牧薩次のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大戦中の本庄究は幼少に両親を焼夷弾で亡くし、福島の刀掛温泉郷に親戚をたどり生活していた。そこで朋音と出会い恋模様が。大戦が終わりアメリカ軍が刀掛にやって来る。アメリカ軍のジェイク大尉は横暴な男で、ある夜朋音に襲いかかるが返り討ちに会う。証拠はアメリカ軍が捜査するが、責任者のメアリが証拠をもみ消し究たちを助けてくれる。
大人になったら究のパートでは朋音は富豪の真刈と結婚し火菜が産まれていた。真刈は無精症であるので子供ができないはずだから、火菜は究の子供なのではと究は思う。真刈の会社に壊滅的被害を受けた浅沼宏彦は復讐のために真刈を攻撃することを決意。福島の寒村で自ら雪崩を起こし閉じこもる(死ぬ?)実況をしたが、今持ってるナイフが2300km離れた西表島にいる火菜の胸に突き刺さるという。次の日イベントに出ていた火菜は流産してしまった娘の臍の緒がポシェットから落ちてるとのことで控室に戻ると、そこで胸にナイフが刺さり死んでしまう。
老齢の究の現代パート。弟子の魅惑も結婚して子供ができる。真刈が沼地にて死亡しているのが発見される。事故死?殺人?の謎を解明しようと魅惑と大関刑事が話し合う。
2300キロ越えの殺人の謎が"完全恋愛"な要素ある自殺で、究の朋音に最後まで愛を持ち続け復讐を遂げる"完全恋愛"。さらに弟子の魅惑の正体、魅惑の母の正体が分かった時の"完全恋愛"。最後の詰めかたがスピード感あって良き。 -
Posted by ブクログ
完全恋愛というタイトルまで伏線につかった,辻真先,いや牧薩次の渾身の作品。やや冗長ではあるが,古きよき時代の本格ミステリを思わせる幻想的な謎,怪奇的な雰囲気,そして遠隔地における心中や双子を利用したアリバイトリックなど,バカミス的なトリックを惜しげもなく使って,読者を盛り上げる。最後は,「そういうオチだったのか」と思わせる真相。朋江と結ばれたと信じて死んでいった柳楽糺(=本庄究〉は幸せだったのか,満州子は幸せだったのか…やや切ない設定なのだが,辻真先が描く文章の明るさから読後感はいい。抜群のインパクトとサプライズ,そして爽やかな読後感。傑作といっていい作品だろう。★4で。
〇 事件の概要
ジェイク大尉殺害。小仏朋音がジェイクを殺害したが,本庄究がそれを隠蔽。隠蔽工作しているところを見たメアリが,ジェイクはアメリカの恥として,進駐軍どうしの内輪もめという形で処理をした。
真刈火奈殺害。閉鎖された集合Bにいた浅沼宏彦の指紋がついたナイフで,かまくらの中で刺殺された。真相は遠隔地における心中。謎の殺人事件らしい演出をした心中事件だった。
真刈夕馬殺害事件。トリックはふたごを利用したアリバイトリック。
〇 サプライズ ★★★★★
「おもい」という柳楽糺(=本庄究)が子ども時代のジェイク大尉殺人事件は,特にサプライズはない。最初の殺人事件を,後半部分の伏線として,贅沢に使っている。「なげき」というタイトルの第2章は,真刈火奈と浅沼宏彦の殺人事件に模した心中事件。これは,一応,幻想的な謎っぽく描かれているが,心中という形での決着は,あまりサプライズはない。最終章「わかれ」の真刈夕馬殺人事件では,まさかのふたご入れ替わりというバカミスちっくなトリック。冒頭で描かれた「みぃちゃん」というのが,柳楽糺のに二重胎児だったというオチは,サプライズではある。とはいえ,この作品最大のサプライズは,柳楽糺と朋江の間には何の関係もなく,柳楽糺と関係があったのは満州子であり,藤堂魅惑が,益子と名を変えた柳楽糺と満州子の間の子どもだったという点だろう。多種多様の謎をミスディレクションとして散りばめ,この部分をオチに使うと思わせない手法はお見事。そういうオチを用意していたのかと思わせるが,「完全恋愛」というこの作品のタイトルまで伏線になっている点に気付くと完全に参ってしまった。お見事。
熱中度 ★★★☆☆
数々の謎を散りばめ,ストーリーを引っ張っていく。さすが,サービス精神旺盛な辻真先という感じ。ただ,さすがに冗長な気がする。もう少しシャープなら最後まで一気に読み進めることができるが,特に第2章の「なげき」の部分で,やや中だるみ感はいなめない。
キャラクター ★★☆☆☆
キャラクターは立っていそうで,それほど立っていない。きちんと描き分けられていないというか,柳楽糺,藤堂魅惑,真刈夕馬,真刈朋江,真刈火奈,山岸珠美…などなど,登場人物は多いのだが,読み終わって,このキャラクターに愛着を感じた…というキャラがいないというか…。登場人物全員が,それなりに魅力があるのだが…。
読後感 ★★★★☆
なんともいえない読後感がある。果たして,柳楽糺(=本庄究)は幸せだったのか?事実を知らない方が幸せなのか,不幸なのか…。満州子や魅惑の真意は?深く考えると,あまり読後感がよくならなそうではあるのだが,読み終えたときの第一印象はとてもよかった。辻真先作品が持つ,なんともいえない雰囲気が成せるわざかもしれない。
インパクト ★★★★☆
インパクトは抜群にある。特に,ラストの満州子の独白が忘れられない。「完全恋愛」というタイトルもお見事。ただし,途中で描かれる3つの殺人事件と真相は,なんとも辻真先らしい馬鹿さ加減だが,そこまで印象に残らない。
希少価値 ★☆☆☆☆
絶版ではないみたいで,入手困難ということはない。そこまで売れている感じではないので,将来的にはどうなるか分からないが…。隠れた名作的なポジションになってもおかしくないような雰囲気はあるが…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ画家 本庄究(柳楽糺)の生涯を描いたミステリー。
