寺澤盾のレビュー一覧
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今や完全に国際語としての地位を確立し、15億人もの人に使われているという、英語。
しかし、もとは小さなブリテン島の一部で話されていた言葉に過ぎなかった。
紀元前1000年ごろからブリテン島に住み始めたケルト民族を傍へ押し退けて、ゲルマン民族の大移動によりゲルマン系の人々が住み着き、英語の歴史が始まった。それ以降、デーン人の侵略、キリスト教の伝来、ノルマン征服により、フランス語を話す王を戴くなど、さまざまな紆余曲折を経て今の英語があり、今も変化し続けている様子が描かれた「物語」。
大学時代、この本に出会えていたら…この本を起点に、参考文献をひもとき、英語史を学びたかった。とてもわかりやすく、英語 -
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非常に面白い本です。特にことばを分析的に考える人にはとても面白く読めます。「へぇ~」と思うことも多く,有益でありまた面白く読みました。(ちなみに私は言語学が専門の研究者です。ただ著者の寺澤さんの専門である英語史に関してはそれほど知識があるわけではありませんが,言語一般に関心がある一読者の感想とご理解ください。)
内容を大まかに言うと,英単語に関して時間を経るにつれて起こる意味変化に注目し,どのようなメカニズムでどのように意味の変化が生じるのかを解説しています。これによっていわゆる「多義語」が生まれます。基本となるメカニズムは「メタファー」と「メトニミー」と呼ばれるものが主で,これ以外に「 -
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英語の勉強をしていると「なんでこんな書き方するんだろう」とか「スペルと発音全然違うじゃん!」とか言いたくなること結構あると思いますが、それも英語が歩んできた歴史を遡れば腑に落ちる部分もあるかと思います。
後半では現代の英語が国際化しどんな変化が起こったのか、こちらも興味深く読めます。 -
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普段使う何気ない単語にも深い語源や長い経緯があるのが面白い。無意識に使っているような言葉でも、よくよく考えてみると本来の意味とは全く違う使い方がなされているのは、メタファーや文脈による新しい意味づけがなされているから。
こういうのが理解できるようになると類推する力も身につきそう。実際に最終章でも書かれていた通り、受験勉強にありがちな「一語一義主義」には警鐘を鳴らしているくらいで、正しい文脈理解には単語の意味の転用パターンを知ることが大事だと述べられている。
本書は言語学的な文脈がメインなので、正直なところこれを読んでも英語力は全く上がらないと思うが、単語ごとのストーリーを知ることで、文章を -
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英単語の世界は複雑だ。何しろ、古代ギリシア語、ラテン語、ゲルマン語などいろいろな起源をもつ単語が幾重にも重なっている。そんな英単語の世界を多義語と意味変化から見るのが今回の本だ。
受験で良く単語と日本語の一対一で覚えるが、それが完全とは言えないのが言葉の怖さだ。著書では「妊娠する」の意味のpregnantが例に挙がっている。「意味深い、含蓄のある」と言った意味もある。
誰でも知っている単語の一つにbookがある。なんだと思う方もいるかもしれないが、意外な意味として「予約する」がある。簡単な単語だけに甘く見ているとやけどする。
その他にもいろいろ読んでいてフムフムと思 -
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父親に次いで二代に渉って東大文学部英文科教授となった寺澤盾の著作。
描かれるのは、波乱万丈の英語1500年史。
現在の英語を使用するのは15億人。
(世界人口は80億人なので、世界の2割の人が英語を利用していることになる)
ブリテン島には多くのインベーダーがあった。
ノルマン•コンクエスト(北欧)、ローマ人、フランス人のインベーダーから重大な影響を受けた。
多くの言葉の影響を受けて英語は形成されてゆく。
更に、植民地帝国を作ると、殖民地語を、貪欲に吸収していった。
英単語の発音の不思議さ、文法のおかしさの理由が歴史的経緯の中で明確に説明される。
英語を学んでいた時の疑問が氷解してゆく。
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現代にいたるまでの英語の歴史のなかから、多くの読者の関心を惹くさまざまなトピックを紹介している本です。
本書は英語史の入門書であり、発音や語彙、文法の変遷についてもある程度触れられていますが、英語史をあつかったほかの本にくらべると、とりあげられている内容はかなり限定されています。その一方で、二十世紀以降の急速な世界情勢の変化によって英語にもたらされた影響について、さまざまな事例をあげて説明がなされています。具体的には、ポリティカル・コレクトネスにもとづくあらたな語彙の誕生などにかんする解説などがふくまれています。さらに、グローバル化の進む現代において今後の英語にもたらされる変化についても、簡 -
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日本人なら誰もが学校で英語を勉強するけど、英語に関する疑問はスルーしていることが多いと思います。なぜ人称代名詞だけがyou,your,you,yoursと格変化するのか(そもそも格って何だろうか)、なぜsea,marine,oceanなど似たような意味で全然違う単語が多いのか、なぜnameをナーメではなくネイムと読むのか…日本語とは全然違う言語である以上、まずは「そういうもの」として学ぶしかないのですが、英語の歴史をひもとくと、そのあたりも分かってきます。
ブリテン島に渡来したアングル人の言語に、キリスト教(ラテン語)やヴァイキング(故ノルド語)が混ざって古英語ができる。ノルマン公がイングラ