小川剛生のレビュー一覧

  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    実は今興味があって『徒然草』を細々と読んでいるのだが、その作者である兼好法師について知っておこうと思い買った本。
    しかし読んでみて仰天した。いつかのニュースか何かで、今の教科書では「吉田兼好」は使わずに「兼好法師」になっている、と見聞きしたのはうっすらと覚えていたんだけど、その理由はこれだったのか。...続きを読む
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    『徒然草』の作者・兼好法師の生涯を、同時代史料から多くの情報を抽き出すことで明らかにしていくという内容の本である。
    自分の知識では『徒然草』の作者は「吉田兼好」なのだが、読み始めるや否や(6ページめ!)、自分が知るその出自、経歴が捏造でデタラメであると断ぜられたことに度肝を抜かれた!
    捏造した張本人...続きを読む
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    中世和歌史が専門の国文学者による足利義満の評伝。当時の公家たちの日記をふんだんに引用して、足利義満と公家社会の関わりから義満の人物像を描き出している。義満といえば、「皇位簒奪」を企てようとした人物として、一般では思われているが(古くは、田中義成の研究やそのリバイバルとしての今谷明の研究など)、後半の...続きを読む
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
     「〇〇は捏造だった」とか「通説は間違いだらけ」という類の言説は、たいてい学問的な論証の手続きを踏まえていない場合が多く要注意だが、兼好(吉田兼好、卜部兼好)の出自・経歴に関する通説を全否定し、後世の吉田家による捏造を明らかにする本書に関しては、史料批判の方法に瑕疵はなく、研究史を完全に刷新する画期...続きを読む
  • 新版 徒然草 現代語訳付き
    「奥山に猫またといふものありて、人を食らふなる」という話がある。噂を恐れて臆病になり過ぎることを戒める話である。これは「夜更くるまで連歌して、ただひとり帰りける」時に起きた。このため、学生時代は夜遅くまで遊んで帰るから駄目であるという教訓話にも使われた。
  • 徒然草をよみなおす
    「徒然草」は昔から好きな随筆なので、ふと目に止まって読んでみた。遁世文学と捉えられることが多い徒然草だが、時代考証に基づくと兼行はそれほど隠居していたわけではなく、大いに俗世で活躍していたのだという。従来は「浮いている」と考えられることの多かった二三八段を再解釈したり、江戸時代以来と思われる八九段の...続きを読む
  • 徒然草をよみなおす
    たまたま書店で見かけた。徒然草全体の解説というより、いくつかのエピソードを取り上げて、全く未知の話を教えてくれる面白本。

    こんな話が面白かった。堀川太政大臣基具は息子が検非違使に着任したとき庁舎の唐櫃が古いので新しいものにしろと命じたら、職員に数百年も使用している価値あるものなので替えられないと言...続きを読む
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    巷間に流布する「吉田兼好」の出自・経歴を没後捏造されたものとし、同時代資料から丹念に情報を抽出することで、その実像へと迫る一冊。再構築されていく人物像も興味深いが、その背景となる当時の世相が面白い。
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    丁寧な論証で兼好法師についてのイメージを改めていただいた。
    「新書」のボリュームに上手くまとめられ、読後も充足感が残る。
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    兼好法師という人物が、実際にはどんな人だったのか。徒然草や歌集や手紙などから、その実相を現すように書かれています。また、帯にありますように、「吉田兼好」という名前で呼ばれるように何故なったのか。その真実も知ることができて、面白く読ませていただきました。肉親との手紙のやり取りから見えてくる社会的な立場...続きを読む
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    豊富な史料をもとに、「皇位簒奪」や「屈辱外交」といった従来のレッテルを排し、「公武に君臨した室町将軍」としての足利義満の等身大の全体像を丹念に描出している。
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    兼好法師なのか吉田兼好なのか、はたまた卜部兼好なのか、中学生のときから、わかったつもりになってスルーしていた問題であって、今頃このようなテーマが研究書になるのかと驚いた。あらためて、わかったつもりになってそのままになっている問題は多くあるのだなと実感した。私にとっては中世の時代じたいがあまり頭に入っ...続きを読む
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
     兼好は、なぜ「吉田」ではないのか。
     また、「世捨て人」としてとらえることの思い込み。
     
     どんな古典であっても、まだまだいくらでも新しい研究は可能であることを明示した一冊。
     
     
     
     
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    2015.7.19
    武家は公家の世界からつまはじきにされているものだと思っていました。朝廷を蹂躙したのではなく、行事・しきたりを通じて合一へ向けた動きの中で双方を支配していく巨人だったのですね
    簒奪説のほうが面白そうですが、その根拠になった事例が他愛もない話でした(残念)
    2020.8.8(再読45...続きを読む
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    義満といえば足利3代目で、南北朝統一を果たし、あの金閣寺をたて、明から日本国王に任じられた、という教科書的知識と、マンガ一休さんのややお調子者のキャラクターのイメージだったが、大人になって冷静に考えると数々の偉業を成し遂げた大政治家だろうと思いこの本を読んだ。 この本は京都における諸公卿との関わりが...続きを読む
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
     足利義満に関する最新の研究成果をまとめた、という事で。東アジア史的視点から見る足利義満というのが過大に評価されがちだが、本書は基礎史料を改めて読み直そうというところから出発している。
     史料から見えてくる足利義満像とは、朝議復興において「治天の君の代行者」としての役割を果たした忠臣としての側面と、...続きを読む
  • 徒然草をよみなおす
    無常や遁世というキーワードから離れ、新しく掘り起こした兼好像に基づいて、徒然草の特徴的な章段を読んでいく本。
    読み終わって気づいたのは、兼好の描いたイメージと徒然草を通読したときの自分のイメージが大きく異なっていたことだ。古典は読み方に気を付けないと、十分な情報量(真髄)を得ることができない。ただ、...続きを読む
  • 新版 徒然草 現代語訳付き
    家は夏の暮らしやすさを中心に考える。
    二本の矢を準備してはならない。1本目がおろそかになる。
    死は突然訪れるもの=生きている間に生を楽しむ、生きていることを感謝する
    生きている間の雑事以外の時間は、無益なことをして時間を無駄遣いしないこと。
    囲碁や双六を好んで日夜過ごす人は、悪事を犯している。
    鯉と...続きを読む
  • 徒然草をよみなおす
    徒然草と兼好法師
    徒然草自体を読んだこともないし、徒然なるままにで始まる1句しか知りません。
    兼好法師が生きた南北朝時代、今で言えば中間職の様な立場で上司である貴族のひとに仕え、決して気楽な立場には見えないけど、世間とつながることを疎かにしないからこそ、世の中を渡っていく術を徒然草の中に残して行くこ...続きを読む
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    兼好にまつわる伝記的事実を見なおし、新たな兼好像を提示している本です。

    兼好の名前が広く知られるようになったのは正徹の証言以来のことであり、風巻景次郎による研究もこの証言に依拠しています。しかし著者は、兼好が久我か徳大寺の諸大夫であったという証言には根拠が乏しいとしてこれをしりぞけ、一方で風巻が採...続きを読む