山室寛之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024年の本です。
その20年前である2004年は「球界再編」があった
年として永く記憶されている年です。
オリックスが近鉄と合併、選手会による史上初の
ストライキ、そしてダイエーが買収されソフト
バンクへと変わりました。
当時のパリーグはどの球団も赤字経営に苦しんで
いて、西武やオリックスさえも赤字が改善される
のであれば球界再編は歓迎であったそうです。
そして20年後、交流戦の様なセリーグとパリーグ
の歩み寄りはあったものの、今やパリーグは独自
にファンを集め、地域に根ざした球団として人気
を得ています。
「大人の事情」が罷り通った2004年とは、どんな
年であったのか。
20年の時を経て明かされる内幕が詰まった一冊です。 -
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故近鉄ファンとして興味深く読んだ。なぜ南海、阪急が身売りをしたのか、交渉の過程を丁寧に解きほぐしている。西鉄が去った後の福岡市の官民挙げての誘致、ロッテの買収を探っていたダイエーの中内オーナー、ロッテが千葉移転を決め、関西国際空港での再開発で、大阪球場を失う南海がその話に乗ったこと、宮古島での異業種交流会で生まれた阪急からオリックスへの身売りなど。知らないエピソードが多かった。
元読売新聞記者らしく、南海の吉村オーナー宅に連日新聞記者が押しかけた様子や、身売りに当たって3条件を提示したスクープをなぜ読売新聞が書けたか、事細かに書いている。川崎球場で近鉄がロッテを相手に死力を尽くしたダブルヘッダーをしている10月19日17時、阪急の身売り会見が発表される。阪急の上田監督は「シーズンの優勝を決める試合をやっている時に、こういう球団身売りの記者会見をやらなきゃならない」と近鉄や西武、パリーグファンに謝罪し、涙したという。この本で初めて知ったが、上田は日本シリーズを戦う1972年、阪急のヘッドコーチ時代に身売り話に巻き込まれたことがあったという。西鉄が解散、東映が身売りして、パリーグの解体だという報道が出て、浮き足立った阪急が巨人に破れた。上田の涙にはそうした苦い経験があった。
近鉄とロッテの10・19については、中継したテレ朝やニュースステーションの視点から書いてあり、NS史上、歴代3位の視聴率を稼いだこと、パリーグからテレ朝に感謝状が贈られたことなどが面白かった。今よりずっと野球人気が高く、でも巨人やセリーグに偏重して、パリーグが日陰だった時代。そんな時代が変わるきっかけとなったのが、関西電鉄2球団の身売りであり、1988年という年だったのだと再確認させられた。 -
Posted by ブクログ
1988年と聞くとやはり反応してしまう、パ・リーグ者としては。
テレビ朝日が「ニュースステーション」の中で放送を続けた伝説の10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合だけでなく、阪急の身売り、そして南海の身売りと福岡への移転。なんでこんなことが同じ年に起きるのかと、興奮し、胸を痛めたことは今もよく覚えている。
本書で印象に残ったのは、伝説のダブルヘッダーではなく、二球団の身売りに関する章。周到に準備され、練りに練られた戦略で進められた買収劇。ひとつタイミングが違っていたら、福岡移転を果たしたのは別の球団かもしれなかったという事実。企業買収に関するビジネス本を読んでいるような錯覚に陥り、あれは紛れもなく昭和最後の大事件だった、という思いがよみがえる。嗚呼、それにしても阪急身売りの発表が10.19だったのはなんとも残念すぎる。 -
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1988年のパ・リーグ。近鉄涙の10·19と南海、阪急の身売り。セパの格差がピークだった頃。ニュースステーションで異例の生中継。今にして覚えばパ・リーグ再生の萌芽となった1年。
プロ野球の球団保有チームは経済情勢を表している。地域密着の電鉄会社から流通のダイエー、リーサのオリックス。今ではネット社会の流れからソフトバンクと楽天というように。
関西に集中していたパ・リーグ球団は日ハムの本拠地移転もあり今は札幌、仙台、千葉、所沢、神戸、福岡と地元密着型でファンの心を掴む。DH制などの影響もあってか実力でも人気でもセ・リーグに引けを取らない。
水面下の球団買収交渉とシーズン最終盤での近鉄と西武の優勝争い。パ・リーグの歴史の変換点となった1年を追った傑作。
ただし10·19の試合より買収交渉に多く紙面を割いているので、期待し過ぎない方が良い。 -
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南海ホークスはダイエーへ、阪急ブレーブスはオリックスへそれぞれ譲渡された。10月19日、仰木監督率いる近鉄はシーズン最終戦で優勝に挑み、勝つことはかなわなかった。どれも昭和の最後の年、1988年に起こったことだ。
