久繁哲之介のレビュー一覧
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結局「出来ることを可能な範囲で、多少なりとも“やってみようかな?”という意欲の在る人達が取組む」というのが所謂“まちづくり”というような取組である筈だが、実際には「公共事業創出」、「支援実績づくり」というようなことが自己目的化している“本末転倒”が余りに多い…そして“本末転倒”な結論を導くための“やらせ”が積み重ねられている…本書を読めば、そういう“問題”がよく判る…
本書には「如何なものか?」が多く出ている他方、「これは面白い!?」も色々と紹介されている。後者に関しては、機会が在れば訪ねてみたいものだと思った…
本書は「腹立たしいまでに“そのとおり”」という指摘も在る。それだけでも一読の -
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地方では、地域再生・地域活性化が叫ばれて何年もたっていますが、
どこの街もなかなかうまくいっていないのが現状のようですね。
若者の視線がどうしても都市へ向いてしまうということや、
鉄道の無い街での自動車のあり方など考えなければいけないことも多々あります。
この本を読んで思ったのは、
成功例を模倣して失敗し無駄な税金をつぎ込むのではなく、
多くの失敗例から学び、その街にあったやり方を考えだすということですね。
私が仕事しているM市もがんばっているようですがなかなか・・・
N島地区にやはり商店街共有の駐車場を作り、
車から降りて待ちのなかを歩いてもらうよう考えなければいけませんね。
また、「ふれあ -
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地方の街づくりについて考えさせられる本です。成功していると言われている商店街でも、実は一月のほとんどは閑古鳥が鳴いていたり、これまでの大型商業施設誘致、官中心の街づくりについて徹底的に批判し、住民視線での街づくりを提唱しています。
地方へ旅行に行くと、シャッター街のさびれた商店街をよく目にします。買い物しようにも開いている店を探す方が難しく、購買意欲が無くなってしまう経験は誰でもあると思います。
著書では、従来の街づくりでの問題点を指摘し、間違った街づくりで街がさびれてしまった例を引き合いに出しています。地域再生の罠として、2つの本質的な問題を挙げています。
・(大型商業施設のよう -
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前作から引き続き、著者の作品を読んでみました。
今回は商店街再生として、全国で成功例と言われるものを検証し、本当に再生につながっているのか、良い事例、悪い事例を紹介しつつ、新たな方向性を提案しています。
前作同様、具体的な商店街名を出し、施策を紹介しているため、具体的でイメージがしやすいものでした。
少子高齢化により、モデル世帯が変化し、単身世帯や高齢者世帯が増えることも踏まえ、商店街再生を単なる観光地化にするのではなく、地元市民を顧客とし、リピート客を創ることを再生の目的とし、交流の視点で再生を図るというのは、著者の主張として一貫しています。
事例の模倣はよく行ってしまいがちではあります -
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商店街振興の流れで、もっと広く地域再生に関する著書を見つけ、読んでみました。
著者は、地域再生プランナーということで、著書内にも、全国の事例が豊富であり、実名で良い点、悪い点が挙げられている。名指しされた自治体にとっては耳の痛い話もあるが、意見としては真摯に受け止め、実態を見据えた対策が求められます。
そうでない自治体にとっても、ここで指摘されたような、悪い政策を行っていないか、地域の強みを見失っていないか、検証が必要です。
著書で紹介された商店街や事例等
小樽3点セット、函館「はこだて自由市場」、青森駅前「アウガ」、宇都宮市「109、表参道スクエア、ギョウザ、カクテル、ジャズ」、太田市 -
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2014 12/21 06:56
視線を内に、顧客目線で自分がかわる 久繁哲之介著『商店街再生の罠』
Category : 書評
視線を内に、顧客目線で自分がかわる 久繁哲之介著『商店街再生の罠』.
タイトルがドキリとさせてくれる.「罠 わな」の提起は、おだやかではない.
読んでいくとどうも、当事者自体が<落とし穴>に陥っている、<陥穽 かんせい(動物などを捕らえたるためにしかけられたワナ)>、その状態を指摘したいようでもある.
<良かれ>と重ねる施策.しかし、解決や課題認識の<基本>に<立ち返っていない>と、指摘しているようでもある.
「レトロ商店街」
「キ -
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商店街の衰退と、その再生の必要性が叫ばれて久しいけれど、そのためにとられている商店街活性のための施策やとりくみのほとんどが意味がないと注意を喚起している。
おもに、商店主のモチベーションの低さと、そこにかかわる行政の姿勢の問題を指摘している。
なるほど、と思うことは多くて、なぜ商店街が寂れるのかという本質に目を向けさせる本だったと思います。
作者が考える、あるべき活性化の方向性についても、かなり具体的に例を挙げながら紹介してあるので、イメージしやすいです。もっとも、成功事例を表面的にまねするのでは意味がないことは文中で何度も強調されていることですけれどね。 -
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本書は全国各地で行われている中心市街地活性化事業(まちづくり)が何故失敗し、地域の衰退に拍車をかけるのか。
その原因を分析し、ではどうすれば地域再生を行うことが出来るのか?まちづくりの現状分析から提案までを行う。
大きく分けると、現状分析(@失敗事例とその原因A成功事例とその本質)と提言で構成されている。
現状分析においては、各自治体のリアルな情報が満載で非常にイメージがしやすい。
ビジネスにおいて常識といえる「顧客目線」「課題分析」といったことが嘘のように欠けている。
現場で活動を行う著者は、まちづくりを推進する自治体・土建工学者による施策実態に呆れながらも、それを産み出す構造を冷静に分析 -
Posted by ブクログ
地域再生プランナーの著者による、衰退する地域に対する助言の書。
「罠」という書名には、既存の「(いわゆる)地域活性化論」に対する反抗の意図が明確です。
とりわけ土建工学者(建築学、土木工学、都市工学の研究者)が提唱する、
「欧米や国内成功事例の機械的模倣」「ハコモノ中心」の活性化論に対する敵対心が露骨と言わざるを得ません。
私も都市工学を専攻する学生として、本書を終始笑顔では読めませんでした。
筆者の主張する新しい地域再生のキーワードは、「地域の人、利用者目線」「交流」「私益よりも公益」の言葉に集約され、第7章にまとめられています。
末尾に添えられた「スローフード化」「スポーツクラブの設置」