倉骨彰のレビュー一覧

  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    ネタバレ

    下巻読み終わりました。
    個人的には、下巻の方が上巻より面白かった。

    危険な事への対応と宗教や健康について、小規模社会と現代の西洋社会の違いについて説明しています。

    面白かったのは危険に対する建設的パラノイアと健康について。

    建設的パラノイアとは、ニューギニア人が、さほど危険では無い事について、被害妄想なくらいに心配するという行動から付けた作者の造語です。
    作者がニューギニア人と森に出かけ、野宿をするとき、大木の下で寝ようかと持ちかけたところ、木が倒れて死ぬかもしれないので、絶対に嫌だ、と断られたという。ニューギニア人は一年に100日、40年で4000日くらい野営をする。たとえ、1000回

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    2021年02月23日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    先史時代の社会を知ることで現代の社会を知る。個人的な参考になる話しも多かった。
    「なのである」を多用する和訳に違和感を感じた

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    2020年10月28日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    ダイアモンド博士の本業だったニューギニアでのフィールドワークを多く読ませてくれる。伝統的社会と比較することで、現代社会がどういうものか、我々が常識としている価値観がどういうものか、客観的に考えさせてくれる点が最も有意義な点となっている。ほんの数万年前までは誰しもがこういった生活を送っていたと想像させてくれる。
    伝統的社会では幼児が母親と一緒にいる時間が高割合との記述があったが、その後、祖父母や親戚などコミュニティで子育てして両親は食物採取に行ける、という記述もあり、内容的に混乱してしまった…

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    2020年08月14日
  • スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運

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    なかなか壮絶な内容。
    まず、人類の知能を圧倒的に上回る汎用知能である「スーパーインテリジェンス」は、様々なハードルはあるもののいずれ達成されることがほぼ確実であることについての詳細説明があり、これがものすごく面白かった。
    達成の手段として、著者は、人工知能の自己学習プログラム及びハードウェアの発展による(いくつかの技術的ブレークスルーが必要)マシンインテリジェンスの実現(どのように汎用知性を手に入れるかに関して現時点で保証できる確実なボーダーラインである「生物進化のシステム上での再現」は計算能力の観点で完全な実現は不可能であるが、例えば脳神経科学の発展に伴う技術的革命や発見によってこれよりショ

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    2019年11月14日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    今まで読んだダイアモンドの作品とは一線を画している様な気がする。

    この作者がずっと研究してきた伝統的社会との比較を通じて、現代社会への問題提起をしている。
    どれが正しいとか間違っているとかの判断を下そうというものではなく、哲学的な色が強いかな。
    恐らく晩年に達している作者は、自分の研究から得た考えを集大成的する意味合いで作ったと思う。それだけに作者の強い思いが伝わってくる。


    自分と他者とを区別する境界線から始まって、「平和と戦争」・「子育てと高齢者」についての考察が上巻の内容。
    作者のいうところの工業化社会に属している自分にとって、全く別の価値観(伝統的社会の価値観)を提示する

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    2019年07月24日
  • スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運

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    人類がスーパーインテリジェンス(以下AI)を利用するために解決すべき課題とは。

    いつか生まれるであろうAIを、当然のように従えられると考えている。そんな考え方は妄想でしかなく、AIが人類に従う必要性なんてないことを最初に理解する。そこで、AIコントロールについて、偏執的とも思ってしまうほどにあらゆる可能性を考慮する。

    あらゆる考慮を経てもなお、著者は、AIはそれを裏切る能力を身につけるだろうと結論する。
    人類は生き残れるのでしょうか。

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    2018年12月26日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    狩猟採取社会や首長部族社会などの伝統的社会と現代の国家的社会を比較する。狩猟採取社会は人間が現代のような社会を形作る以前の何万年と進化してきたものだ。その社会で採用されている風習は進化の波に洗われてきたものといえる。伝統的社会との比較による知見をこれからのわれわれの政策に生かすことを目的にしたという。

