齋藤希史のレビュー一覧

  • 漢文の語法

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    漢文の語法
    著:西田 太一郎
    著:齋藤 希史
    解説:齋藤 希史
    角川ソフィア文庫 E202-1

    もともと辞書であったとのこと、短文がならんでいて、訳がついている
    古代中国語の文法書であり、それなりの文法と用例が全編にわたって綴られている

    それだけではなく、その用例は、史記の項羽本紀、論語の各編等からとらえている

    漢文の教科書の延長線と紹介されるだけあって、司馬遷が100年もたっていない中国各地に取材した、楚漢戦争の迫力はすさまじい。絶対絶命の鴻門之会や、項羽の圧倒的強さ、そして、垓下での四面楚歌。
    史記はもともと、日本で全編を統一的に扱ったものは少なく、 原文読めるのも珍しい。

    まあ、

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    2025年03月14日
  • 漢文脈と近代日本

    匿名

    購入済み

    非常に面白かった。漢文脈が江戸後期から明治期にかけてどのような位置付けを与えられ、その中から新たな文体としての訓読体がどのように支持を得ていったのか。
    漢文を学ぶということはかつては漢文の読み方を学ぶだけでなくその背後にある中国的な世界観や価値観を学ぶことでもあって、またそれだけが普遍として考えられていました。明治以降そういった漢文の世界観が権威を喪失していく中で、そういった価値規範体系としてというより西洋への対抗原理としての東洋の代表として援用されるようになるまでを描きます。
    漢文というとなんとなく身近なようで、その世界観は現代においては全体像を失い断片化されてしまっています。

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    2024年08月17日
  • 漢文脈と近代日本

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    以前から読みたくてならなかった本。
    この度文庫での再版となり、めでたく入手。
    今年の読み終わりがこの本でよかった。

    さて、本書は、日本の近代に、漢文的なるものが果たした役割を明晰に描き出している。
    そのアウトラインを、ここで再現してみようか。
    それほど明晰に図式が描けるのだ。

    漢詩漢文に対して、朱子学の官学化に伴い、漢文訓読文が広がる素地が準備される。
    規範的な訓読法が全国の学習者に広まっていくからだ。
    この訓読文は、やがて明治新政府の法律や政治のことば、西洋から入ってくる新しい学問を翻訳することばとなる。
    訓読文が公的なもの、実利性と結びつくようになった反動で、漢詩文が閑雅や感傷の器とし

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    2016年12月30日
  • 漢文脈と近代日本

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    文体が思考の枠組みを形作るという視点に立って、近代日本の漢文脈テキストの文体の変容から、時代人の思考の枠組みの変化の関係をとらえようとする本。多少長かったものの、面白かった。

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    2015年08月08日
  • 漢文脈と近代日本

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    ・ 明治の所謂文豪に関して何となく思つてゐること、それは漢文の素養があるといふことである。具体的に説明できないまでも、その作品から漠然と漢文の素養と 言つたり思つたりしてきた。私にはまともにそれが説明できないのである。ところが、これを具体的に説明してゐる書があつた。斎藤稀史「漢文脈と近代日本」(角川文庫)で ある。おもしろい。蒙を啓くとはかういふことなのであらうと思ふ。「この本は、近代日本のことばの空間を漢文脈という視点から考えることを主眼とします。」(「はじめに」11頁)「近代日本という時空間は、文体にしても思考にしても、漢文脈に支えられた世界を基盤に成立すると同時に、そこからの離脱、 ある

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    2014年08月31日