あらすじ
5世紀半ば、ブリテン島の一部でのみ使われていた英語は、現在、15億人が使う国際言語へと成長した。英語は8世紀以降、北欧語、ラテン語、フランス語といった「侵入者」たちから、16世紀以降は英国人の海外進出に伴いアメリカ、アジアの言語から、語彙・綴り・文法など様々な影響を受けて創られてきた。本書は、現代英語を意識しながら1500年の歴史を概観し、近代英米社会で急変する姿とその未来を描くものである。
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Posted by ブクログ
英語がブリテン島でどのように生まれ、何の影響を受けてどう変化したのかが、文法・語彙・綴りなどから説明されている。1900年以降に新語として現れた、環境やコンピュータ、差別撤廃運動などにまつわる語彙や表現の話も面白かった。
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今や完全に国際語としての地位を確立し、15億人もの人に使われているという、英語。
しかし、もとは小さなブリテン島の一部で話されていた言葉に過ぎなかった。
紀元前1000年ごろからブリテン島に住み始めたケルト民族を傍へ押し退けて、ゲルマン民族の大移動によりゲルマン系の人々が住み着き、英語の歴史が始まった。それ以降、デーン人の侵略、キリスト教の伝来、ノルマン征服により、フランス語を話す王を戴くなど、さまざまな紆余曲折を経て今の英語があり、今も変化し続けている様子が描かれた「物語」。
大学時代、この本に出会えていたら…この本を起点に、参考文献をひもとき、英語史を学びたかった。とてもわかりやすく、英語という言語が歩んできた歴史が読み通せる本です。
Posted by ブクログ
英語は、古英語、中英語、前、後期の近代英語、そして現代英語といくつかにわかれるが、12世紀のノルマンディー公ウィリアムの征服と、16世紀のルネサンスの二つは転換期となった。前者はフランス語由来の英語が、後者はギリシア語とラテン語由来の英語が増加した。その後、植民地時代を通して各地域の言葉の影響を受けて、新たな語彙が誕生した。現在、リンガフランカである英語は今後も使用され続けるだろうが、超大国アメリカに対する反感から、反英語が強まる可能性が高まると著者は推測する。
英語の勉強をしていると「なんでこんな書き方するんだろう」とか「スペルと発音全然違うじゃん!」とか言いたくなること結構あると思いますが、それも英語が歩んできた歴史を遡れば腑に落ちる部分もあるかと思います。
後半では現代の英語が国際化しどんな変化が起こったのか、こちらも興味深く読めます。
Posted by ブクログ
英語の歴史だけでなく、現代の英語の発展や多様化について多く触れていたのが興味深かった。今日、様々な地域・人々によって英語が話され、変化も大きい。英語を学ぶものとしてどのように捉え、判断していくかということも大切だなと思った。
Posted by ブクログ
なぜ英語の綴りと発音にはずれがあるのだろう?
なぜ疑問文にも、否定文にもdoが出てくるのだろう?
こういった疑問に答えが出る。
ヨーロッパ語の中に置くと、やっぱり英語って不思議。
格変化はどうしてなくなってしまったんだろう?
最近の動向もカバーしていて、こちらも興味深い。
everyoneを受ける代名詞が、近年they系の複数形に変わってきた背景に、フェミニズムの主張があったとは。
Posted by ブクログ
特に知りたかった格変化が消失していく過程とそれにともなう変化についてはほとんど触れられていなかったので少し落胆。内容自体は興味深いものばかりだし、読みやすいよう上手く書かれている。2008年初版と新しいのも長所のひとつ。新書でこれだけの内容、読むべき。
Posted by ブクログ
歴史が言葉に大きな影響を与えている、というのがよくわかる。圧倒的に英国系の英語が使われている地域が多いということも納得。一番最初に入った日本語が公家、坊主っていうのが笑える。The Adventure of Englishは読んでみたいが。読めるのか??
