ロバート・ジャクソン・ベネットのレビュー一覧

  • カンパニー・マン(上)

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     ヴェンチェンゾ・ナタリの映画『Cipher』の邦題が『カンパニー・マン』だった。ナタリの映画がちょいと気が利いていたので、本書も気になった次第。本書は原題も同じ。しかし、ミステリ賞とSF賞を受賞しているというように、なかなかにジャンルを特定できない小説である。

     まずはスチーム・パンクないし平行世界もの。
     19世紀終わり、ワシントン州のイヴズデンという漁村で発明家クラヒーを見出した実業家マクノートンが、マクノートン西部機械工業社を興し、ついにはその技術力でヨーロッパを脅迫して、第一次世界大戦を回避してしまったという、1919年の、開発で膨れあがったイヴズデン市が舞台。

     加えて、ちょっとハードボイルド。
     マクノートン社に雇われているヘイズは、いわば社の「諜報員」。比較的自由な立場で会社に関わる様々な秘密を調べる。しかし、アル中でヤク中。仕事をへまって、干されているところ。それが上司エヴァンスに呼び出される。また仕事を任せるというのだ。ただしお目付役の助手、もと従軍看護師のサマンサを付けるという。

     そして、超能力もの。
     ヘイズは他人の心が読めるのだ。いや、心の声が聞こえるのだ。ただしそんなに精度のいいもんじゃない。隣の部屋のささやきを聴き取るようなもので、当該の人物の近くに寄り、ゆっくりと時間をかけることでだんだん聴き取れてくる。会社重役のブライトリーが心を読まれないようにヘイズと面談する様はおもしろい。
     ただこの能力のため、ヘイズはアルコールやアヘンに手を出さずにいられないという意味で、これはギフト、すなわち能力/毒なのである。

     ヘイズの任務は労働組合のサボタージュ行為と、その裏で暗躍する何者かを探ること。しかし会社は何か隠していると彼は思う。
     そこに、組合員急進派を乗せた地下路面列車で11人が惨殺されるという事件が起こる。いったい誰の仕業か。しかも人間業とも思えない殺し方も謎。
     他方、マクノートン社はいったんどんな秘密を隠してこの技術革新を成し遂げているのかも謎。

     20世紀初頭の超科学都市を超能力探偵が駆けるということになるのだが、実際は泥臭い話。他の登場人物も存在感がある。ヘイズと親しく、協力関係にある刑事ガーヴィーと有能で正義感溢れるサマンサは主役級の扱いである。
     そして、イヴズデン市自体も主人公といっていい存在感を示す。最新技術に駆動された未来都市でありながら、成功を求めて多数の労働者が流れ込み、劣悪な労働環境下にスラム街が多発している都市。超絶的に生き生きとしつつも死にかかっている都市、イヴズデン市もまた重要な登場人物なのだ。本書が探偵小説だとすれば、解かれるべき謎を湛えているのは、イヴズデン市なのである。

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    2016年02月12日
  • カンパニー・マン(下)

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     カンパニー・マンとはマクノートン社に雇われる「諜報員」であるヘイズのことであろうか。最後に上司ブライトリーに「組合もへったくれもない、企業もへったくれもない」と言い放つにせよ、彼はマクノートン社の命で組合員の調査に当たっているのだから。
     お目付役にサマンサを付けられ、社内の下級労働者のみを面接しろと命じられながら、彼はすぐに逸脱し、労働組合の指導者ミッキー・タッツに接触する。それがきっかけとなって、事態が大きく動く。刑事ガーヴィーは窮地に立たされ、ガーヴィーを愛するサマンサは、彼を助けるためにとった行為のためにマクノートン社から解雇される。謎の突破口をつかみ出したヘイズは自分自身と彼らを救うために勝負に出る。

