津田敏秀のレビュー一覧

  • 医学的根拠とは何か

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    めちゃめちゃ。とんがった医師がいた。津田敏秀は、岡山大学大学院環境生命科学研究科教授。専攻は疫学、環境医学、因果推論、臨床疫学である。著者が言っている断定的表現は嫌われるだろうなと思う。だけど、好きだなぁ。容赦しない姿勢が、だから平気で国を訴訟できる学者なのだ。
    本書から、水俣病のところだけを拾って、私の理解を含めて説明すると以下のようになる。
    水俣病は、有機水銀による食中毒事件である。それは、熊本県も国(厚生省)も認識していた。
    1956年5月に最初の患者の届け出。これが公式の水俣病患者の届け出となる。1956年11月に奇病や伝染病でなく、熊本大学医学部は食中毒であるとした。
    にもかかわらず

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    2021年10月20日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    ネタバレ

    因果関係について、疫学が専門の著者が「以前から気がついていたが、日本では科学的な政策判断を行う中央の官僚だけでなく、医学研究者が科学の基本的概念について考えたこともなさそうなのである。」と強烈に皮肉る本です。
    個人的には名著だと思います。
    相関関係と因果関係の違いを勘違いしている人は多いですが、因果関係についてもヒュームの問題を、医学研究者をはじめ、科学に係わる人は教養として置くべきであり、高等教育における方法を見直すべき、との主張はその通りと思いました。
    要素還元主義にとらわれ、日本で行った実際の失敗例として、森永ヒ素ミルク事件、水俣病事件、和歌山ヒ素カレー事件、タミフルの問題を挙げられてい

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    2021年07月04日
  • 医学的根拠とは何か

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    "医学と仮説"とセットの本とのこと。
    まだ飲み込み切れてないし、疫学以外の医学の価値をあまりに低く見てる気もするけど、そこを割り引いてもとても大事なことを言ってるっぽい。自分がまさにメカニズム派あるいは病態生理派であるだけに、なおのこと響く。



    例えば、

    メカニズムがわからないと環境因子の効果自体を認めないってのは全くおかしい。

    日本の医学部がラボ的な実験医学にあまりに傾倒しており、本来なら医学部で多数行われてよい臨床研究ができていない。臨床研究あるいは医療統計の教育環境が貧しい。

    食中毒の原因が細菌でもウィルスでもなく、先行する知見のない毒物だった場合、病原体探

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    2018年08月22日
  • 医学的根拠とは何か

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    痛快な本。一気に読み切った。これまでの、そして現在も続いている医学研究や教育についての問題点を痛快に書かれている。ここまで書いていいのだろうかと実名で色々な研究者を批判もしている。数量化の著者による直感派やメカニズム派への批判であるが、数量化が現在の科学的根拠となっている。水俣病や放射線の問題も直感派やメカニズム派の意見のために間違った結論しかでていないと手厳しい。EBMもこのように説明されると理解しやすいが、素人のような読後感となってしまった。

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    2014年09月24日
  • 医学的根拠とは何か

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    「医学的根拠とは何か」
    この本の題名であるが、何か起こるたびに、さまざまな“専門家”という何がどう専門なのかわからないような人が「医学的根拠」という言葉を用い、その度に考えることでもある。

    そして私は身をもって知っている。日本は医療技術は高くても、医学教育水準は前近代的なうえに貧相極まるものであることを。今の医療レベルの高さは経済発展と国民教育水準の高さに伴ったものであり、医学教育水準が発達してない以上、これから数十年後に日本の医療は金に依ってガラパゴス化した身動きの取れない豚のようになるのではないかと危惧している。

    筆者は今まで日本の医学における問題を一般の書籍において啓蒙してきた方であ

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    2013年12月11日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    大半の医者は科学・因果関係・科学哲学などほとんど考えたことがない
    医学において実験が必要不可欠、ということはない。スノーvsコレラ、ジェームズ・リンドvs壊血病、高木兼寛vs脚気など
    要素還元主義だと原因の特定が遅れ、新型のアウトブレイクの際に対応が遅れる。煙草とか、公害とか、薬害とか

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    2012年09月25日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    副題は、「原因と結果の科学を考える」

    日本では、疫学や臨床研究を軽視している傾向があると、個人的に感じていて、なぜだろうと疑問に思っていたが、この本を読んでその理由がはっきりした。

    日本では、大学・国立がんセンターなどの研究機関の研究者の多くが、要素還元主義に陥っていて、動物実験・細胞実験などミクロの観察を科学の必要条件と考えてしまっている(=仮説のレベルを整理できていないことの証左)。

    で、日本の研究者のそのような考え方、およびそれに基づく国の政策が、世界的に見て異質である(しかも間違っている)ことが分かった。

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    2012年06月24日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    科学や因果関係について日本の研究者がトレーニングを受けていないため、専門家が誤った認識をもっているのではないかという認識の元書かれた本。

    科学、因果関係、疫学あたりに関して概観するのによいかもしれない。

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    2011年10月30日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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     びっくりしました! 因果関係について知りたいとおもっただけなのに・・・
     「科学ってなに?」と問われて、答えられないならこの本読めといわれます。原理主義者なの?
     どうやら著者の津田敏秀先生は、日本の自然科学を学ぶひとたちは「科学哲学」が必須科目ではないために、「科学について誤った概念を持っている!」とお考えのようです。

