近藤紘一のレビュー一覧

  • 妻と娘の国へ行った特派員

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    「そしてその東南アジアの魅力を生み出すものは、多少重複するが、この地域のそれぞれの国で見られる人間らしさである。新聞記者というむしろ「現象」を追う身でありながら、そこで見る私の興味は、実際にこの地域で生きる人々の生き方やその喜怒哀楽といったようなものに注がれ続けた。」(あとがきより)

    27の随筆であり、紀行文であり、ルポルタージュ。近藤さんの遺作です(あとがきは死の3日前、病床で録音されたもの)。バンコク特派員(当時)という仕事柄、ベトナムに限らず、タイ、ミャンマー、カンボジア、フィリピン、ブルネイ、シンガポール、インドと舞台は多岐に渡り、同じくアジアを愛する自分にとっては教科書のような本で

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    2009年12月24日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    近藤さん34歳のときの処女作であり、1975年4月30日のサイゴン陥落前後約40日間を詳細にたどるルポルタージュです。緊迫した状況の中、そこに悠々と暮らす人々の姿が優しく楽しく描かれており、一方で微笑ましくも、一方で熾烈な当時のサイゴンの状況がありありと浮かんできます。

    日常勤務のかたわら、2週間で脱稿にこぎつけたという奇跡のような作品。文庫本のためのあとがきを読むと、近藤さんがいかに紳士で、自らの仕事に厳しいかが分かります。

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    2009年12月24日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    「妻と娘」シリーズ3部作の1作目。時代を越えて読み継がれるであろう、色褪せることのない名作。1971年から1975年までをサンケイ新聞サイゴン特派員としてサイゴンに勤務した近藤さんの、「私自身がこの土地とそこに住む人々の生きざまに深く惹かれた」という想いからはじまる人生の軌跡です。

    全体を通して、異文化理解の在りかたを堅苦しくなく綴っていますが、やはりそこに垣間見られるのは近藤さんの「なみはずれて量の多い愛」で、その文章に、優しさが滲み出ています。

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    2009年12月24日
  • 戦火と混迷の日々 悲劇のインドシナ

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    戦後日本人として初めてカンボジア男性と結婚し、その後1975年から1979年までのポルポト政権時代を生き抜いた内藤泰子さんのルポ。

    「奇跡の生還!」というニュース性の高さにより、殺人的なスケジュールを通して執筆・刊行されたため(新聞連載をもとに2週間で書き上げられたらしい…)、近藤さんの他の著作と比べると荒削りな部分もあるけれども、その描写と当時のインドシナ情勢に対する指摘の数々は、出版から30年経った今でも十分に読者を唸らせる力があります。

    P.S.
    ポル・ポト政権ことクメール・ルージュ支配下のカンボジアに残留した日本人は7名。そのうち5名は死亡または行方不明。内藤泰子さん(夫と2

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    2009年12月20日
  • 戦火と混迷の日々 悲劇のインドシナ

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    タイトル:戦火と混迷の日々
    著者:近藤紘一
    発行日:1987年
    出版社:文春文庫
     日本女性の体験を追いながらインドシナの悲劇の輪郭と現状を報じたいという趣旨のもとから書かれた本で、インドシナの様々な苦しい環境について詳しく書かれている本です。自分自身もボランティアがしたくなってしまうような作品でした。

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    2009年10月04日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    特派員としてサイゴンに赴任し、そこで妻と娘を同時に得る近藤。時代の感覚からしたら突飛でもないことをさも簡単に、さも楽しそうにやってのける。何が幸せなのか、家族の幸せ、生きることの幸せ、何が常識なのか…いろいろ考えさせられる。文章は、ユーモアに富み、品がありとても読みやすい。星10コくらいつけたい。

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    2011年09月03日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    近藤紘一の本はすべて好きです。人間味あふれてて、スマートで。産經新聞社の特派員としてサイゴンに駐在していた著者のベトナム戦争終戦を迎えるまでのルポです。

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    2009年10月04日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    自分にとってベトナム戦争は歴史上の事件を脱するものではなかった。生まれた頃には既に過去のものであったのだから仕方がないのかもしれない。ゆえにベトナム戦争に対する認識というものも知識としてのものを脱しなかった。サイゴン陥落という重要な局面を当地で迎えた近藤氏によるこのルポタージュはどうしても白黒にしか見えないこの戦争に色を付けてくれた気がする。事実を述べるだけでなく、サイゴンの市民に対する視点がさらにその内容を豊かなものにしていることも指摘できる。いずれにせよ、サイゴンの湿気をともなった暑さを読みながら感じさせる一冊であり、一度この本を手にしてサイゴンを訪れてみたい。その際は是非マジスティックホ

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    2009年10月04日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    近藤紘一の本はほとんど読んだと思うが、やはり一番印象に残っているのはこれ。ドラマを先に見たけれど、戦争でないベトナムに出会ったのはこれが初めてかもしれない。