本書は、日本プロ野球パ・リーグにとって盆と正月が一緒に来たような1988年のドキュメント。語り尽くされた伝説の試合「10・19」はともかく、2つの球団買収劇が同時進行するのはスリリングだ。ダイエーと南海、オリックスと阪急の当事者は互いを知らずに交渉を続け、時に間接的に影響が及ぶこともあれば、福岡県やロッテ球団までもが絡み合うこともある。しかも、球団買収が同年だったことは偶然ではなかった。
そんな濃密な年を経て、時代は平成となるが、プロ野球パ・リーグにおける球団買収、移転の流れは止まらない。そして、観客動員数や売上、実力においてもセ・リーグをしのぐことになる。
1988年はパ・リーグにとって大きな起点だった。 -
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今から20年前の2004年、プロ野球は大きな転換点を迎えました。6月、近鉄とオリックスが合併を構想していることが公けになります。直後、堀江貴文氏のライブドアが近鉄球団を購入したいと表明。7月に西武 堤義明氏が「もう一組の合併が進行中」と発表。にわかに10球団1リーグ構想まで浮上しました。その中で、選手会がオーナーと話がしたいと表明した時、巨人オーナー渡辺恒夫氏が「たかが選手が」との発言、にわかに選手会=善、オーナー=悪との論調が拡がります。そしてついに9月選手会による史上初のスト。ストを終える協議の後、ロッテ瀬戸山氏から求められた握手に、それを拒んだ古田氏の映像も印象的でした。そしてライブドアの参入検討中に、にわかに浮上した楽天の新規参入。そしてそれらと並行してダイエーがソフトバンクに身売りを発表、と僅か6か月の間に、プロ野球が消滅してしまうのではないかと思えるほどの大きなうねりがありました。
本書は、当時の関係者(特にオーナーや球団社長)に、当時の発言や関係者との話し合いを時系列を追って、上記の複雑な事態の推移がいかに進んでいったのかを辿るノンフィクションです。プロ野球を題材にしたノンフィクションですが、球界再編が主題なので、プレーする選手や試合を掘り下げるのではなく、あくまでも各球団フロントがどう動いたのか、を克明に描いています。
当時、新聞やテレビのニュースで、関係者の証言の一部しか報道されない状況で、本当はどういう思惑が蠢いたのか、本書が明らかにしています。改めて当時の球界が、良くも悪くも巨人=渡辺恒雄氏 にいかに依存していたのか再認識できました。著者は特定の個人や団体の立場に肩入れせず、あくまでニュートラルな立場で当時の状況を追っているので、当時の状況を知る貴重な資料として読めるノンフィクションだと感じました。 -
Posted by ブクログ
1988年、32年前、自分は中学校2年生
何かぼんやりとニュースの中でやっていた近鉄対ロッテの試合を覚えています。
それが、この年のパリーグ、またはプロ野球界で起こった激動の一つの幕だった
ということをこの本を読んで理解できました。
南海からダイエーへ
阪急からオリックスへ
ロッテの千葉への移転の動きもでき
地方にフランチャイズの目を向けたパリーグの動きは
今のセパ人気、実力ともに逆転した伏線だったようにも思いました。
色々な身売りの細かい話の積み重ねから
最後はドバっと近鉄対ロッテの手に汗握るルポ。
野球好きにはたまらない物語構成で、おもしろいです。 -
Posted by ブクログ
1988年のパリーグと言えば、10.19の川崎球場でのロッテ-近鉄のダブルヘッダーを思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、南海ホークスがダイエーに買収され本拠地を福岡に移すという大きな動き、そして阪急ブレーブスがオリックスに買収されるという事態が発覚したのも実は1988年の秋だったのです。
本書のタイトルを見ると、ロッテ-近鉄のダブルヘッダーを主題とした本のように思えますが、本書の大部分は南海ホークスと阪急ブレーブスの2球団の買収がどのように水面下で進められたのかを描いています。
マスコミに絶対に知られないように極秘に交渉を進めて行く過程を、当時交渉の当事者であった多くの人への直接取材で明らにして行きます。実はダイエーが当初買収を働きかけていたのがロッテだったという事実は本書を読んで初めて知りました。
そして本書の最後はロッテ-近鉄のダブルヘッダーの舞台裏にも触れています。当時のロッテ有藤監督がなぜあの試合の勝利に執着したのか、あの試合の球審を務めた方の興味深い証言、野球中継を拡大し、ニュースステーションで急遽放映することを決定したテレビ局の舞台裏など、興味深い事実を詳細に描いています。
私は当時高校生で、あの試合はテレビに釘付けになった記憶もありますし、南海ホークス、阪急ブレーブスという関西の伝統ある2球団が一挙に消滅するというニュースに驚いた記憶がよみがえりました。