トマス・モアのレビュー一覧

  • ユートピア

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    理想的な国として描かれる「ユートピア」は、「どこにもない国」という意味のギリシャ語を語源としているという皮肉。

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    2022年04月14日
  • ユートピア

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    ネタバレ

    本書内の「ユートピア」は、理想的な共産主義社会のように思えるが、本書の趣旨は、共産主義の礼賛ではなく、16世紀の絶対王政・宗教弾圧に対抗する社会を描くことにある。

    「共産主義社会では真面目に労働しなくなる人が増え生産性が落ちるのではないか」との批判が既に述べられていることが興味深い。

    なお、後にトマス・モアは、正に宗教問題によって処刑されることになる。

    ちなみに、「ユートピア」国には、「アモーロート」市や「アナイダ河」などFF14(漆黒のヴィランズ)が借用したと思われる言葉が使われている。

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    2020年04月18日
  • ユートピア

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    ユートピア(どこにも存在しない、という意味)という名前の国家に滞在した人物からその国家の全貌が語られる物語。全体的に、国家としての特徴・社会について纏められた本となっているので、物語性を求める人には向いていないかも。
    ただし、所謂ディストピア小説を好む方には一度は読んでもらいたい内容となっている。
    理想郷=汚れ(戦争・奴隷)が無い世界?
    財産(金銀財宝)についての価値観はどうなる??
    など、疑問を抱きながらページをめくれる一冊となっている。

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    2016年05月07日
  • ユートピア

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    理想郷の代名詞のように言われるユートピアだが、実際に読んでみると、何だか無味乾燥というか、禁欲的な堅苦しい世界のようだ。おそらく、モアの生きた時代のイギリスにおける多くの人、特に、本書の最初の方に出てくるが、エンクロージャーによって生計の途を失った農民などの悲惨な境遇という現実の前では、ユートピアは理想郷であるのだろうし、現代の日本人が心から共感することは難しいのかもしれない。それでも、あの時代にあって、キリスト教を相対化して、その布教上の問題をやんわりと批判していたりして、時代に先駆けた思想の持ち主の著作として、現代でもなお読みつがれる意義も感じられた。

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    2012年05月22日
  • ユートピア

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    ユートピア トマスモア 岩波新書 

    トマスモアの矛盾は神を一人として信じていながらも
    自然と言う多様性にも心をゆだねている事に気付いていない所にあるようだ
    このユートピアに書き込まれている彼の理想的なこの世の天国の秩序が
    法と言う外力による規制と自律による自己管理による調和の
    どちらにも徹底しきれずに淀んでしまっているのも
    この自己矛盾によって起こっているのだと思う

    彼は道徳をもって活きることに活路をみいだしながらも
    だからこそあらゆる場における法に従えと説く
    富や希少価値に依存することを徹底的に嫌いながら
    納得を度外視して神とその法律に従おうとする

    この二面性に対

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    2012年03月08日
  • ユートピア

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    この本の存在をしったのは今から十年以上前。
    中学生の時にEver After という映画の中で登場した。
    以来十年間。気になり続けた結果やっと読むことができた。



    Utopia

    理想的な国


    そこでは、誰もが平等に、過不足なく、無駄なく、つつましく暮らしている。

    争いもない。


    500年以上前に書かれたユートピア。
    500年たった今でも、どこにも理想郷なんて存在しない。

    500年以上前に書かれたのに、
    私たちは何も変わっていない気がする。

    そんなことを思った。

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    2011年11月15日
  • ユートピア

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    なんか想像してた理想郷とは随分かけ離れた国だった。
    平等だけど、自由は無い。
    全員が全員"性善説"な人たちばっかりだったら、このユートピアはさぞかしユートピアだろうと思う。

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    2011年07月14日
  • ユートピア

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    今更説明の必要もいらないと思いますが、トマス・モアさんの「僕の考えたいい国」ってな内容です。
    実際にユートピア国に行ってきたラファエルさんが、モアさんに語るという体で書かれています。
    今のイメージで「ユートピア」というと、エデンの園か桃源郷かといった、餓えも苦しみもパンツもないような場所ってイメージですが、実際、本書を読んでみると、そんなこともないんですな。
    奴隷もいれば、死刑制度もある社会。
    ただ、(モアが考える)理想的に社会設計・運営がされているために、諍いや貪欲とは無縁な国なわけです。
    時代背景や歴史的な文脈の中での位置づけなど、全然わかってないので、例によって「ふ~ん」と表層をなめただ

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    2010年10月29日
  • ユートピア

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    ぜんぜんユートピアに思えない。確かに安定していて豊かな社会ではあるけれど、その安定や豊かさのためにいろんなものが犠牲にされている。私有財産が否定され、人の行動もかなりの面で統制されている。今の感覚からしたら、前時代的で不自由な管理社会でしかない。社会主義国家とか共産主義国家とかのイメージと重ね合わせたくなる。

    ユートピアと言ったら、実現不可能だけど天国のような幸せな世界、というようなものかと想像していた。あるいは、いまはまだ実現は無理だけど、少なくとも人間や社会が最終的な目標にするような理想社会とか。

    そんなものを予想していたのに、予想外というか意外というか。

    ただ、500年前のヨーロッ

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    2010年07月09日
  • ユートピア

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    ちょっと難しくなったガリバー旅行記という感じだろうか。どこにも無い架空の「ユートピア」国の風土を通して、理想の国家のあり方と現実への風刺を表現している。そこでは合理的な考え方とキリスト教的敬虔さを持った国民による、共産制国家の営みが描かれる。「ユートピア」が共産主義国家を表す言葉として使われてきのは、この書が元であったということか。しかしこの国家にはどこか息苦しさを感じてしまう。国家の規定からはみ出してしまった人間は死刑か奴隷となってしまう。卑しい職務は全てこの奴隷が請け負うことによってこの国家は成立しているのだ。こうした裏の面も、現実の共産主義国家の運命をも見通したものだったのだろうか。トマ

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    2011年04月26日