三田村泰助のレビュー一覧
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前半は宦官の概要、後半は漢・唐・明の歴史と宦官の関わりについて書かれている。流石に60年前の本だけあって現代と男女観などは違うが、全編を通して非常に分かりやすく面白かった。長年愛され続けている本は伊達じゃない。
統一戦争で何十万という大量の殺人を行い、統一後には殆ど例外なく功臣や肉親を殺し、追放してきた歴代の中華皇帝。この非人間的な皇帝と本質的にウマが合うのが、同じく非人間的な存在である宦官という指摘にすごく納得。各王朝で偶に出現する英明な皇帝によって宦官の権力低下に成功するも、外戚など様々な要素が存在する王朝では宦官を活用せざるを得ない状況が発生する。どうすれば良かったのか?と考えながら読ん -
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五十年前の著作を改版したもの。中国二千年の宦官の歴史。執筆された時代を反映してか,宦官に対する著者の嫌悪感がにじみでているのは仕方がないんだろうか。無学,がめつい,破廉恥,嫉妬深い,国を滅ぼす…彼らにつきまとう悪いイメージは歴史を記述する者によって不当に強化されてきた面もあるんじゃないかな。
まあ漢,唐,明を中心に,宮廷に蠢く宦官たちの事績をまとめた内容は読み応えがある。自宮のやりかたも詳しくて,浅田次郎『蒼穹の昴』の当該場面はこの本に負うところが大とみた。政府公認の刀子匠が執刀し,切断した物を「宝」と呼んで後生大事に保管したとか。辛亥革命で消え去る運命を考えると虚しくも滑稽な何ともいえな -
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中国史好きの年寄りの蘊蓄話を延々グダグダと聞かされているような本。宦官が中心に語られるのは精々が第一章くらいで、第二章から大きく逸脱し始め、第三章以降はもはや「10秒でわかる中国史」の雰囲気が濃くなり、皇帝を一人一人順繰りに紹介していると気づいた時には興味もほとんど冷めていた。
近世史が専門の自分にとっては古代中世の歴史は未知なのでその意味では面白かったが、控えめに言っても中国史は同じこと延々と繰り返しているだけなので、さすがに途中から欠伸が止まらなかった。「年年歲歲花相似,歲歲年年人不同」は見知った馴染みの顔が一人また一人と亡くなっていくことを歌ったものだが、王朝かわって、皇帝かわって、その -
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『蒼穹の昴』(浅田次郎/講談社文庫)と並行してちまちま読んでいたのが『宦官 側近政治の構造』(三田村泰助/中公新書)でした。『蒼穹の昴』には宦官が登場するからです。
宦官とは、後宮に仕える去勢された男性のことです。現在はいません。
大昔、貧しい家に生まれ、少しでも身を立てるために自宮(自らの意思で去勢すること)して王朝に仕えたり、または罪に問われたときに課せられた刑(宮刑)によってはからずも去勢させられたりということがありました。
本書はそんな宦官について書かれています。
第一章では宦官の起源や去勢の方法、宮刑や宦官を輩出する地域について書かれています。第二章では宦官が仕える後宮の、后妃