寺澤盾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界中の多様なEnglishesが垣間見えて、大変面白い。
イギリス英語と言ってもスコットランド、アイルランド、ウェールズをはじめ地域変種、階級ごとの変種がある。
どの人が植民したか、英語の音声変化のどの時期に植民したかでオーストラリア、カナダなどそれぞれ違う英語が話されている。
イギリスではprevent from -ingのfromが脱落し、多くの地域では付加疑問文は全部isn’t itや、,no?で済ませたりする。
まじか。あの文法のワークは何やったんや。
日本の英語教育は「正解の文法」に沿うことに重きが置かれすぎていないか。
文法の正しさは武器である。それは間違いない。だから、「正解の文法」を身につける場面と、「より多く、より効果的に気持ちや意見、考えを伝え合い、理解し合う」場面と、両方必要だなと思う。
と、そんな「日本の英語教育に一家言」は全く関係なく、今まで単に「アメリカ英語」「イギリス英語」としか認識できていなかったものが、「この発音が特徴的だな」「あれ、アメリカ英語だけどrを発音してないな」とか「ニュージーランドのこの地域だけスコットランド由来の発音らしい」と、解像度が圧倒的に変わる。これがこの本の面白かったところかなーと思う。 -
Posted by ブクログ
今や完全に国際語としての地位を確立し、15億人もの人に使われているという、英語。
しかし、もとは小さなブリテン島の一部で話されていた言葉に過ぎなかった。
紀元前1000年ごろからブリテン島に住み始めたケルト民族を傍へ押し退けて、ゲルマン民族の大移動によりゲルマン系の人々が住み着き、英語の歴史が始まった。それ以降、デーン人の侵略、キリスト教の伝来、ノルマン征服により、フランス語を話す王を戴くなど、さまざまな紆余曲折を経て今の英語があり、今も変化し続けている様子が描かれた「物語」。
大学時代、この本に出会えていたら…この本を起点に、参考文献をひもとき、英語史を学びたかった。とてもわかりやすく、英語という言語が歩んできた歴史が読み通せる本です。 -
Posted by ブクログ
非常に面白い本です。特にことばを分析的に考える人にはとても面白く読めます。「へぇ~」と思うことも多く,有益でありまた面白く読みました。(ちなみに私は言語学が専門の研究者です。ただ著者の寺澤さんの専門である英語史に関してはそれほど知識があるわけではありませんが,言語一般に関心がある一読者の感想とご理解ください。)
内容を大まかに言うと,英単語に関して時間を経るにつれて起こる意味変化に注目し,どのようなメカニズムでどのように意味の変化が生じるのかを解説しています。これによっていわゆる「多義語」が生まれます。基本となるメカニズムは「メタファー」と「メトニミー」と呼ばれるものが主で,これ以外に「誇張」や「皮肉」などが意味変化の契機となります。
メタファーとメトニミーに関しては、言語学の下位分野である意味論(特に認知意味論)と呼ばれる領域で入門レベルの概念として出てきます。簡単に言うと、メタファーは「例え」です。「目玉焼き」の「目玉」はその料理が目玉に似ているので例えた言い方ですから,「目玉焼き」の「目玉」はメタファーであると言われます。メトニミーは「置き換え」です。典型的には近くにあるものや密接に関係するもので置き換えて表現することで,例えばトイレを意味する「お手洗い」などは排泄という行為の後に行う,密接に関係する行為で,排泄行為をそれと関係する別の行為を意味する単語で置き換えることで表現します。(ちなみに,ここで出した「目玉焼き」や「お手洗い」の例は本書に載っているわけではなありません。本書はあくまで英語に関する本です。)
このようなことは英語でも多く起こります。上の例で「へぇ~,面白いじゃん」と思われた方は本書を面白く読めると思います。本書にはこのような例が満載です。また,上の例で分かるように,本書を読んでも英語力はつきません。しかし英語という言語,ひいては言語一般の意味に通底する意味変化のメカニズムに対して理解が深まるので,英語の単語(特に多義語)を学習する際に意味どうしの繋がりが見えやすくなり,覚えやすくなるのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
英語は国際的な場面で標準語的な扱いをされることが多い。日本では小学生から授業があり、英語以外の言語はたいていの場合は大学に行ってから授業に取り上げられる。ではその英語はどのような言語なのか。それを知るうえで本書の意味を中心とした説明は示唆に富んでいる。
言語の中でもっとも変化しにくいのは発音構造であり、基本語は維持されやすいという。その次が文法だという論に接したことがある。確かに日本語の特徴である子音・母音のご構成は近隣にはほとんどなく、日本語の特徴だ。
これに対して語彙は種類・意味ともに変化しやすいものとされている。古典を学習していれば分かるが、たとえば形容詞の意味などは現代とは異なるものが多く、また非常に多くの外来語が存在するのは自明である。
