神吉拓郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
17編からなる、料理または料理を出す店にまつわるエッセイ集。
登場する男女ともに、慎ましやかで、大人である。
失われた、良き時代というかんじで、このような作品が、読みやすい文庫で復刻されたことはとても嬉しい。
文章も美しく、本当に一編が短いのだが、読み終えたあと、しみじみとした満足感がある。
食べ物の描写も、上品で、おおげさな書き方をしていないのだけど、つばがわいてくる。
連れ合いを失った人物が多いきがする。
失った時代を懐かしむ話も多い。
そんな、ちょっとした、ほろほろとくずれるようなもの悲しさがただよっているようなところも魅力だ。
いろいろと、ほどよい。
解説が、私の感じたこと -
Posted by ブクログ
表紙買いで
こんなにも上質の短編集に出会えると
自分の感性を褒めたくなります。
それはそれは美味しそうなものばかり。
アルミの弁当箱にぎゅうぎゅうに
詰められ 米粒がつぶれた白飯までが
神吉さんのペンにかかると
もう一度食べたくなる珠玉のごちそうに。
今はなき鎌倉書房がかつて出していた
季刊雑誌「四季の味」に
掲載されていたものをまとめて
新潮社から出されたのが1987年。
光文社さん
よくぞ文庫にしてくださった。
上質な言葉が品よく
落ち着いて並んでいる。
大人であることの
優越感を味わわせてくれる。
こんな心地よい一冊に出会えたことは
幸せの一語に尽きる。