岡本一郎のレビュー一覧
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Web側にいると、どうしても「マスメディア崩壊論」、「インターネット万能論」という論調を聞く機会が多いような気がしますが、この本の著者はそれを肯定していません。たしかに、既存4マスメディアの広告費は下がる一方ですが、その中で非常に客観的な論点からどう広告モデルを確立していったらよいかということを論じていて、インターネットとマスメディアの比較の方法が面白いなと思いました。
特に、テレビや新聞などのメディア・コンテンツビジネスは限られた“時間”を奪い合うということと、過去(の名作)と競合するビジネスであるという見方に興味を持ちました。時間は限られている中でコンテンツは増え続け、人口が減り、さらに過 -
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マスメディアの環境変化を解説した良本です。
TVはアテンションを売り、グーグルはインタレストを売る、というまとめ方は、その差をうまく表現しています。マスメディアは、アテンションビジネスを継続することができるのか、というのが本書のテーマになっています。
また、グーグルはコンテンツを整理することで「時間を供給している」のに対して、マスメディアはコンテンツを提供して「時間を消費している」という対比も成り立ちます。同じ広告モデルを指向するマスメディアとグーグルですが、その成立基盤は大きく違っているというのが分かります。
で、グーグルが出てくるのはこの辺りまでで、本題はマスメディアの将来につい -
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広告代理店出身で、現在はメディア関連の研究所を主宰している岡本氏の著作。インターネット、とりわけグーグルを筆頭にしたネットメディアの普及と、それに伴う四大メディアへの影響等につき、著者独自の視点から考察をしている。特にテレビの今後については非常に興味深い持論が展開されており、テレビコンテンツが消費者のタイムシフトと編集権のニーズに対応するかたちで部分的に消費されるようになるだろうという予測は非常に優れている。一方、マスメディア崩壊と民主主義の崩壊の関係性や、ネットにおける共感的メディアの欠如といった指摘は、必ずしもそうではないと思われた。いずれにせよ、今後のマスメディアの展開について多くのヒン
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「メディアの戦略が詰まった一冊」
・インタレスト(能動的な興味関心)ビジネスモデル←→アテンション
・マスメディアの売り上げはアテンションの数に比例する
・視聴者のニーズは、タイムシフト(好きなときに見たい)編成権(好きな部分だけみたい)
・プロダクトプレースメント=番組内で商品の紹介 これはコストが高くなる。
・一般週刊誌→ちょっとした時に読む物 だから携帯でのゲームやネットで喰われる
・雑誌にはモビリィティがある→すぐに読める しかし携帯ではモビリティも持ち合わせる
・週刊誌の速報は、ネットよりどうしても速報性が劣る
・その中でもビジネス誌は好調である
①ネットでは手に入らない情報がある -
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「テレビCM崩壊」「ネットに飲み込まれるテレビ」
「新聞の役割は終わった」「広告代理店は生き残れない」など、
マスメディアにおけるビジネスモデルの危機が喧伝されている。
実際、2007年にはインターネットの広告費が雑誌の広告費を
抜いた。
加えてテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体広告費が
いずれも前年割れしたのに対して、インターネットの広告費は
124.4%の伸びを示した。
このような状況で、既存のメディアはどうビジネスモデルを
変えればいいのか?
またインターネットを有効活用するには?
新進気鋭のコンサルタントが、その道筋を明確かつ具体的に
提示する。
専門用語が多くて読みに -
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53年前、我が国で一番人気のあった就職先は鉱山会社であった。
経営環境の大きな変化が、多くは30~40年周期で訪れる。
そんなつかみから始まり、メディアの変遷について非常に
わかりやすく解説した上で、この先の予測をするという流れ。
従来のメディア(ヤフーなどのインターネットビジネスも含む)は
アテンション・ビジネスであるのに対してグーグルは
インタレスト・ビジネスであり、購買までのステップが短く、
高い広告効率を保証できる。
コンテンツ・ビジネスは過去のストックとの競合である。
検索によって過去の名作と簡単に出会えるようになったことが
現代のコンテンツのクリエイターには厳しい状況になる原 -
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我々のビジネスパーソンとしての活動期間は40年程度です。ですから、40年たつと業界の人材は100%ターンオーバーし、しかもその間同じ状況が続けば編曲店を経験した人材はほとんど存在しなくなり、それが永遠に続くと考えてしまいがちです。しかし、多くの調査研究は、経営環境の大きな変化が通常 30~40年周期で訪れることを示唆しています。
世を長憫に思ひて打ち怠りつつ、先づ、差し当たりたる、目の前のことにのみ紛れて、月日を送れば、事々成す事なくして、身は老いぬ。兼好法師『徒然草』
テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4マスメディアのビジネスモデルの本質は、大衆の注目の卸売りです。英語でいうアテンションを集め -
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■ヤフーはアテンションのビジネスモデル
グーグルはインタレスト(能動)のビジネスモデル
AIDMAで、アテンションよりインタレストの方がより購買に近いため、
グーグルの方が広告効果が高くなる。
■検索が可能になり、従来のコンテンツが新たに生み出されるコンテンツの脅威となっている
■茶器でゲームの単位を変えた信長
■取引が煩雑になり普及しないプロダクトプレースメント
■LEONのターゲッティング戦略
■Wikipediaとブリタニカの正確性
■インターネットでは知のバリューチェーンが閉じてしまい、いずれ崩壊するだろう
■クリエイターに対価が払われない
■その人の情報のシェアにより、信頼度が変わる -
Posted by ブクログ
ネット登場以降のマスメディアの動向について、メディア=広告媒体としての考察。おおよそそのとおりと思えるし、私自身が会社説明会で(ウェブメディアに所属する視点から)話をしている内容と同一。しかしながら、新聞に関する項目については、楽観的すぎやしないかと思う。
確かに、新聞というメディアにも、今後発展していく余地は、可能性として多々残されているが、それを客観的になぞっていてもしかたがない。その客観的な戦略をとることができない最大の理由−−−新聞社の「感情論」にむちょっと踏み込まないと正確な推論にならないと思う。
そういう道が残っていても、感情的にそこを選択できないのが現在の大新聞社の姿であって -
Posted by ブクログ
マスメディアとYahoo!がアテンションを獲得するための広告ツールであるのに対し、Googleがインタレストを獲得する広告ツールであるため競争の土台が違うことおよび、アテンションの獲得を狙うマス広告は既にゼロサム的な全体の総量が広がらない状況に陥っていること既に多くの書が、そのトーンの好き嫌いは別として語っているがそれを冷静に整理している点は良い。
ただ、タイトルの『グーグルに勝つ広告モデル』が現在のテレビのみを対象として考察されており、違う提案を期待していた読書には物足りないと感じられる。
いまだにテレビがそれなりのパワーを維持していることはわかっているが、世の中の総PVが伸び悩んでいる現状