石川達三のレビュー一覧
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ネタバレ打算的な賢一郎くんに「いつか天罰が下れ」と思いながら読んでいた。エゴイズムは仕方がない。みんな自分をいちばん大事にするのは当然。とはいえ、それを正当化するための屁理屈みたいな理論にむかつきますよね。たしかに「よく考えている」とも言えるけれど、ほとんどが保身のための言い訳なのだから。男が女に対してこういう屁理屈をぶつときは、たいてい「オレは言ったよ」「お前は頷いて聞いていた」という言質をとるためなのではないかしら。本当に自信のある生き方をしているのなら、こんなに無理くりな屁理屈はこねないでしょう。「いうまでもなく、それは彼のエゴイズムだった。あるいは臆病さ、または狡猾さ、そして小さな賢明さでもあった。」というところは、「まさに」なんだけれど、賢明さが最後に来るのがいかんとも。野心を持つのもいいけれど、人には分相応というものがあり、適当なところで折り合いをつけながら生きているというのが現実なのでは。理想と現実についても、恋愛と結婚についても。登美子も保身のために必死であるけど、妊娠出産の当事者だから賢一郎くんよりは同情の余地がある気がする。少なくとも殺されるほどは罪深くはないのでは。
お母さんがお弁当や着替えを差し入れたり、それを「ありがたいな」という刑事さんの、ふつうの人情のようなものに最後に触れられるのは、救いみたいな気がした。登美子が主人公の『裏・青春の蹉跌』が読みたい(存在しません)。 -
Posted by ブクログ
江藤賢一郎の行動はエゴイズムそのものだが登美子の行動もまたエゴイズムであった。康子の行動も然り。エゴイズムが概念的思想から実存的暴力に変換されたとき、江藤の敗北は喫したのかもしれない。最後の数ページまでは江藤の身勝手さや自惚れ、過信に憤慨と好奇をしつつも、結末(特に最後の段落)は『羅生門』的な人間の闇と業を感じさせる。
江藤をひとりの青年として捉えた場合、若気の立身出世を夢みる気持ちや優位的な逢瀬、知略の綻びに対する焦りは男性諸君には多少通ずるものがあるかもしれない。(女性には失礼を承知ながら)それを題材に行動と事件に変え、結局は男性の稚拙さや浅はかさを描いているのが何とも面白い。『青春の蹉跌』というタイトルから純文学かと思ったら一流のミステリーであった。★5に近い★4。 -
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【本の内容】
生きることは闘いだ、他人はみな敵だ――貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折していく青年の悲劇を描く長編。
[ 目次 ]
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生きることは闘争だ。
平和を叫ぶやつの大部分は敗北者だ。
頭脳明晰で野心家の法学生江藤は、司法試験に合格し、資産家の娘との結婚話を進める。
だが、愛人の登美子との関係をやめられず、ある悲劇を招いた。
大学紛争の激しかった1968年に出版された一冊は、萩原健一主演で映画化され、文庫は累計208万部を数える。
テレビ朝日系の「スーパーモーニング」で先月紹介され、増刷された。
番組の中で作家の吉永みち子さんは「登場人物と同じ年ごろに読み、恋愛観が変わった」と語った。
政財官の癒着に切り込む『金環蝕』や『蒼氓』などで知られる著者(1905~85年)の作品は今年3月、中年会社員の危機を描く『四十八歳の抵抗』も復刊された。
人間の内面を描くその言葉は稠密だ。
「あなたは犯人の男と被害者の女の、どちらに同情しますか」と、宣伝文に書かれている。
ちなみに記者は、13年前、女の愛欲の気高さと怖さに共感した。
34歳の今は、男の幼さにもひかれる。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]