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    2009年10月04日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    サイゴン陥落までの様子を命懸けで記したルポ。戦争の最中にあるにも関わらず、のんびりしている現地の様子。それでも次第に緊張が高まっていく描写には、体がじわじわと冷えていくような恐怖の感覚を覚えた。現地の様子が生き生きと記されていて面白い。

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    2025年10月31日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    「近藤紘一」ので1979年の第10回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品『サイゴンのいちばん長い日』を読みました。

    『目撃者―「近藤紘一全軌跡1971~1986」より』、『サイゴンから来た妻と娘』に続き「近藤紘一」作品です。

    -----story-------------
    目前に革命政府軍側の戦車が迫っていた。
    南ベトナム政権が消滅する瞬間を目撃した数少ない記者の一人が、混乱の只中で見た戦争の国に生きる人間の悲しみとしたたかさ。

    1975年3月23日、サイゴン(現・ホーチミン)の空港に降り立った新聞記者が同5月24日、サイゴンを去るまでの2ヶ月間に体験したのは……
    窓を揺るがす爆発音、着弾

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    2022年07月30日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    近藤紘一(1940~1986年)氏は、早大文学部卒業後、サンケイ新聞社に所属し、1971~74年サイゴン支局長、1978~1983年バンコク支局長として東南アジアを中心に活動した、ジャーナリスト、ノンフィクション作家、エッセイスト、小説家。
    1975年に出版された本書(1985年文庫化)は、同年の大宅壮一ノンフィクション賞の最終選考まで残り、次作の『サイゴンから来た妻と娘』で1979年の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。
    本書は、1974年にサイゴンから帰任後、1975年3月25日~5月23日に、臨時特派員として再びサイゴンへ派遣され、南ベトナム無条件降伏、サイゴン陥落を経験した際に、

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    2020年02月09日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    ネタバレ

    来日した作者の妻がベトナムでの食生活を懐かしみ、どうにか日本でもベトナム食を食べようと工夫する姿に脱帽した。
    妻が夫に年頃の娘の身体を見せようとするエピソードにはどん引き。私も女性だが、あんなことをされたら、大人になっても嫌な思い出として残り続けるだろう。これも文化の違いなのだろうか?

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    2018年05月04日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    新聞記者の近藤紘一氏による、ベトナム人の妻と娘との日常を描いた作品。

    近藤氏は1971年からベトナムへ派遣され、現地の女性とその一族と同棲生活をしていたが、1975年のサイゴン陥落をきっかけに、女性とその娘を連れ出国し東京での暮らしを始めたのであった。

    作品の中では、日本人とベトナム人の文化や気質の違いが非常に多く描かれている、互いの主食であるお米の違い、子供の教育方針、性に関する事などなど。もしかしたら近藤氏の奥さんが特別短気な人なのかもしれないが、ベトナム式の子育ては超スパルタである。

    メコンデルタのように豊穣な穀倉地帯を抱えるベトナムでは、それほど必死に働かなくても食うには困らなか

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    2017年04月16日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    ベトナムについて、自らの体験や考えをユーモラスに書いた本。
    同じ人間なのに、こうも違うのかといった異文化への驚きと、作者の反応がまた面白い。
    作者のベトナム妻への愛情をひしひしと感じた。

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    2016年05月17日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    ベトナム(サイゴン)の風土が伝わってくる一冊。ベトナム女性の強さが印象的。ベトナム人はたいそう食いしん坊だそうで,ベトナム料理が楽しみになりました。

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    2015年07月29日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    サイゴン陥落40年にあたり再読。何度読んでもこの本はいい。著者はあとがきで文の拙速さを悔やんでおられるけど、僕はそれも含めて好き。この時まだ35歳ぐらいであったそうだ。優しい人なんだと思う。早逝されたのが悔やまれるジャーナリストである。

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    2015年05月05日
  • サイゴンから来た妻と娘

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    ヴェトナム人女性の「かかあ天下」ぶり、逞しさに圧倒されてしまいます。実体験を交えているためか、著者のヴェトナムに対する文化的考察に妙な説得力を感じます。

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    2012年10月21日
  • サイゴンのいちばん長い日

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     1975年3月30日のサイゴン陥落前後を、まさにそのサイゴンで過ごした近藤紘一さんのルポ。ベトナム戦争ってあまり知らないし、そんな自分が植え付けられてきた知識というと、枯葉剤とかベトちゃん・ドクちゃんだったり、ボートピープルだったり、あるいは「プラトーン」「7月4日に生まれて」のようなとにかく悲惨としかいいようのない世界なのだけど、現代のベトナムの様子を見たり、そしてこの近藤さんの本を読むと、決してそうではないのだろうと思えてくる。
     近藤さんの筆は、いわゆるニュースな話もあるのだけど、緊迫したなかでもしたたかにその日を生きるサイゴンの街の隅の様子を、普通の人の姿までを書いている。それは、記

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    2012年10月14日
  • サイゴンのいちばん長い日

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    臨場感のある文章。
    死がすぐ近くにある感覚。
    そんなに遠くない過去だけれど、もう随分前のようにも感じられた。

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    2011年01月29日