星川淳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
途方もない時間をかけて、途方もない距離を旅してきた民族。
彼らの根底にある「変わり続ける」という姿勢は、目まぐるしく状況が変わる現代において我々にも求められるものではないだろうか。
変化すること。
学びを継承すること。
階層を作らず民族全体で一体となること。
彼らが変化し続けた背景には、美しい物語ばかりではなく止むにやまれず変化を強いられた瞬間も数多くある。
異文化との衝突、天変地異。
時には、読んでいて胸が抉られるような悲しい局面にも出くわす。
圧倒的なスケールの本書からは、実に多くのことが学び取れる。
学ばないことがもたらす硬直、
変化がもたらす負の側面、
変化するものたちが変化しな -
Posted by ブクログ
これは過去最大級におもしろい本だった。
科学的ではない、トンデモ本だという指摘をする人もいるだろうが野暮というもの。
神話とは客観性を別にして人の営みにおいて大事なことことが物語として残されたものだとおもう。
アフリカでうまれて紅海にすみ、ユーラシアを横断して日本近辺にすみ、ベーリング海峡をわたりアラスカ、カナダを南下してアメリカに到達し五大湖周辺にいったイロコイ族の1万年にわたる口承伝承の記録。
特に印象てきだったのはベーリング海峡を渡る際に強いものが弱いものをまもるシーンと、バッファローをみつけた際にまず観察をして7代先の子孫に迷惑がかからないようにしたこと、こういったことにすさまじい智恵 -
Posted by ブクログ
あまりにも詳細な米国のネイティブ(インディアン)の1万年前からの口承を文章化した記録。読後も本当か、創作かと半信半疑。凄い記録を私たちは発見したのかも知れない。しかし、創作だとすればこれまた凄いファンタジー!物語は時代も場所も分らない。恐らく1万年前一族<海辺の道を渡った民」の物語は始まる。ベーリング海を何と一本の綱で渡った52名。オハイオ湖に定着し、5つの国が出来るまで。途中で86歳の一族の老女がさらに遡り遠い昔を語る10万年前の話はアフリカ?からのアジアへの大移動を連想させる。正に人類の歴史そのものが口承で詳細に残されている!登場人物の名前も出ない。<前に進み出た男><知恵の娘><新しい文
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Posted by ブクログ
7万年から1万年前は、住む場所として、世界が寒いときは、山の懐深くの洞窟が暖かくてありがたがられ、世界が暖かくなるとひらけた浜が好まれた。一族は物見を方々に飛ばし、まわりの世界の有様を知り、他の部族、種族がどう過ごしているのかを理解していた。当時の人類は二種類に分けられ、前者は一ヶ所に定住し、イノシシのような小動物を狩り、女達は豆を栽培し、根菜類や灌木の実を集め、それらを冬に備えて干していた。後者は定住せず、マンモスのような大型ほ乳類の群れについてまわり、その死骸を糧としたり、糞の中から草の実を漁り、道に生えているものを集めて暮らした。
人は互いの観察からよく学ぶ事。
例え一人一人の力は劣 -
Posted by ブクログ
ネタバレ驚き!驚き!の連続、目をみはる思いで読みすすめました!
アメリカ大陸に住むインディアンの人々は、アジア大陸からアメリカ大陸へとわたったモンゴロイドの子孫だという説があるそうです。
津波で多くの住む場所や命を失った人々が、より安全な土地を求めて、続けた一万年の旅路。
この方たちは、日本人とも、きっと、もともとの祖先を同じにしているに違いないし、読み進めていく中で、途中で分岐していく仲間が、もしかすると私の祖先じゃないのかな、などと、とても興味を持ち、とても共感しました。
口承伝で語り継がれた「生き続けていく知恵」。
書物として、個人が残したものではなく、直接、口承で子孫から子孫へと、伝えられて -
Posted by ブクログ
ユーラシア大陸からベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へと移り住み、様々な困難を乗り越えてきた一族に伝えられた壮大な物語。こんなにも長い歴史が口伝で残されてきたことにも驚きますが、その内容もすごい。世界各地の民族に伝わる神話・民話のおはなしではなく、とてもリアルに感じられました。リーダーが不在となっても全員で話し合い知恵を出しあって問題を解決していくルールを作っていくところや、それぞれが自分の役割を果たし、より安全な土地を求めていく過程、南太平洋から船でアメリカ大陸にたどり着いた一族の示唆など、とても長いですが読んでおくことをおすすめします。
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Posted by ブクログ
一気に読みました!あるネイティブアメリカンの一族の来歴を記したものなのですが、その長さがすごい。推定一万年以上。これも、はっきりと伝え始めてからの年数で、その前の飛び飛びの古いエピソードもあって、最古のものはアフリカで樹上生活をしていると思われるものです。
ネイティブアメリカンの神話集だと思って手に取ったのですが、違いました。神は一度も出てきません。何か分からないものがあったら、徹底的に考察し、学ぼうとする態度を持つ人々だったからです。どうして、そこまで学びと伝承に執着したかというと、一族がどんな状況に会ったとしても過去から学ぶことによって生き延びることが出来ると確信していたからです。そして