久繁哲之介のレビュー一覧
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本当の意味での「地域再生の成功」を考えさせられる一冊。地域再生の成功例として取り上げられている商店街の中には、月に1度のイベントのときだけにしか人が集まらず、地域の住民の幸せにつながっていない例が数多く存在する。著者はその原因を、経済的な豊かさばかりを追求する地域再生の考え方そのものにあるとする。地域再生の本質を見極め、それを実現しようとすることが、「地域再生の成功」につながる。
著者は地域の箱物に厳しい目をむける。箱物をつくることが前提の地域再生化策が実施され、結果として住民のニーズが無視されている。箱物は住民のニーズに応える選択肢のひとつであるべきで、箱物あるべきという考え方はあまりに -
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1行でまとめると
「地域活性の押し売りはせず、住民目線でものごとを考える」
ということですかね。
以下、まとまりなくだらだらと。
地域再生、地域活性について成功事例と一般に紹介されていても、提供者や街づくりの地域再生関係者の目線での成功例が多く、実際に地域住民が豊かになる形で活性している事例は極めて少ないことを指摘し、著者が考える地域活性の条件とその提案がかかれている。
住民無視での箱物建築、駅前再開発による地域活性化の押し売りではなく、人と人とのつながり・信頼・共感と、それを促す場が必要である。
・自治体関係者を含む地域活性関係者はどこも他地域の成功事例ばかり気にしていて、模 -
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地域再生に取り組んでいる「だけど」うまくいない。本書は「だけど」ではなく「だから」という因果関係を捉えるとことから始まる。
多くの自治体ではさびれゆく街中の賑わいを創出するため、どこもかしこも大型商業施設の誘致に躍起になっている。東京でさえ伊勢丹、西武が撤退しているにもかかわらず、多くの地方都市が街中にぽっかり空いた大型商業施設の撤退跡地に再び大型商業施設の誘致をしようとしている。しかも、計画たるや、3割の自治体が地域住民の意向をまったく把握せず計画を策定している。残り7割もごくごく簡単なアンケートでしか地域住民の意向を把握していない。表面的な質問でアンケートが終わってしまい市民のニーズとい -
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ネタバレこれは、成功じゃなくて、失敗事例集
やっぱその点、斬新で、成功事例集(アグリコミュニティ~)よりおもしろかったように思う。ただ、随所にでてきて、最後の結論にもつながる筆者の主張は、具体的が故に疑問も大きかった。ただ、理想は面白くて俺もすごい影響受けたと思う。さらに、最終章には具体案も掲載されていて、おもしろかった。
*120607レビュー
実際の行政を名指しで批判しているところに、リアリティと本気の警告が見られた。その解決策として出されているのが、地域での収益を考えることなんだけど、これは観光圏の話にもつながっておもしろかった。でも、それを実際どうやってやるんだろう、ってところが、最終章に -
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【地方自治体を如何に再生するかを解き明かす】
箱モノだけが立派な自治体、海外の事例を模倣しようとする自治体、上勝町のような国内の成功事例を模倣しようとする自治体・・・
日本の自治体が活性化に失敗した理由を、作者の経験を基に論理的に説明されている。作者が最終的に述べたいことは、住民本位且つ地域特性に合った街づくりを行うことだ。自治体が其々持つ個性を生かすことこそが、自治体活性化に効率的に貢献すると言うことだ。
<余談>
私が、自治体の活性化に尽く失敗する理由は、活性化をする人が一度もビジネスを経験したことがないからであると考える。ビジネスとは、いわば「少ない投資で、大きなリターンを得る」ことを -
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役所が主体的に中心市街地の方向性やテナント募集をしなくちゃいけないのは当たり前で、僕も入所前はそうだと思っていました。しかし、実際には土地の権利者や地元中心市街地の商業者がいるのでどうしてもまとまりがないものになってしまいます。
中心市街地をコンパクトシティにするのはわかりますが、なぜそこに家具屋がドンと構えているのか?ミシンショップが建っているのか?もっともっと、コンセプトを確立してそれに沿わないと興醒めします。
そもそも、「若者を中心市街地に呼び寄せた方が良いのか?」という根本的問題を無視してまちづくりを担当している気がします。若者に対する一般イメージはどちらかと言うと否定的なものが強く -
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地域再生プランナーの久繁さんの本。
中期的に同じよーなことに携わりたいと思っているので、拝読した。
個人的に「地域再生〜」とかに疑問を持っていた
「上っ面なアンケートをまとめて政策をすすめても」
「箱物つくればいいってもんじゃない」
「地域ブランド品は製造元しか儲かっていない」
等々の問題点を、直球で指摘しており胸が透く思いがした。
そして、
地元に根ざしたモノを生かして、住民の生活に利する形にし、全体を盛り上げていく事を掲げるスローシティ構想は、
説得力があった。
久繁さんと同じロジックではあるが、
どことはあまり言えませんけど、B級グルメで盛り上がっても、
地元の人は盛り上が -