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    2018年10月20日
  • スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運

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    著者はシンギュラリティがいつかは到来するという考えを持っている。マシン・インテリジェンスが人間の知能を越えるのを前提に、人類は何を用意しないといけないのか、AIのコントロール方法などを考察する。ページ数が多く、とても読みやすいとは言えないが、最低限AI技術者は本書を読むべきだろう。AIは人類を滅ぼしかねない危険な存在にもなりえる。そうならないようにする方法を考察するのだが、そこは人類とAIの知恵比べにもなりかねず、悲観的な未来しか私には見えなかった。核兵器と同程度の危険性をAIが持ってしまうのではないかと、本書を読むとそんな心配までしてしまう。論文のような書籍であるが、AIに興味を持っている人

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    2018年07月09日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    「昨日までの世界—文明の源流と人類の未来(下)」(ジャレド・ダイアモンド:倉骨 彰 訳)を読んだ。ただ単に『伝統的社会—昨日までの世界』を美化するのではなく、今日の社会の抱える諸問題を解決するために学ぶべきところだけを学ぶべきであるという至極真っ当な趣旨でござった。読みやすいな。

    私のつい『昨日までの世界』にはPCもケータイも無く当然メールもLINEも無くて、通信手段といえば手紙か固定電話だけという状況だったので、女の子の家に電話するときには(誰が出るのかわからないものだからで)たまらなく緊張したものである。

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    2018年07月06日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    「銃・病原菌・鉄」では、人類の文明が発達したのかを説明した著者が文明化した社会と未開社会(この本では伝統的社会)を比較を論じたもの。
    前著が文明社会が伝統社会に対して優越していることを前提で書かれていたのに対して、この本では文明社会の抱える問題に対する解決策のヒントが伝統的社会にあるのではないかという視点で書かれている。上巻は紛争、育児、老人について、述べられている。

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    2017年04月08日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    下巻は 宗教・言語・健康

    全部の卵を1つのカゴには入れてはならないというリスク回避の教訓

    宗教学における機能主義的アプローチ
    宗教はある種の役割を担い、社会秩序を維持し、人々の不安を慰め、政治的服従を教える

    旧約聖書4分着
    善なる全知全能の神が存在するのであれば、なぜこの世に悪が起きるのか?

    超自然的な信念は、事実上すべての宗教に存在する

    他人にとっては信じがたい宗教的迷信を、時間や資源を投じて信じることが、どの宗教にも見られる特徴である

    人に癒しや希望を与えて、人生の意味について語る

    人は不幸な目に合えば会うほど、より信心深くなる。止める人々よりも貧しい人々が、止める地域より

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    2015年04月13日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    銃・病原菌・鉄 の作者 ジァレド・ダイアモンド の新作

    ニューギニアを調査し、文明の源流と人類の未来を考える

    子育て、高齢者への対応
    嬰児殺し、敬うか、遺棄するか、殺すか?


    伝統的戦争と国家戦争

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    2015年04月13日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    食料とセックスでは、どちらのほうがより重要であるか。この問いについての答えは、シリオノ族とわれわれ西洋人とではまったく逆である。シリオノ族は、とにかく食料が一番であり、セックスはしたいときにできることであり、空腹の埋め合わせにすぎない。われわれ西洋人にとって最大の関心事はセックスであり、食料は食べたいときに食べられるものであり、食べることは性的欲求不満の埋め合わせにすぎない。(下巻p.104)

    宗教に消滅する兆しがみられないのはなぜなのだろうか。それは、人間というものが、いまも昔も、事象の意味について模索しつづけているからかもしれない。われわれは、いまも昔も、人生の意味について模索しつづけて