     例えば医学部にある誤解としては、「疫学」が直接的証拠とわからなかったり、医学研究に「実験」が必要と思い込んだり。「細胞や遺伝子をすぐに扱いたがるけど仮説のレベル合ってるの?間接的証拠なんだけど?」「せっかく医学部にいるんだから人を対象にしようよ。」とおっしゃるわけです。

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    2025年07月19日
  • 医学的根拠とは何か

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    日本のEBMがまやかしでしかありえない、それは日本の臨床医が科学的ではないから。そのことは多分みんなわかっている。あきらめない、や、がんばらない、なんて旧時代の医者が言っているうちはEBMにはなりません。

    そのことがよくわかる本。

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    2018年10月13日
  • 医学的根拠とは何か

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    医学的根拠つまりエビデンスには三つあり、それぞれ直感、メカニズム、数量化に分かれる。大学の経営や高等教育研究にも通じる記載が多くとても参考になった。大学のIRは疫学から学ぶことが多いかもしれない。

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    2016年08月16日
  • 医学的根拠とは何か

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    日本の医学界の閉鎖性をエビデンスを軸に追及しているのだが、これだけ国際的な学術交流というものが盛んでありながらそこまでガラパゴスになれるものかという疑問も拭えない。

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    2014年09月06日
  • 医学的根拠とは何か

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    日本でいまだに続いている医学的根拠の混乱について、疫学者の立場からするどく問題提起している。
    自分の中にも、直感的判断、メカニズム重視の思考、統計学的根拠それぞれが混在しているのを思い知らされる。
    「真実とは何か」に一歩近づくことができる。

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    2014年07月29日
  • 医学的根拠とは何か

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    疫学の入門として読みやすいんではないかな。

    疫学史や、日本へ近代医学が導入された歴史を ①直感派、②メカニズム派、③数量化派のキーワードを用いながら概観して最近(2014現在)の医学研究に絡む時事問題まで至り、そこから日本の医学部教育の問題点(非科学性)を明らかにしていく。

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    2014年07月29日
  • 医学的根拠とは何か

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    「医学的根拠とは何か」というタイトルに惹かれて読んだ。

    内容は少し難しいかもしれないけれど、筆者の主張は一貫しているので、わかりやすいと思う。
    根拠に基づいた医療、EBM(evidence-based medicine)とは何かを
    わかりやすく解いていて読みやすい。

    医療が科学的であることについて著者はつぎの3つを認めている。1医師の直感 2分子レベルのメカニズム研究の成果
    3統計的な疫学調査。
    その中で、最も重視するのは「統計的な疫学調査」。

    この筆者の主張には一理あるものの、他の視点(立場)を重視する人がこの本を読むと、反論があるだろう。

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    2014年03月12日
  • 医学的根拠とは何か

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    日本の医学の臨床研究の遅れを実感させられる本であった。しかし医学だけでなく心理学にも同じことがいえるので、心理統計を学ぶ学生にとって、読むと統計の使い方が変わると思われる。

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    2014年01月09日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    「科学」とは何か。「因果関係」とは何か。
    驚くことにこの質問に明確に答えられる日本の医学者は少ない。

    医学教育の問題はまさにそこにあり、因果関係について論じられる医学者がいないことはたびたび日本社会の弊害になってきた。世界から取り残された疫学後進国である日本は、今はまだGDPに支えられた科学医学技術で先行リードしているものの、これからさらに医学的問題が明らかになり、後進していくだろう。

    自戒をこめて言おう、医者はバカばっかりである。そして無知の知すら認識できない日本の医者は弊害を垂れ流していくだろう。

    本書は何が日本の医学において問題なのかを丁寧に指南してくれる。
    「はじめに」と「おわり

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    2013年11月07日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    何をもってタバコは体に悪いと結論付けることができるのか?

    ヒュームは、「原因がなければ結果が無い」場合にのみ因果関係があると言いました。
    これは、タバコの例でいえば「(肺がんにかかった人がもし)タバコを吸わなければ肺がんにかからなかった」という検証をしなさいということになりますが、それはできないわけです。

    ここに、仮説検証実験の難しさがあります。

    ★★★

    我々の仕事にあてはめれば、「改善施策が効果がある」ことをどう評価したらよいかということになります。

    本書にはこれに対する答えが書かれています。

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    2013年05月30日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    ヒュームの原因と結果は絶対的には結びつけることができないという点をベースにではどうすればいいかという議論。
    統計学がヒューム後にできたが、あくまで確からしさをはかるものでしかない。現実には、原因と目されるものが起きてしまったあとに、もしそれがなかりせば、ある事象(結果)が本当に起きたかをしりたいのだが、それは決してわからない。
    森永ヒ素ミルク事件や水俣病では、要素還元主義によって原因物質が突き止められないうちは、森永のミルク、水俣の魚が危ないということがわかっていても、差し止めができていなかった。

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    2012年10月23日
  • 医学と仮説 原因と結果の科学を考える

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    実験的にメカニズムを明らかにして内部妥当性を高めることは、現象を結論づけること自体には必要ない。
    現象は現象のみで十分結論できる。
    それにハクをつけているのがメカニズムの理解。もちろん、新たな現象を見つけるステップとして使えるときはあるにせよ。

    ヒュームの問題
    1.aに曝露してbが起きた
    2.aに曝露してbが起きなかった
    3.aに曝露せずbが起きた
    4.aに曝露せずbが起きなかった

    日常、ボタンを押して電気がつけば因果を推定する我々が、1を見て、関係があるとも言えないけど、ないと考えるのはおかしい。

    とかなんとかだったけど、流し読みなので理解しきれてない。読みなおす。

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    2018年09月25日