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少々語り口は行政マンにはきつく感じられる。しかし、「おっしゃるとおりだな」と思わなければ、公務員と言う世界に馴染んでしまったことになるような気がする。特に、ジブンは外部から入った「中途採用者」なので、いつまでも行政を俯瞰して見られる視点を持ち合わせていないといけないように思う。その気持ちを忘れないようにしないといけないと思いながら、気になるフレーズを数多く引用してみた。
課題の提起まではしっかりとしているし、課題解決の方向性(ビジョン)も明確に示しているが、そこから先(政策形成というべきか)はいまひとつぼんやりしている。ビジョンをどのように政策形成に反映させていくか、そのための具体的なアイディ -
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[ 内容 ]
社員を大切にしない会社は歪んでいく。
それと同じように、市民を蔑ろする都市は必ず衰退する。
どんなに立派な箱物や器を造っても、潤うのは一部の利害関係者だけで、地域に暮らす人々は幸福の果実を手にしていない。
本書では、こうした「罠」のカラクリを解き明かし、市民が豊かになる地域社会と地方自治のあり方を提示する。
[ 目次 ]
第1章 大型商業施設への依存が地方を衰退させる
第2章 成功事例の安易な模倣が地方を衰退させる
第3章 間違いだらけの「前提」が地方を衰退させる
第4章 間違いだらけの「地方自治と土建工学」が地方を衰退させる
第5章 「地域再生の罠」を解き明かす
第6章 市民 -
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商店街が突如仕事上のテーマになり、勉強用に選んだ本なのだが、ここにもHCD/UXの発想が!手法も、本当の顧客ニーズを知るには、データに頼った机上の企画より顧客の声を聞くこととか(高岡市コロッケの項)、恣意的な項目が選ぶアンケートよりもエスノグラフィ(商店街を利用しない公務員の項)とか、昨年習ったことはあらゆる場面で使う基礎なんだなということが改めて身にしみました。商店街との向き合いは地方自治体との向き合い(補助金関連)で、なかなか難儀なことだぞというのもわかってきました。なかでも恐ろしかったのは群馬県太田市の南口一番街の話で、開発で歌舞伎町みたいになってしまったその商店街の地主は北口に住む老舗
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私益より公益を重んじた地域振興をテーマに、地域再生プランナーである著者による、廃れる地域を再生する際の方針策定をはじめとした課題の紹介と、解決策の提言。
スローフード推進、街中スポーツクラブ建設ありきで論が進められている感が否めないが、課題は具体的な地名を出して紹介され、多くの知見が得られる。
解決策は、筆者の求める結果ありきな気がする。すなわち、紹介される反論以外にも論理が弱そうなところがある感がある。しかし、地域振興に限らず、何かの提供者として学ぶところは多いと感じた。
レバレッジメモ
・アンケート調査は結果ありき
・「(地域再生の)成功事例」の捉え方が土建工学者や自治体(提供者)と地元 -
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商店街が衰退する本質は「公務員など商店街支援者と商店主の多くに、意欲と能力が欠けている」ことにあるとする著者。
“商店街を利用しない公務員”という見出しでひとつ章が構成されています。商店街再生には、計画の美しさでなく実際に行動に繋げることが重要とあり、当然ながら納得できることです。
しかし、読み進めていくと、例えば、ノーマイカーデーにマイカー通勤する(=帰りに商店街で一杯!をしない)ことへの批判などが並んでいます。
確かに、正しいかどうかと問われると正しいことなんでしょうが、どうも重箱の隅のような事柄に感じられて、スッキリしない感覚が残ってしまいました。公務員は嫌われているようです。グスン。 -
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ネタバレ【内容】 社員を大切にしない会社は歪んでいく。それと同じように、市民を蔑ろする都市は必ず衰退する。どんなに立派な箱物や器を造っても、潤うのは一部の利害関係者だけで、地域に暮らす人々は幸福の果実を手にしていない。本書では、こうした「罠」のカラクリを解き明かし、市民が豊かになる地域社会と地方自治のあり方を提示する。 (「BOOK」データベースより)
【感想】 地域再生プランナーによる地域再生を考える一冊。再読。いろんな地域を歩いて考えた事例が記されており、参考になる。全国各地、いろんな地域の成功・失敗事例を知ることは大切。その上で、自分の地域にとっての最良の方法を探ることが、もっと大切。きっと他 -
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各所で幾度となく繰り返されながら、未だこれぞといえる成功例のない「地域再生」。その阻害要因として著者が挙げるのが、高踏的な都市工学者、前例主義に固執する行政、既得権益層と化した商店主、などなど。彼らへの鋭い舌鋒は小気味良いものがあるし、IBMでマーケティングに従事していた著者ならではの「ニーズ」志向の論調はなるほどと思える部分も多かった。
しかし著者が言うように、市民のニーズを押さえないままの地域再生が問題だとしても、それ以前に、まず著者も言及している次の大きな疑問に答えなければならないのではと思う。
「需要側も供給側も、必要性を感じていないものに支援が必要なのか?」
そもそも地域再生は