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    2020年07月15日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    かなり内容の濃い本だった。筆者の基本的なスタンスとして、とことんまで事実を調べて、それと比較が出来る別の事象までも集めてきて、細かすぎるまでに徹底的に論理的に検証を進めている、ということが伝わってきて、どの話も、とても説得力が有る。
    扱っているトピックも、戦争や、子殺し、賠償、などどんな小さな村や社会にもあるような普遍的で、かつ生々しい、根源的な事柄を取り扱っていて、どれも人間の本性について考えさせられる興味深い内容ばかりだった。

    いかに自分が、自分の育ってきた世界の価値観に染まりきっているかということがよくわかる。
    世界には様々な価値観があって、その間に優劣はないし、どれが絶対的に正しい常

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    2020年07月15日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    ネタバレ

    さすがジャレド・ダイアモンド…と、唸らせる内容。
    伝統文化と近代文化の対比による、現代社会の問題点への指摘と対策、決してユートピアではない伝統文化の在り方を、滑らかな筆致で読ませる。下巻を読むのが楽しみ。

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    2015年02月01日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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     日本語は長母音と短母音を区別するが、英語は区別しない。「おばさん」と「おばーさん」は区別できない。

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    2014年02月22日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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     興味深かったのは、ニューギニアで交通事故を起こした場合の調停の部分。

     使用人として事故を起こした場合は会社が責を負い、すべて対応するのは当たり前ですが、報復殺人を避けるために代理人を置いてわずか5日程度で調停が終了する。代理人は被害者・加害者とは別の部族のものが行い、ほぼ1回の調停で賠償額(Sorry Money)を決め、報復殺人が行われないと確信した時点で被害者・加害者ともに葬式が行われた。もし個人で起こしてしまった場合には、加害者の村・親類縁者が賠償することになる。
     このような状態になっているのは、現代社会において事故など発生しても当事者同士がかかわることはまずないが、ニューギニア

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    2014年02月22日
  • 昨日までの世界(下)―文明の源流と人類の未来

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    人間社会のあらゆる側面を考察する目的ゆえに、
    語られる分野は多岐にわたり、
    興味を引く部分、さほどそうでもない部分、
    やや退屈な思いを感じる部分、
    正直に言うとあると思うが、
    飢えと過食の混在という伝統的な状況では、
    倹約遺伝子が有利に働き、
    それを有する人の生存の確率が高くなったが、
    飢餓を乗り切る大事な遺伝子が、
    食物供給過剰の現代において、
    高血圧、心血管疾患や糖尿病を拡大させているというお話は、
    大変面白く読ませてもらった。

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    2014年01月29日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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      ジャレド・ダイアモンド「昨日までの世界(原題:The World until Yesterday~What can we learn from Traditional Societies?)」の上巻を、やっと、本当にやっと読み終わる。
      この人の本は、「銃・病原菌・鉄」、「文明崩壊-滅亡と存続の命運を分けるもの」に続く三回目、それぞれ上下巻二冊で、どれも、もぉぉ~本当に分厚くて長い。小さい活字で頁にびっしりというのが定番だ。なぜこんなに長いのか? それは彼が実際に見聞きした事実を隠さずに克明に書こうとしているからだ、ということになるだろう。今回はインドネシアのニューギニア島でのフィールド

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    2014年01月24日
  • 昨日までの世界(上)―文明の源流と人類の未来

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    今回も膨大なページ数。
    「内容紹介からの引用」
    600 万年におよぶ人類の進化の歴史のなかで、国家が成立し、
    文字が出現したのはわずか5400 年前のことであり、
    狩猟採集社会が農耕社会に移行したのもわずか1 万 1000 年前のことである。
    長大な人類史から考えればこの時間はほんの一瞬にすぎない。
    では、それ以前の社会、つまり「昨日までの世界」の人類は何をしてきたのだろうか?
    領土問題、戦争、子育て、高齢者介護、宗教、多言語教育
    ……人類が数万年にわたり実践してきた問題解決法とは何か?

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    2014年01月16日