山室寛之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
故近鉄ファンとして興味深く読んだ。なぜ南海、阪急が身売りをしたのか、交渉の過程を丁寧に解きほぐしている。西鉄が去った後の福岡市の官民挙げての誘致、ロッテの買収を探っていたダイエーの中内オーナー、ロッテが千葉移転を決め、関西国際空港での再開発で、大阪球場を失う南海がその話に乗ったこと、宮古島での異業種交流会で生まれた阪急からオリックスへの身売りなど。知らないエピソードが多かった。
元読売新聞記者らしく、南海の吉村オーナー宅に連日新聞記者が押しかけた様子や、身売りに当たって3条件を提示したスクープをなぜ読売新聞が書けたか、事細かに書いている。川崎球場で近鉄がロッテを相手に死力を尽くしたダブルヘッ -
Posted by ブクログ
1988年と聞くとやはり反応してしまう、パ・リーグ者としては。
テレビ朝日が「ニュースステーション」の中で放送を続けた伝説の10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合だけでなく、阪急の身売り、そして南海の身売りと福岡への移転。なんでこんなことが同じ年に起きるのかと、興奮し、胸を痛めたことは今もよく覚えている。
本書で印象に残ったのは、伝説のダブルヘッダーではなく、二球団の身売りに関する章。周到に準備され、練りに練られた戦略で進められた買収劇。ひとつタイミングが違っていたら、福岡移転を果たしたのは別の球団かもしれなかったという事実。企業買収に関するビジネス本を読んでいるような錯覚に陥り、あ -
Posted by ブクログ
1988年のパ・リーグ。近鉄涙の10·19と南海、阪急の身売り。セパの格差がピークだった頃。ニュースステーションで異例の生中継。今にして覚えばパ・リーグ再生の萌芽となった1年。
プロ野球の球団保有チームは経済情勢を表している。地域密着の電鉄会社から流通のダイエー、リーサのオリックス。今ではネット社会の流れからソフトバンクと楽天というように。
関西に集中していたパ・リーグ球団は日ハムの本拠地移転もあり今は札幌、仙台、千葉、所沢、神戸、福岡と地元密着型でファンの心を掴む。DH制などの影響もあってか実力でも人気でもセ・リーグに引けを取らない。
水面下の球団買収交渉とシーズン最終盤での近鉄と西武 -
Posted by ブクログ
南海ホークスはダイエーへ、阪急ブレーブスはオリックスへそれぞれ譲渡された。10月19日、仰木監督率いる近鉄はシーズン最終戦で優勝に挑み、勝つことはかなわなかった。どれも昭和の最後の年、1988年に起こったことだ。
本書は、日本プロ野球パ・リーグにとって盆と正月が一緒に来たような1988年のドキュメント。語り尽くされた伝説の試合「10・19」はともかく、2つの球団買収劇が同時進行するのはスリリングだ。ダイエーと南海、オリックスと阪急の当事者は互いを知らずに交渉を続け、時に間接的に影響が及ぶこともあれば、福岡県やロッテ球団までもが絡み合うこともある。しかも、球団買収が同年だったことは偶然ではなか -
Posted by ブクログ
今から20年前の2004年、プロ野球は大きな転換点を迎えました。6月、近鉄とオリックスが合併を構想していることが公けになります。直後、堀江貴文氏のライブドアが近鉄球団を購入したいと表明。7月に西武 堤義明氏が「もう一組の合併が進行中」と発表。にわかに10球団1リーグ構想まで浮上しました。その中で、選手会がオーナーと話がしたいと表明した時、巨人オーナー渡辺恒夫氏が「たかが選手が」との発言、にわかに選手会=善、オーナー=悪との論調が拡がります。そしてついに9月選手会による史上初のスト。ストを終える協議の後、ロッテ瀬戸山氏から求められた握手に、それを拒んだ古田氏の映像も印象的でした。そしてライブドア
-
Posted by ブクログ
1988年、32年前、自分は中学校2年生
何かぼんやりとニュースの中でやっていた近鉄対ロッテの試合を覚えています。
それが、この年のパリーグ、またはプロ野球界で起こった激動の一つの幕だった
ということをこの本を読んで理解できました。
南海からダイエーへ
阪急からオリックスへ
ロッテの千葉への移転の動きもでき
地方にフランチャイズの目を向けたパリーグの動きは
今のセパ人気、実力ともに逆転した伏線だったようにも思いました。
色々な身売りの細かい話の積み重ねから
最後はドバっと近鉄対ロッテの手に汗握るルポ。
野球好きにはたまらない物語構成で、おもしろいです。 -
Posted by ブクログ
1988年のパリーグと言えば、10.19の川崎球場でのロッテ-近鉄のダブルヘッダーを思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、南海ホークスがダイエーに買収され本拠地を福岡に移すという大きな動き、そして阪急ブレーブスがオリックスに買収されるという事態が発覚したのも実は1988年の秋だったのです。
本書のタイトルを見ると、ロッテ-近鉄のダブルヘッダーを主題とした本のように思えますが、本書の大部分は南海ホークスと阪急ブレーブスの2球団の買収がどのように水面下で進められたのかを描いています。
マスコミに絶対に知られないように極秘に交渉を進めて行く過程を、当時交渉の当事者であった多くの人への直接取 -
Posted by ブクログ
1988年当時のパ・リーグの状況がよく分かって、面白かった。
特に10.19のロッテ対近鉄Wヘッダーは川崎球場に見に行ってたので、色々と感慨深かった。
以下、気になった点。
○球団買収について
・最初、身売りを検討してたのは南海でも阪急でもなくロッテだった。
・先に南海球団買収に動いたのはダイエーだったけど、もし逆だったらダイエーは神戸に本拠地があので、阪急の方を買収してた。
○10.19ロッテ対近鉄当日について
・阪急身売りの話は当日17時で、近鉄選手も試合終わるまで知らなかった。
・有藤監督の抗議は、とにかく試合を早く進めたい仰木監督に対する反発心だった。
ちなみに本人はロッテの選 -
Posted by ブクログ
1988年10月19日夜10時過ぎ、僕はニュースステーションに釘付けだった。ロッテ対近鉄のダブルヘッダーの第2戦、近鉄が勝てば優勝というゲーム。このシーズンの後半からこの日のダブルヘッダー第1戦、そして第2戦の10回表までの長い長い奇跡の物語を締めくくる残酷な結末に、釘付けだった。そのことは、今でも覚えている。
その年、阪急ブレーブスと南海ホークスが身売りした。そしてそのことは、全く記憶に残っていなかった。30年前の、まだパ・リーグがセ・リーグの後塵を拝していた頃の、物語。
この年のこの身売りが今のパ・リーグの隆盛の遠因となった。いろんな意味で「奇跡」の年、の舞台裏をたくさんの関係者の