     謎はまず組合員殺人事件の謎。この小説の冒頭で出てくる、運河で死体で見つかる組合員と、地下路面列車内での大量殺人とどう関わるのか。探偵小説としてはこれが重要なはずだが、その謎はむしろ副次的なものにすぎない。
     もっと大きな謎はマクノートン社が驚くべき技術革新を成し遂げた裏にどのような秘密を隠しているのかということである。もっとも、それはだいたい見当がつくというもので、時代を超えた技術がもたらされたとすれば、その由来は宇宙からか、未来からかしかあるまい。ということで、やはり話はSFの方向に行く。
     そして、もうひとつの謎はなぜヘイズが人の心の声を聞く能力を持っているのかということである。圧倒的な科学力で屹立しているが実は死にかかっている都市イヴズデン、本当に生きているとは言えない生を送っているヘイズ、この物語は両者の再生へと収束していく。

     ロバート・ジャクソン・ベネットはこれまで4冊の長編を発表しており、いずれも好評らしい。ジャンルは横断的で、ファンに訊かれて、自身をファンタジー作家と答えているという。SFとしてさほど目新しいアイディアは投入されていないが、ハードボイルドで味付けして、20世紀初頭のあり得ない都市の圧倒的な描写を加えることで、類例のないような小説になっている。他の作品も読んでみたい。

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    2016年02月12日
  • カンパニー・マン(下)

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    人間の知性が導き出すもの
    下巻、このSFミステリー小説は現代に起きるかのような予言にも思えた。それは「人間の知性が新たな欲を醸し出し、新たな文明が街を、国を、世界を作り出す。やがて人間が貪欲となるにつれ領土を増やそうと人間同士の戦争を引き起こす。それが敷いては人類を壊滅状態に導きだす。最終的には地球の壊滅をも引き出してしまう」と言うメッセージだ。今まさに原爆の使用有と独裁者のプーチンが叫び出した経緯が、この小説の人類滅亡の予言にピッタリ当たるのでは無いかと心配だ。

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    2022年08月25日
  • カンパニー・マン(上)

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    上巻、寂れた漁村を大都市に成長させたマクノートン社には隠された秘密が多数あった。経営者と労働者の紛争を組合と言う組織を作り、労使問題する火の粉を組合員が防ぐ役割を持たせた。それがある殺人事件につながる。さらに人の心が読めると言うの力を活かし秘密捜査員ヘイズを利用して経営者と労働者との関係から事件に発展しないように調査を開始させる。

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    2022年08月25日
  • カンパニー・マン(上)

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    今のところサイキック・スチームパンク・ミステリーってジャンルをつけられそうな雰囲気です。感想は下巻で。

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    2015年07月27日
  • カンパニー・マン(上)

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    SFのようなミステリーのような物語。ハードボイルドSFと言ってもいいのかもしれない。物語の舞台は現代から見れば過去なのだが、設定はあくまでも架空の場所。ある1つの会社が世界を牛耳っている世界での物語である。そんな舞台で、特殊な能力を持った主人公の男が、不思議な事象に出会い、物語の舞台となっている物事の真実を暴いていく。そして自分自身への秘密にも迫る。

    上巻は不思議なことがどんどん起こり、しかもテンポよく発生するため、あれよあれよと言う間に読み進められる。地味なんだけど、いや地味でもないか、淡々と物語が進行しているように思えて、結構激しく物語が進んでいく。面白いかと聞かれれば、地味なんだけど、いや地味ではないか、と迷いながら、「面白い」と答えることだろう。

    下巻に向けてどのようなストーリーが展開するのかワクワクさせられる。

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    2015年07月03日
  • カンパニー・マン(下)

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    ネタバレ

    ディストピア?的なSF小説。なんだが、2001年宇宙の旅も入っていて、それでいて、体裁は私立探偵風だったりして、ちょっと不思議な小説。けっこう、最後は切なかったりして、あまり売れそうにないなと思いながら、気に入っていたりする小説。

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    2014年09月28日
  • カンパニー・マン(下)

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    いろんなジャンルが混ざってましたが、ミステリー風サイキックスチームパンクSFに落ち着きました。ミステリーを期待するならやめた方が良いです。

    全体的に漂う退廃的な雰囲気は好きなのですが、主人公たちの性格がピュアなのと、オチが希望に溢れててちょっとがっかりです。最後まで擦れたままでいってほしかったw

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    2015年08月05日
  • カンパニー・マン(下)

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    上巻の雰囲気のままいってくれためちゃ好みやったのに。
    最初からSFとして読んだらよかった。
    SFの括りやったら読んでなかったとも思うけど。

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    2014年04月26日