英語の場合は日本語より多くの言語融合の歴史がある。ブリテン島に達した様々な民族がその都度言語を変えてゆき、近隣の諸国から語を借用することで非常にダイナミックな変化の歴史があるらしい。チョーサーやシェークスピアの使った英語は現代英語とは文法も違うが意味の方が劇的に異なる。本書はその一部を分かりやすく示してくれている。
語の意味というものはどのように変化し、どう定着するのかという流れを知っていることは言語学習には必要だと感じた。本書でも指摘しているが、私は英語を学ぶとき単語帳で学び、単語カードを作って覚えたが、一つの語が一つの意味を持つわけではない。語が持つ意味のグラデーションのようなものを知っておく必要があると考えたのである。 -
Posted by ブクログ
世界中の英語の変種は,おおまかに言えばイギリス(アングロ・サクソン人)の歴史といえそうだ。いろいろな変種が生じるのは、一つにはアングロ・サクソン人の居住地の拡大ともに英語が”辺境”に広がり,現地の母語の影響を受けながら受容されるため。言語は時代とともに変化するものだが、植民活動による英語の広がりでは,植民が始まった頃の英語が保持されながら,固有の発展をしていく。このような状況なので、英語の変種が多数存在するのはよくわかる。我々が得意でない付加疑問文やthの発音などは、本家以外では標準から外れることが多いというのには,安心を覚えた。また二人称について,単数と複数で区別する傾向があり,複数のyouのためにyousのような語が,多くの変種で使われるのは面白い。以上は、主として話し言葉としての英語で、書き言葉の英語はもっと保守的で、標準からは大きく外れないという。これは,日本語の話し言葉と書き言葉でも同じことがいえるので,普遍性があるのかもしれない。各変種は今後どうなるのだろうか?ロマネスク言語のように発散するのだろうか。それともグローバル化が進む今日、収斂していくのだろうか。意志の疎通を主とすれば,話し英語は非母国語者による使用が増えて発散しそうだし、ビジネスや学術の場では米語を中心とした現在の書き言葉の英語が保持されるのだろうか。SNSはどのように影響するのだろう?AIによる自動翻訳の影響は?
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購入済み
英語の勉強をしていると「なんでこんな書き方するんだろう」とか「スペルと発音全然違うじゃん!」とか言いたくなること結構あると思いますが、それも英語が歩んできた歴史を遡れば腑に落ちる部分もあるかと思います。
後半では現代の英語が国際化しどんな変化が起こったのか、こちらも興味深く読めます。 -
Posted by ブクログ
普段使う何気ない単語にも深い語源や長い経緯があるのが面白い。無意識に使っているような言葉でも、よくよく考えてみると本来の意味とは全く違う使い方がなされているのは、メタファーや文脈による新しい意味づけがなされているから。
こういうのが理解できるようになると類推する力も身につきそう。実際に最終章でも書かれていた通り、受験勉強にありがちな「一語一義主義」には警鐘を鳴らしているくらいで、正しい文脈理解には単語の意味の転用パターンを知ることが大事だと述べられている。
本書は言語学的な文脈がメインなので、正直なところこれを読んでも英語力は全く上がらないと思うが、単語ごとのストーリーを知ることで、文章を咀嚼するように読むことができるのでおすすめ。 -
Posted by ブクログ
英単語の世界は複雑だ。何しろ、古代ギリシア語、ラテン語、ゲルマン語などいろいろな起源をもつ単語が幾重にも重なっている。そんな英単語の世界を多義語と意味変化から見るのが今回の本だ。
受験で良く単語と日本語の一対一で覚えるが、それが完全とは言えないのが言葉の怖さだ。著書では「妊娠する」の意味のpregnantが例に挙がっている。「意味深い、含蓄のある」と言った意味もある。
誰でも知っている単語の一つにbookがある。なんだと思う方もいるかもしれないが、意外な意味として「予約する」がある。簡単な単語だけに甘く見ているとやけどする。
その他にもいろいろ読んでいてフムフムと思うことがあった。多義語としてのyou、bottleが意味することなど。 -
Posted by ブクログ
父親に次いで二代に渉って東大文学部英文科教授となった寺澤盾の著作。
描かれるのは、波乱万丈の英語1500年史。
現在の英語を使用するのは15億人。
(世界人口は80億人なので、世界の2割の人が英語を利用していることになる)
ブリテン島には多くのインベーダーがあった。
ノルマン•コンクエスト(北欧)、ローマ人、フランス人のインベーダーから重大な影響を受けた。
多くの言葉の影響を受けて英語は形成されてゆく。
更に、植民地帝国を作ると、殖民地語を、貪欲に吸収していった。
英単語の発音の不思議さ、文法のおかしさの理由が歴史的経緯の中で明確に説明される。
英語を学んでいた時の疑問が氷解してゆく。
そして、思わざるを得ない。
1500年にわたって形成されてきた英語は、今後どのような変貌を遂げて行くのか、と。