
プロレスは嘘くささが嫌で早々に毛嫌いするようになったが、漫画の嘘くささはまあまあ平気だったので、列伝は楽しく読めた。奇妙なものである。
本書においても、ここ数年界隈を騒がせ続けている小学館のアレっぷりを垣間見ることができる。短くまとめられているが、書かずにはいられなかったことがいろいろなことを物語っている。
本書の中で数度取り上げられた「四の字固め」。ひっくり返るとかけた側が痛いというやつ。実際にはかけた側もくらった側もともに痛い。これは体感している。
ある漫画では逆転技として、ある漫画では死なばもろとも技として描かれた。どの順で、どこで知ったかしかとは覚えていないが、双方痛いという描写は『コータローまかりとおる!』で見た覚えがある。
荒木飛呂彦の文法は、梶原一騎ゆずりなのだなと、あらためて思う。
巻末漫画は『人生という名のSL』を思わせて、痺れる。 -
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漫画化をとても期待して待っていた甲斐があった。先ず牛島熊辰やジャイアント馬場の描写。原作で想像していた牛島氏の所作や佇まいなどがイメージ通りで、声色まで想像出来る。馬場と三原氏、岩釣氏の社長室でのシーンは、常に馬場をアオリで描き対峙する二人は常に見上げる視線。計算されたアングルで馬場の大きさやぞんざいな雰囲気を表現。顔が似てるのはもはや原田氏の名人芸で、それに加えてこの描写力で、木村政彦氏の生い立ちから、原作者増田氏とのタッグでどう展開して行くのか。最近の漫画では決して見られない、梶原一騎原作の空手バカ一代などの骨太な大河の傑作になる予感にワクワクしてます。ぜひ、原作通り木村氏の最期まで続けて欲しい。
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中井祐樹選手のヴァーリトゥードジャパンでの闘いが、こういう形でスポットライトが当たったということに、当時の格闘技ファンだった自分としては涙がこらえきれませんでした!
本作は、増田俊也さんの『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の劇画化ですが、第0巻は「なぜ、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』が書かれるに至ったか?」について語られています。
まさに男の星座と呼ぶに相応しい面々のエピソードを交えながら、本作への思いが盛り上がっていきます。
その星座の中に、中井祐樹選手がいるっていうことに胸が熱くなります。
力道山時代から、現在に至るまでプロレス・格闘技を愛するものならぜひ読んでもらいたい一冊です! -
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『プロレススーパースター列伝』の作画担当である原田久仁信による回顧録。梶原一騎の原作をどう受け取って作画を行ったかの話が主。どのあたりまで梶原氏 (並びにアントニオ猪木) の言葉を信じていたか。あるいは半信半疑になりつつあったかの答え合わせのような一冊。
男らしさを振り回していたような梶原氏であったが、どうにも一番男気があったのが篤子夫人であったことが伺われたのは面白い。
巻末に描きおろし漫画が掲載されているが、実際のレスラーではなく、あくまで『プロレススーパースター列伝』のレスラーたちの後日談が描かれている。この数ページだけでも元がとれる良い描きおろしだった。 -
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まず根底を貫くのは、著者・原田久仁信氏による梶原一騎賛歌であるという確たる背骨。
そこにはバイアスがかかった美化もあろうが、コンプライアンスなどという言葉がこの国になかった当時ですらぎりぎり、いや完全にアウトではないか…という生き様を演じながら、誰もが知っている名作の数々をこの世に送り出したことは紛れもない事実であり、梶原一騎氏の傑出した才能の一端が本書を通じて確かに感じられる。
そして、作画担当者までもが梶原マジックの術中に半ば意図的にはまり、闇の中を手探りで進むかの如くであったことを知り、驚くやら納得するやら。
次に去来するのは、まさしくノスタルジーに他ならない。
それも単に懐かしいなどという思いではなく、「ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実」を読んだ時と同じ種類の静かな興奮が胸の内に湧いてきた。
あるいは、雑誌「ムー」やムーブックスシリーズを前のめりになって夢中で読んでいた時のような気持ち。
つまり、プロレスと水曜スペシャルとムーが人の心を魅了する要素は同質であり、それらを愛する人たちの層は重なっていると言って過言ではない。
「プロレススーパースター列伝」連載当時から既に40年余り、梶原一騎氏はその数年後に50歳の若さで逝去し、原田久仁信氏も本書を上梓してほどなく、この世を去った。
さらに、ジャイアント馬場、アントニオ猪木を始め、ブルーザー・ブロディ、ハルク・ホーガン、アンドレ・ザ・ジャイアント…「列伝」に登場するレスラーたちも多くが鬼籍に入り、意外なことに梶原一騎氏が"最強"と考えていたというジャンボ鶴田も若くして亡くなっている。
改めて、昭和という時代が遠ざかっていることを実感する。
「アシスタントも困惑していたが、世の中には考えたらいけないこともある。」
「『列伝』は時代のなかで生かされた奇跡の作品だった。」 -
Posted by ブクログ
「空手バカ一代」後期で極真の全日本空手道選手権大会が取り上げられたあたりと「四角いジャングル」後期の猪木vsウイリーの対決の盛り上げと「プロレススーパースター列伝」のタイガーマスクの正体探しが、自分にとっての3大梶原一騎虚実入り乱れのファンタジードキュメンタリーです。マガジンにしてもサンデーにしても週刊誌であることの意味を最大に活かしたマンガだったような気がします。本当に待ち遠しかったなぁ。原作者の主観とウラの情報がこんなに全面に出てくるマンガって存在せず、まさに梶原一騎は「巨人の星」や「あしたのジョー」の漫画原作者から、三協映画「史上最強のカラテ」などのコンテンツプロデューサーへと変貌していきました。自分で作ったキャラクターが現実になってその謎に自分が取材するという倒錯した設定とテレ朝「ワールドプロレス」との同時進行性が交わった「プロレススーパースター列伝」はそんな梶原芸術の完成形のように思います。そこには影丸穣也のダイナミックな描線や中城健のスタイリッシュな描線と一線を画す、原田久仁信の顔がそっくりで素朴な画風も、梶原の嘘か誠かなストーリーを包み込むのにピッタリだったと思っています。そんな作画家の原作者オマージュの一冊です。圧倒的な人の良さが伝わってきて、そんな書き手じゃないと晩年のパートナーにはなれなかった気がしました。「プロレススーパースター列伝」だけじゃなく「男の星座」もなんだかもう一度、読みたくなってきた…