Posted by ブクログ
英語の歴史を概観するとともに、現代の英語の変遷にまでページを割いている。
なので、「英語の変遷」なんて昔の話、ではなく、現在にすら通じるというのが改めてよくわかる。
さらに、他言語からの借用、つづりの変化、発音の変化、英米語の違い、ピジン英語、
などさまざまな角度から考察されているため、
包括的な知識が得られる。
もちろん文庫なのであまり詳細な内容へは立ち入りません。
読むために専門知識はなくても大丈夫でしょう。
さらに興味深い分野へは巻末の文献案内から足を伸ばしていきたい。
Posted by ブクログ
父親に次いで二代に渉って東大文学部英文科教授となった寺澤盾の著作。
描かれるのは、波乱万丈の英語1500年史。
現在の英語を使用するのは15億人。
(世界人口は80億人なので、世界の2割の人が英語を利用していることになる)
ブリテン島には多くのインベーダーがあった。
ノルマン•コンクエスト(北欧)、ローマ人、フランス人のインベーダーから重大な影響を受けた。
多くの言葉の影響を受けて英語は形成されてゆく。
更に、植民地帝国を作ると、殖民地語を、貪欲に吸収していった。
英単語の発音の不思議さ、文法のおかしさの理由が歴史的経緯の中で明確に説明される。
英語を学んでいた時の疑問が氷解してゆく。
そして、思わざるを得ない。
1500年にわたって形成されてきた英語は、今後どのような変貌を遂げて行くのか、と。
Posted by ブクログ
現代にいたるまでの英語の歴史のなかから、多くの読者の関心を惹くさまざまなトピックを紹介している本です。
本書は英語史の入門書であり、発音や語彙、文法の変遷についてもある程度触れられていますが、英語史をあつかったほかの本にくらべると、とりあげられている内容はかなり限定されています。その一方で、二十世紀以降の急速な世界情勢の変化によって英語にもたらされた影響について、さまざまな事例をあげて説明がなされています。具体的には、ポリティカル・コレクトネスにもとづくあらたな語彙の誕生などにかんする解説などがふくまれています。さらに、グローバル化の進む現代において今後の英語にもたらされる変化についても、簡潔ではあるものの展望が試みられています。
英語史そのものに関心のある読者だけでなく、英語を学ぶ多くのひとにとって興味深い内容になっているように感じました。
Posted by ブクログ
日本人なら誰もが学校で英語を勉強するけど、英語に関する疑問はスルーしていることが多いと思います。なぜ人称代名詞だけがyou,your,you,yoursと格変化するのか(そもそも格って何だろうか)、なぜsea,marine,oceanなど似たような意味で全然違う単語が多いのか、なぜnameをナーメではなくネイムと読むのか…日本語とは全然違う言語である以上、まずは「そういうもの」として学ぶしかないのですが、英語の歴史をひもとくと、そのあたりも分かってきます。
ブリテン島に渡来したアングル人の言語に、キリスト教(ラテン語)やヴァイキング(故ノルド語)が混ざって古英語ができる。ノルマン公がイングランド王になることで、フランス語が混ざって中英語ができる。多様な人々の交わりの中で、文法は簡素化され、様々な出自の似たような語彙が併存することになります。もちろん外来の影響だけでなく英語内部でも変化は起きていて、大母音推移で発音が変ってしまいます。
歴史の中で他言語と混ざり合い変化してきた英語が、ブリテン島から世界に広がった後にどう変化するのか。6章は現代の話で、やや「英語の歴史」から外れるような感もありますが、英語の変化という視点を著者は大事にしているということなのでしょう。日本語は語彙さえ覚えれば千年前の文章でも読めますが、英語は同じ千年で激変する、その違いを楽しむ視点が得られたように思います。
Posted by ブクログ
いまや国際言語としての地位を確立した英語。
その英語が古代から現代に至るまで、どのように変遷を遂げていったのかを追う。
世界史の知識があったほうが理解が進むと思った。
Posted by ブクログ
わかりやすく説明されている本ではあるがコラムや図の入り方が読みづらい箇所がいくつかあった。表などももう少しわかりやすくできたのではないだろうか。でもとても丁寧な
書き方で中級編かな?
Posted by ブクログ
現代英語の視点から英語の歴史を主に語彙や形態の面を中心に振り返るもの。その中でも特に20世紀以降の英語、国際語としての英語などの社会言語学的側面に重点が置かれている点が特徴的と言える。特に第6章「現代の英語」、終章「英語の未来」は、英語を知る上では欠かせないスタンダードな内容ながらもなかなかこれまでの新書で扱われていない部分であると思う。また、グリムの法則、ケニング、大母音推移、文法化、逆成、混成語、総合的・分析的、意味の下落などの言語学の専門用語が多数出てくるので、復習にも使えると思う。最後の文献案内も非常に役に立つ。(09/12/28)