彼の生涯に3つの殺人事件が起こる。
2つ目、3つ目の事件は推理小説として成り立っている。
この事件を解決するだけでも1本の小説としてないたつのだけど
本書全体に仕掛けがあり、最期に「あっ!」と言わされる。
「ネタバレ」
本庄究は生涯一人の女性だけを愛するのだが、その愛は報われる事が
なかった。
若い頃にその女性を助けた事で、一夜限りむすばれるのだが、
その思いを生涯わすれることなく貫き、彼女の娘をも守ろうとする。
ある時、その娘は自分の娘ではないかというところからミスリードされて
いき、最後に全てが明らかになる。 -
Posted by 読むコレ
辻真先さんの別名によるガチミステリ作品。
しかも09年の「本格ミステリ大賞」受賞作という
オマケ付の作品。
これもネタバレを伴う感想になるので
非常に書き難いっす。
孤高の画家の一生を描いた作品ですが
その中に3つの事件が起る。その画家
である「本庄究」の幼少期から晩年までを
追う形で様々な人物が彼の最初にして
最後の「恋」の相手「小仏朋音」の
姿を思わせる。彼の数奇で純愛に身を
捧げた人生と事件...。ミステリと恋愛パートが
上手く絡み合っています。
ミステリパートとしては少々...強引というか
うそーん!!..なトンデモ展開ですが全く腹も立たないw。
むしろそんな事にまで展開するのか!と
痛快な真相でニヤリ。
そして「恋愛」パートとしては、ラストの
昇華は見事過ぎます。タイトルの「完全恋愛」
に恥ない、真っ直ぐに正直な記述によって、
正直、真相については予想した通りなのですが、
それでも読後の爽快感は大満足。
男の身勝手なファンタジー作品(褒めてますw)。 -
Posted by ブクログ
辻真先さんの別名によるガチミステリ作品。
しかも09年の「本格ミステリ大賞」受賞作という
オマケ付の作品。
これもネタバレを伴う感想になるので
非常に書き難いっす。
孤高の画家の一生を描いた作品ですが
その中に3つの事件が起る。その画家
である「本庄究」の幼少期から晩年までを
追う形で様々な人物が彼の最初にして
最後の「恋」の相手「小仏朋音」の
姿を思わせる。彼の数奇で純愛に身を
捧げた人生と事件...。ミステリと恋愛パートが
上手く絡み合っています。
ミステリパートとしては少々...強引というか
うそーん!!..なトンデモ展開ですが全く腹も立たないw。
むしろそんな事にまで展開するのか!と
痛快な真相でニヤリ。
そして「恋愛」パートとしては、ラストの
昇華は見事過ぎます。タイトルの「完全恋愛」
に恥ない、真っ直ぐに正直な記述によって、
正直、真相については予想した通りなのですが、
それでも読後の爽快感は大満足。
男の身勝手なファンタジー作品(褒めてますw)。 -
Posted by 読むコレ
某大御所作家の別名義による2作目。本格のようで
その実はSFとミステリの融合したようなメタのような
不思議な作品。作中で起る事件は全くもって整合性が
取れないのですが、起ってる事件の舞台そのものが
反則のようなものなので、もはや...何でもアリな状態w。
こういったSFが絡んでくるとどうにも...個人的には
苦手で...珍しく足掛け4日もかかってしまった。
とは言え自分でも名前を知ってる大御所の書いた
作品なのに自由で、無理のない若々しさを感じるのは
大きな魅力です。
牧薩次名義での最初の作品の評判は凄く良い
ようなのでそちらを是非読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
むぅ...
出だしの文章は魅力的なのだが、
読み終わるとそれだけだったような...(^ ^;
後半の謎解き部分はかなり強引な展開(^ ^;
アイディアは面白いし、仕掛けも派手だし、
読み物として面白かったが...
文章が安っぽいんだよなぁ...(^ ^;
格調が感じられないというか、
余韻がないというか...
全体を通して「あらすじ」を読んでるような
味気なさが感じられてしまい...(^ ^;
読み進めてもずっと「傍観者気分」で、
登場人物に感情移入できないのが難点か。
あと、最後の最後の「どんでん返し」のはずが
伏線があからさますぎてかなり早い段階でネタバレ(^ ^;
きっとこうなるんだろうな、と思った通りになったので、
「裏切られ感」がまったくないのが残念(^ ^;
あと、作者自身が謎かけになっているのは
後書きを読むまでまったく存じませんでした。
が、だからどうした、って話ですけどね(^ ^;
同業者の評価は高かったようだが、
私には今ひとつだったなぁ...(^ ^; -
Posted by ブクログ
ミステリのようなSF。SFのようなミステリ。いい感じで中途半端に融合しながら、不思議な骨格を形成している。
凝った展開ではあるが、そこまでのプロセスが若干強引。ぱらぱらと伏線も撒きつつ、奇怪な世界でしっかり本格してるのは大御所の余裕かな。新人作家ならこの設定だけでテンぱりそうだが、この作者にそんな青臭さは見受けられない。そういうどっしり感があるから、通常ならドン引きしそうな展開でもさくさく読み進められたのだろう。
密室の解釈と着地には納得しかねるが、この変形ストーリーを問題なく操れた手腕には感服する。『完全恋愛』同様、ノスタルジックな雰囲気が事件とマッチしており、懐かしさと新鮮さに包容される感覚は悪くない。泡坂妻夫の読後感と似ているなあと思ったりした。