石川達三のレビュー一覧

  • 青春の蹉跌

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    江藤賢一郎の行動はエゴイズムそのものだが登美子の行動もまたエゴイズムであった。康子の行動も然り。エゴイズムが概念的思想から実存的暴力に変換されたとき、江藤の敗北は喫したのかもしれない。最後の数ページまでは江藤の身勝手さや自惚れ、過信に憤慨と好奇をしつつも、結末(特に最後の段落)は『羅生門』的な人間の闇と業を感じさせる。

    江藤をひとりの青年として捉えた場合、若気の立身出世を夢みる気持ちや優位的な逢瀬、知略の綻びに対する焦りは男性諸君には多少通ずるものがあるかもしれない。(女性には失礼を承知ながら)それを題材に行動と事件に変え、結局は男性の稚拙さや浅はかさを描いているのが何とも面白い。『青春の蹉

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    2020年01月28日
  • 青春の蹉跌

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     金持ちのいとこと結婚するため邪魔になった恋人と別れようとするが彼女が妊娠してしまい……、というありがちなプロットながら司法試験に合格するエリート法科学生である主人公のあまりに冷めたリアリストの視点が面白く、読みごたえはありました。また、叙述トリックものというわけではないですが、『イニシエーション・ラブ』を彷彿させるような「女こわっ」ってなるラストのどんでん返し(?)もヒヤッとしました。

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    2016年01月15日
  • 青春の蹉跌

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    社会、結婚、資本主義、罪、死、幸せ、これらは一体何なのか考えさせられた。完璧なんてないんだから、できることなら蹉跌につまづいても「つまづいちゃったよー」ってヘラヘラしていたいなー、と。

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    2015年08月13日
  • 青春の蹉跌

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    時代的な背景や世情が現在と異なるとはいえ、ドンドン引き込まれるストーリー展開。結末は、何とも虚しい…。

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    2015年03月27日
  • 青春の蹉跌

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    【本の内容】
    生きることは闘いだ、他人はみな敵だ――貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折していく青年の悲劇を描く長編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    生きることは闘争だ。

    平和を叫ぶやつの大部分は敗北者だ。

    頭脳明晰で野心家の法学生江藤は、司法試験に合格し、資産家の娘との結婚話を進める。

    だが、愛人の登美子との関係をやめられず、ある悲劇を招いた。

    大学紛争の激しかった1968年に出版された一冊は、萩原健一主演で映画化され、文庫は累計208万部を数える。

    テレビ朝日系の「スーパーモーニング」で先月紹介され、増刷された。

    番組の中で作家の吉永みち子さんは「登場人物

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    2014年08月24日
  • 青春の蹉跌

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    司法試験に挑まんとする大学生の賢一郎。家庭教師の教え子である登美子と、裕福な家庭に育つ伯父の娘・康子、どちらと結婚すれば有利に働くか算段するが…

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    2013年08月02日
  • 青春の蹉跌

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    自分はエリートになり、他の人間とは違うのだと思いあがった学生の転落する様。思い上がりや嘘や不義理、計略によって自らが破滅していく。
    古い本なので、ちょっと読みにくいかなと思ったけれど、後半に行くにつれて面白く、意外とさらりと読めました。

    面白かった。

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    2011年11月02日
  • 青春の蹉跌

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    学生運動の中、貧しい生活を抜け出すべく野心に燃え、司法試験合格を目指す主人公。令嬢との縁談と教え子の女生徒との関係は、司法試験の進捗と共に複雑かつ深刻になっていく。
    主人公が必死に周りとの関係に対し、冷静に論理的思考でいようと、もがき苦しむ様は、読む方の胸を締め付け、ある種の共感すら覚えてしまう。
    周囲の人間をひたすらエゴと判断する法律的、論理的展開も読みどころの一つ。

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    2011年10月18日
  • 青春の蹉跌

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    心ではなく、頭で生きている学生が愛人を殺めてしまう、そんな話。

    昭和46年発行。

    あの終わり方から、打算的に生きていても、
    罪を犯さない限り処罰されない社会性の限界を感じた。
    誰も歪んだ社会を直しちゃくれない。

    正直江藤みたいな人はうじゃうじゃいるし、
    増えている一方なんじゃないかと思う。
    大きな変化は起こせないが、これを読んだ人が
    自分はそうなるまいと思えればいいんじゃないかと思った一冊。

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    2015年11月12日
  • 青春の蹉跌

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    ネタバレ

    何きっかけで読もうと思ったのか、さっぱり思い出せない…。とりあえず、とても時代を感じる小説。そしてストーリーも予想がつく。ただ、エリート大学生の傲慢さや自分勝手さは、自分のときも、たぶん今も大差ないと思われるので…(まだ人生経験も少なく幼いがゆえ)。大学生のときに読むと身につまされてよいのかも。

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    2024年10月23日
  • 青春の蹉跌

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    うーん何というか、こういう自分の内面と向き合わざるを得ない本を読むと、いつも複雑な読後感を味わうことになる。きっと江藤に感情移入しながら読んでいるからだと思う。彼のエゴや傲慢さや浅はかさや、一方で生真面目さや肝の小ささや。
    フィクションとして読んでいたものが、いつの間にか〝自分ならどうだろう、自分も同種の人間かもしれない〟などと考えている自分に気がつき、来し方に思いを馳せていたりする。それがこの本の優れたところなんだろうな、とも思う。

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    2020年02月08日
  • 青春の蹉跌

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    こういう内容が取り上げられていること自体にはとても共感できるのですが、私には書かれ方が少し明快すぎました。ハッとさせられる感じがなかったです。

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    2013年08月17日
  • 青春の蹉跌

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    中国人の友人から、読んだことがある日本の小説として紹介されたので読む。問題の当事者になると、周りが見えなくなり、判断を誤り、過ちを犯してしまう、難しい。

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    2013年08月07日
  • 青春の蹉跌

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    (30年ぶりの再読)
    正に自分が見てきた風景、自分が過ごした時代。
    「法律を味方につけ、法律を楯にとって、他人の愛情も善意も踏みにじって、自分の欲望を合理化し合法化しながら、世の中を押しわたって行こう」とした主人公の青春の蹉跌が描かれています。
    重く積もった雪を掻き分け掻き分け進むような重さを感じながら読みました。

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    2012年01月17日
  • 青春の蹉跌

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    昭和43年に毎日新聞に連載された作品です。司法試験を志しながらも利己的で打算的な考え方をする主人公の悲劇的な結末を描いています。私が初めてこの本を読んだのは、昭和の終わり頃で当時20代の独身でした。作品のストーリーや主題はわかりやすく、このような青春を過ごすのは不幸だと感じるとともに若い男女の幸福とは何かを考えさせられました。

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    2011年02月06日