明田川融のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書は「戦後再発見」シリーズの2冊目で、「日米地位協定」の内容や問題点をQ&A形式で解説するPART1と、外務省で地位協定の運用マニュアルとして書かれたという機密文書「日米地位協定の考え方」を紹介するPART2の二部構成である。編著者の前泊博盛は『琉球新報』で記者・論説委員長を務めた人で、現在は沖縄国際大学で教鞭を執る。専門は沖縄経済や日米安保論である。
日米地位協定は米軍の日本での法的な地位を定めている。この協定に根拠があればこそ、外国軍隊である米軍は日本国内に基地を保有し、訓練などを行うことができる。ところがこの協定には重大な欠陥があり、その欠陥からさまざまな問題が生じている。問題がなぜ -
Posted by ブクログ
薄々は感じていたさ。日本はアメリカの属国じゃないのかって。
属国どころじゃなかったよ。敗戦後のGHQによる占領期と
なんら変わってないんだよな。
今はGHQじゃなくて、「在日米軍」って呼び方が変わっているだけ。
本書は「高校生でも分かる」をコンセプトに企画されたシリーズ
もの第2弾。テーマは「日米地位協定」である。
先日、姪に「なんでアメリカの軍隊が日本にいるのか」と聞かれて
日米安保条約と日米地位協定を説明しようとした。ところが、自分
の頭の中でこのふたつがごっちゃになっていることに気付いて
勉強し直した。
Q&A方式で一見分かりにくい日米地位協定について実例を引き
ながら詳 -
Posted by ブクログ
いつまでもアメリカの意向を気にして、いつも何かを押し切られ続けているのを、どうしてなのかと素朴に感じ続けていました。
原因が、敗戦にあるのはわかっているものの、それでもなぜ?と思っていた謎が、一冊で全部解けます。
団塊世代は豊かな日本を作ってきた、ということになっていますが、大事なことを棚上げしたまま30年ほどたってしまったように感じます。
「失われた10年」とばかり目を向けられてきましたが、実際は、「取り戻せない70年」が続いていることがよくわかります。
東アジアの国が攻めてくることより、何か動きがあって、日本の主要都市のインフラをアメリカが封鎖することの方が、現実におきる可能性が高い -
Posted by ブクログ
本書を読んで驚くことがたくさんあったし、自分の無知を知った。
日米地位協定とは「日米安全保障条約に基づく在日米軍とその軍属の地位に関する協定」であり、その前身は日米行政協定である。
戦後体制のサンフランシスコ講和条約、安保条約、行政協定という三重構造の一部である。
敗戦国である日本は、戦後どのような状況でこれらの条約に調印したのかという事実もとても衝撃的だった。
安保条約は、吉田茂一人で調印したのである。
それも直前まで内容を知らされていなかった。
それが、現在の日米地位協定に至っている。
その内容がまたしても驚愕である。
米軍に対して、日本の法律が適用されないというあまりにもひどい不平等条約 -
Posted by ブクログ
『敗北を抱きしめて』のジョン・ダウアーと東アジア近現代史専門のガバン・マコーマックが、転換期を迎えた東アジアの中での日本の状況について分析したもの。マコーマックは、その著作履歴を少し調べると、米国に批判的な人のようである。構成は、第一章でダウアーが、続いて第二章でマコーマックがサンフランシスコ講和条約によって始まり現在にも禍根を残す日本・米国と東アジアの状況について分析する。第三章は、二人の対談形式となっている。
1951年の冷戦下に行われたサンフランシスコ講和条約のゆがみが、今もまだ影を落としているという考察は、驚きだ。ダウアーは、そのゆがみとして次の8つの問題を挙げる。これらが、著者らに -
-
-
Posted by ブクログ
日米地位協定自体の不平等ぶりと、その協定にさえない、より不可思議な不平等な話。
アメリカ人のほとんどが、沖縄自体を知らないのではないかという。アメリカの無関心が、この協定の改訂へのハードルの一つ、ではあろうけれど、とうぜんもう一方の我が国側でどんな力が働いているのか。それこそ原子力問題と似た構図がある。
ところで、民主党政権がオスプレイ配備に対して、日本からはどうしろこうしろという話ではない、と言ってしまったが、これは図らずも地位協定による権利(の無さ)を白日のもとにさらしたわけで、自民党だったら「厳重に抗議する」などという演技をして、バレないようにしたのであろう、と。さて、では今度の政権は、 -
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ日米地位協定の問題点について、(たぶん)網羅的に説明した本
知っていたことも多かったが、知らなかったことも多かった。
米軍に賠償義務があっても実際には支払わず日本政府が支出している例がかなりあること、米軍基地は出入国管理制度の対象外なので、日本国内にいる米軍人(たぶん、スパイも)の数も把握できていないこと、等
砂川事件の際の最高裁長官の行動には天を仰ぐしかない。
行政官なら驚かないが、司法が・・・、と。
地位協定以外の話だが、フィリピンが米軍基地をなくしたせいで南沙諸島を中国に奪われたというのがウソ(もしくは不正確)だというのが、一番「目からウロコ」であった。
要するに、今でも各国入り乱